これまでの取組と成果
これまでの取組状況
【沿岸漁業重要資源調査】
事業目標:沿岸漁業重要資源の把握と広報
稚魚調査:泊地区12回、賀露地区6回、漁期前調査:2回
ヒラメ、カレイ類、マダイ等の稚魚の発生量調査及び、県東部の小型底びき網漁とソデイカ樽流し漁の漁期前試験操業を漁船を用船して行った。
市場調査:月3〜4回
市場調査により、ヒラメ、マダイ、サワラ、マアジ、ソデイカ等の漁獲動向や資源状況の把握を実施した。近年、小型定置網の経営体数が増加したこともあり、定置網の最重要魚種のマアジの測定をR元年度から強化している。
ホームページ更新:調査の都度
モニタリング調査で得られた結果は、随時、漁業関係者団体の協議会等で報告し、資源管理、効率的な漁獲、漁業経営に役立てられている。即時性を高めるために栽培漁業センターホームページでも情報発信するなどの改善を行っている。
●資源評価魚種
【環境に適した漁法の開発試験】
事業目標:海水温の上昇等の環境に適合した新漁法普及2漁法
サワラ夜間釣は、釣獲できることは試験操業で把握できたが、漁場利用の調整上、普及が難しい状況である。そこで、漁業者から要望のあった「サンマの代替え餌の検討」に移行し、令和元年度から調査を開始している。
また、小型底びき網のビームの延長と袋網の目合拡大試験では、漁獲効率を上げつつ、小型魚を保護できることが分かったが、島根県との漁業調整が難しい状況にある。
深海性カレイ類の延縄等の試験操業では、漁獲できることは確認できたが、採算性に関して問題があり、対象魚種の変更(高級魚のアカムツやアマダイ)等を検討した。
【沿岸漁業収益向上対策試験】
事業目標:栽培漁業実用化対象種等の単価向上2魚種
県営境港市場への活魚出荷システムの構築を漁業者、市場関係者等と協議しながら進めており、ヒラメ活魚出荷マニュアルの策定に着手する。
キジハタについては、サンプルを確保し、季節ごとの成分分析を実施しており、ブランド化に向けた基礎資料作成を行っている。
これまでの取組に対する評価
【沿岸漁業重要資源調査】
稚魚調査:泊地区12回、賀露地区6回、漁期前調査:2回
市場調査:令和元年度53日(複数箇所含む)
ホームページ更新:令和元年度55回
漁業者にとって資源や漁獲の動向は最大の関心事項であり、本調査の結果は非常にニーズが高い。市場調査の際など多くの漁業者から情報を求められる機会が多く、「操業の参考になった」等、調査継続を望む声は大きい。
【環境に適した漁法の開発試験】
アカガレイ等深場の延縄、樽流し立縄の2漁法及びサワラ曳縄釣の疑似餌の試行を実施(3漁法)。
近年の沿岸漁業では二極化が顕著で、県西部海域で刺網を操業する漁業者は経営が順調なものの、県東部等の小規模経営体では、非常に厳しい経営状況にある。また、一部魚種では好調な漁獲となっているが、多くの魚種の資源状態は良くない状況にある。このような中、新たな漁法の検討や改良は、業界内ではあまりない「明るい話題」として期待の声が高く、いち早く着業実績を作るなど目に見える成果を出してほしいとの要望が挙がっており、調査を行ってきた。しかし、新たな漁法の着業につながる形での実績が残せていないため、調査延長はせず、令和2年度までで終了とした。
【沿岸漁業収益向上対策試験】
県営境港市場での、ヒラメ、エビ類2種、オニオコゼ等の4魚種以上の活魚出荷が見られるようになっており、出荷形態も改善されている(ヒラメ、エビ類で単価向上を確認)。更なる活魚の品質向上のためヒラメ活魚マニュアルの作成を行う。
キジハタに関してはブランド化の要望聞き取りを行った結果、ブランド化に対して前向きな意見もあったが、イカリムシモドキという寄生虫がブランド化に対して大きな支障となっている。これの対策が現状ないため、現在のところブランド化はひとまず保留としている。ただ脂質含有量等のブランド化に資するデータ収集及びとりまとめは引き続き行うこととしている。