1 事業の目的・概要
県内中小企業者が、革新的な製品・技術・サービスの開発を目指して行う研究開発等を支援することにより、新事業の創出や多角化、ビジネス形態の転換を推進するとともに、温室効果ガス削減など環境・エネルギー分野での事業化を促す。
2 主な事業内容
(1)革新的事業創出支援補助金
(単位:千円)
区分 | 補助対象
事業 | | 実施主体 | 県補助率 | | 要求額 | 前年度
予算額 | 前年度からの
変更点 |
調査 | 新製品の開発、新サービスの提供、異業種への進出などの新たな取組に先立つ市場調査等の基礎的な調査段階の事業
(R3新規)
補助対象に環境・エネルギー分野を追加
(温室効果ガス削減などに資すること) | 原材料費、ソフトウェア開発環境使用料、機器・設備使用料、委託費、共同研究費、外部専門家受入経費など
(既存分)
・令和2年度採択分(継続)334千円(1件)
・令和3年度採択分(新規)1,000千円×3件×年度内執行率1/2=1,500千円
(環境・エネルギー分)
令和3年度採択分(新規)1,000千円×2件×年度内執行率1/2=1,000 | 県内に事業所等を有し、県内で事業を実施する中小企業者・グループ | 2/3 | 1,000
【750】 | 1,834
(環境エネルギー)
1,000 | 1,500 | ○補助金名を変更。
○従来の補助金を「一般枠」とし、新たに「環境・エネルギー枠」の「調査」「研究開発」メニューを設けて、採択枠を追加。
⇒環境・エネルギー枠
・調査2件分2,000
・研究開発1件分5,000
(合計:7,000)
○「環境・エネルギー枠」の「研究開発」は補助率を2/3に設定。
⇒より革新的な挑戦を促すため。
○「調査」の補助対象経費下限額を見直し。
⇒調査(1,000→750)
・サービス業などのより試験的かつ小規模な事業も対象とするため。
※補助対象経費下限額の考え方が分かりにくいとの意見が事業者からあり、補助金額を「下限〜上限」の記載に変更。 |
研究開発 | 市場規模・ニーズの把握など基礎的な調査を終え、製品化・事業化に向けてより具体化・深化させるための研究開発が必要な段階の事業
(R3新規)
補助対象に環境・エネルギー分野を追加
(温室効果ガス削減などに資すること) | <同上+以下の経費>
減価償却費、直接人件費、産業財産権導入費、機器・設備・ソフトウェアの購入費など
(注1)
(既存分)
令和元年度採択分(継続)1,719千円(1件)
令和2年度採択分(継続)2,778千円(1件)
令和3年度採択分(新規)5,000千円×2件×年度内執行率1/2=5,000千円
(環境エネルギー分)
令和3年度採択分(新規)5,000千円×1件×年度内執行率1/2=2,500千円 | 1/2
(環境エネルギーは
2/3) | 5,000
【5,000】 | 9,497
(環境エネルギー)
2,500 | 13,972 |
産学共同
プロジェクト | 県内中小企業者と県内大学・高専・公設試が連携して製品化・事業化を目指して新産業基盤技術を創出する産学共同プロジェクト
(注2) | 同上
令和2年度採択分(継続)8,285千円(2件)
令和3年度採択分(新規)10,000千円×1件×年度内執行率1/2=5,000千円
【債務負担行為上限額:10,000千円】 | 県内に事業所等を有し、県内研究機関(大学・高専・公設試)との共同事業を県内で実施する中小企業者・グループ | 1/2 | 10,000
【10,000】 | 13,285 | 5,000 |
合 計 | 28,116 | 20,472 | |
(注1)委託費、共同研究費、直接人件費はそれぞれ対象経費の50%以内。ただし、システム開発関連事業については直接人件費の割合の制限なし。
(注2)産学共同プロジェクトは、環境・エネルギー分野での申請を可能とする。
(2)外部有識者による審査会運営費
(単位:千円)
区分 | 内容 | 要求額 | 前年度
予算額 | 前年度からの変更点等 |
外部有識者による審査会運営費 | 〇審査会外部委員報酬
〇審査会外部委員旅費 | 152 | 512 | 審査員を県外から招聘する人数
想定を変更(3名→0名) |
合計 | 152 | 512 | ― |
3 背景
○新型コロナウイルス感染症の影響を契機として、中小企業等は既存事業の強化、従来型のビジネス形態からの転換、新規事業の創出等が必要となっている。
○平成26年度の「中小企業調査・研究開発支援事業」創設以降、令和元年度には産学共同事業化プロジェクト支援事業を整理統合するなど、県内中小企業の新商品開発等の取組及び産学連携の取組などを支援し、建設業者の新分野進出や医療・エネルギー・食品等多様な分野で商品化に繋がってきている。
○県内中小企業等にとってリスクの高い、革新的な製品・技術・サービスの事業化に係る調査・研究開発を支援することで、確たる事業の基盤固め及び新たな事業の創出を図る中小企業等の成長を促す。
○また、喫緊の課題となっている温室効果ガス削減を目指した製品・技術の開発を促進していく必要がある。
4 前年度からの変更点
○補助事業名を「革新的事業創出支援事業」に変更。 (旧:「中小企業調査・研究開発支援事業」)
○温室効果ガス削減戦略会議及び部局横断組織である「環境・気候変動プロジェクトチーム」での議論を踏まえ、「環境・エネルギー分野に関連した新事業の創出」という観点から「環境・エネルギー枠」を新設し、「調査」「研究開発」として採択枠を追加。(従来の補助金は「一般枠」として整理。)
⇒調査:+2,000千円(2枠分)、開発実証:+5,000千円(1枠分、補助率を2/3に設定)
※「環境・エネルギー枠」については、財源として地方創生推進交付金の充当を申請予定。
○「調査」の補助対象経費下限額を、サービス業などのより試験的かつ小規模な事業も対象とできるようにするため変更(引き下げ)。
⇒調査:750千円(従来:1,000千円)
○補助金審査会委員を県外から招聘する人数の想定を変更(3名→0名)。
⇒コロナ禍の状況も勘案し、引き続き県内中小企業者の実情に精通する県内産学金関係者を軸に選定。
5 実施例(イメージ)
<環境・エネルギー枠>
○温室効果ガス削減に資する新・省・再エネルギー技術の開発に係る調査・研究開発。
○次世代型の運送機器(自動運転ドローンなど)の調査・研究開発、及びそれらを使った新サービスの実証実験等の調査。
○エネルギー使用量が多い分野(製鉄、製鋼、運輸、物流など)における革新的な製造・運用プロセスの調査・研究開発。
○より高効率な太陽光発電・風力発電等の開発、及び売電市場のプラットフォーム構築とその最適化に係る調査・研究開発。 など
<一般枠>
○既存事業の強化、従来型のビジネス形態の転換や新規ビジネス創出を図る上での、新事業の市場・ニーズ調査、新製品・新商品の研究開発。
○非対面型・非接触型ビジネススタイルへの転換を図るため、電子決済・AIチャットボット等の先端ICTを活用した、ホテル・旅館等での宿泊予約・利用案内等の省力化実証実験。
○サプライチェーン毀損への対応として、部品内製化を進める上での調査・研究開発。
○革新的な製品・技術・サービスへのチャレンジに向けて企業間で連携して行う共同調査・研究開発。
○大学・高専・公設試等の県内研究機関が有するシーズを事業化する産学(金官)連携しての共同研究開発。 など
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
<政策目標(事業目標)> 事業化件数 年間4件
<取組状況・改善点>
産業技術センター、産業振興機構と情報共有、連携し、技術面及び経営面から、アイデアの段階から事業化までを見通した支援体制を構築。新たな技術や製品の研究開発を通じた事業化を支援してきたところ。
<改善点1>採択決定の可否を審査会方式に一本化(H29〜)
従来、調査支援型については随時審査(応募順に順次審査し、採択可否を設定)を行ってきたが、研究開発支援型と同様に定期的に開催する審査会形式に変更。
<改善点2>採択通知と交付決定通知を一括で処理(H29〜)
従来、@事業計画書の提出→採択決定⇒A交付申請書の提出→交付決定の2段階の手続きであったが、交付申請書(事業計画書を添付)の提出→交付決定(不採択通知)の1段階の手続きとした。
<改善点3>産学官連携の取組への支援強化(R2〜)
産学共同事業化プロジェクト支援事業を整理統合したことを契機に、研究開発支援型の中に「産学共同プロジェクト」メニューを新設し、地域の産学官連携の取組を支援。
<改善点4>「環境・エネルギー枠」の新設(R3〜)
県として温室効果ガス削減などに資する環境・エネルギー分野での新技術開発・新事業創出を支援する姿勢を明確に示すことで、県内中小企業等の挑戦を促進する。
これまでの取組に対する評価
一般的に大企業に比べ経営基盤が脆弱な中小企業にとって、研究開発は大きな負担とリスクを伴うものであり、このような状況のもと、本補助金は中小企業の研究開発の推進に一定程度寄与しているものと評価。
平成26〜28年度採択事業に対して行ったヒアリング調査の結果では、3割を超える事業が製品化・販売に至っており、商品の売り上げ、新たな雇用、特許の取得などの成果が出ている。
補助金利用者の中には、開発した技術の量産化体制構築のために工場を増設する事例や、新商品を販売したことで新分野への進出が加速化された事例、雇用を拡大した事例など、補助金利用をきっかけとして次なる展開へ進んでいる事例もある。
また、研究開発後は新製品の上市や販路開拓を行う必要があることから、産業支援機関等と情報共有を図るとともに、産業成長応援補助金などの支援施策も併せて周知し、企業が研究開発の次の段階に進めるよう、支援する。
【交付決定数】
平成26年度 26件
平成27年度 18件
平成28年度 14件
平成29年度 10件
平成30年度 5件
令和元年度 2件
令和2年度 4件