現在の位置: 予算編成過程の公開 の 令和3年度予算 の 農林水産部の木材の加工・利用に関する研究
令和3年度
当初予算 一般事業(公共事業以外)  一般事業要求      支出科目  款:農林水産業費 項:林業費 目:林業試験場費
事業名:

木材の加工・利用に関する研究

もどる  もどる
(この事業に対するご質問・ご意見はこちらにお寄せください)

農林水産部 林業試験場 木材利用研究室 

電話番号:0858-85-6221  E-mail:zaisei@pref.tottori.lg.jp
  事業費(A) 人件費(B) トータルコスト
(A+B)
正職員 会計年度任用職員 特別職非常勤職員
R3年度当初予算要求額 4,087千円 31,352千円 35,439千円 3.1人 2.4人 0.0人
R2年度当初予算額 4,459千円 31,875千円 36,334千円 3.2人 2.4人 0.0人

事業費

要求額:4,087千円  (前年度予算額 4,459千円)  財源:単県 国1/2 

事業内容

1 事業の目的・概要

県内産木材の需要拡大、森林資源の循環利用に貢献するため、加工・利用技術の開発等、必要な試験研究を実施する。

    当該事業のうち、「県産材の建築用途を拡げるJAS規格材の利用技術に関する研究は地方創生推進交付金充当事業である。

2 主な事業内容

(単位:千円)
細事業名
内容
要求額
前年度予算額
前年度からの変更点
【継続】とっとりの新しいCLTの製造・利用技術の確立
(R1〜R3)
厚板を原材料としたCLTの製造技術を確立する。また、製品の構造性能を明らかにすることで建築での利用方法を提案する。
943
1,219
新たな試験の実施、試験方法の改良
【継続】防火・防炎性を付与したLVL内装材の開発
(R1〜R3)
LVL内装材に適した防火・防炎性を付与するため、薬剤の種類・処理方法等を検討し、製造技術を確立する。
729
756
異なる薬剤処理方法による試験実施
【継続】県産材の建築用途を拡げるJAS規格材の利用技術に関する研究

(R2〜R6)

県内での生産が本格化されるJAS規格材について、市場で入手しやすい寸法での材料品質及び接合性能を明らかにし、製材品生産や建築設計に必要な基礎資料を得る。
910
940
規格材を用いた各種強度試験の実施。
【継続】樹齢に応じた「県産スギ材の良さ」に関する研究
(R2〜R6)
適材適所での利活用の推進による県産スギ材の付加価値販売を目標に、県産スギ材の樹齢に応じた材質特性(良さ)を数値的に明らかにする。
719
736
本年度確保する高齢級試験体の試験実施。
【継続】燃料チップの地域内安定供給体制整備のための研究
(R2〜R4)
地域内のエネルギー資源を有効活用する若桜町のモデル的な取り組み(地域エコシステム)を支援するため、チップ原木の水分管理の手法と、価格設定に役立つ簡易な含水率判定手法の確立を目指す。
786
808
本年度実施した乾燥試験に係る試験条件の追加。
トラック荷姿での原木丸太体積算出にかかる試験の実施。
合計
4,087
4,459

3 背景・前年度からの変更点

(1)【継続】とっとりの新しいCLTの製造・利用技術の確立
≪背景≫
○CLT(直交集成板)は、建築物など様々な用途において活用が進みつつあり、国産材の需要拡大、地方創生の一つとして大きな期待が寄せられている。
○鳥取県では株式会社鳥取CLTが、厚さ36mm、幅1000mm、長さ2,000mmの鳥取県産スギCLTを製造しているが、市場からの多様なニーズに応えるため、厚さ90mm、幅1,250mm、長さ4,000mmの製品に対応する製造ラインを導入した。今後、本格稼働の予定である。
○鳥取県産CLT普及のため、新しい生産工程におけるJAS取得を技術支援すると共に、安定した品質の確保と生産性の向上、建築物等への利用技術の確立が必要である。
≪前年度からの変更点≫
前年度に実施した面内せん断試験の試験治具改良と追試
○断熱など、本年度とは異なる材料性能試験の実施

(2)【継続】防火・防炎性を付与したLVL内装材の開発
≪背景≫
○公共建築物の木造化・木質化が進み、防火・防炎性能をもった木質材料へのニーズが高まってきている。
○防火・防炎処理をしていない木質材料は、内装制限により、病院や百貨店などの不特定多数の人が利用する施設では、一部分しか内装に使用することができないが、防火・防炎性を付与することで内装としての使用範囲を広げることができる。
○LVLは薄い単板から構成されている木質材料であり、単板自体への防火・防炎薬剤の注入は容易ではあるが、薬剤を注入するには特別な機械が必要なこと、薬剤が単板の接着力を低下させる恐れがあること、節は固く薬剤の注入性が悪い、などの問題がある。
≪前年度からの変更点≫
前年度とは異なる処理方法を用いた試験体の燃焼性試験の実施
○薬剤注入した試験体の室内暴露試験、白華溶脱促進試験の実施

(3)【継続】県産材の建築用途を拡げるJAS規格材の利用技術に関する研究
≪背景≫
○鳥取県のスギ人工林の約8割、ヒノキ人工林の約4割が伐期を迎えている。これらの利用促進のためには、これまでの戸建住宅に加え、非住宅(中規模建築物)での利用を促進することが重要である。
中規模建築物は設計の際、構造計算が必要で、部材は計算上必要とする強度を要求される。鳥取県では近年、強度性能が明らかな機械等級区分製材の生産に取り組む企業が増えつつあることから、この製品の利用が促進されるよう、材料性能、構造性能の両面で技術支援を必要としている。
≪前年度からの変更点≫
〇県産規格材による各種強度試験の実施

(4)【継続】樹齢に応じた「県産スギ材の良さ」に関する研究
≪背景≫
○近年の原木価格の低迷を受け、良材になるほど出材を控える傾向となっており、県内の人工林が高齢化しつつある。
○スギ材は樹齢に応じた使い方をする(若齢は構造用、高齢は化粧用)事が多いが、樹齢に応じたスギ材の特性を材料や製品の価値として反映させるためには、スギの加齢(エイジング)に伴う材質変化等を数値的に明らかにする必要がある。
≪前年度からの変更点≫ 
○前年度確保した高齢級試験体を用いての各種試験の実施。


(5)【継続】燃料チップの地域内安定供給体制整備のための研究
≪背景≫
○若桜町では町営施設や公益性の高い事業所にチップボイラを導入し、町内の豊富な森林資源を地域のエネルギーとして利用する取り組み(地域エコシステム)を進めている。
○ボイラの燃料にはスギ丸太を破砕したチップが用いられるが、高い熱量を確保するためには燃料チップの水分は出来るだけ少ない(低含水率である)ことが望ましい。
○一方、原料のスギ丸太は県内全域で重量買いされており、重い丸太(=含水率が高い)ほど買い取り価格が高いのが現状。地域エコシステムを早急に軌道に乗せるには、低含水率チップの安定供給体制の構築が必須である。
○町や事業者からは、原料丸太を含水率で適正に価格評価する簡易な含水率判定手法の確立と、素材生産者が現場で実施可能な原木の含水率低減手法の提案が求められている。
≪前年度からの変更点≫
○前年度実施した乾燥試験に係る試験条件の追加。
○トラック荷姿での原木丸太体積算出にかかる試験の実施。


これまでの取組と成果

これまでの取組状況

(1)とっとりの新しいCLTの製造・利用技術の確立
≪事業目標≫
厚板を原材料としたCLTの製造技術を確立する。また、製品の構造性能を明らかにすることで建築での利用方法を提案する。
≪取組状況・改善点≫
○CLTが雨に濡れた場合の寸法や重量、含水率の変化について、冬期と夏期に定期的に計測した結果を取りまとめた。
○CLTの吸水量、吸水深さについて予備実験を行った。この結果を踏まえ、本試験を本年度中に実施予定である。
○Two Rail Shear法によるCLTの面内せん断試験を実施した。より精度の高いデータを得るため、治具を改良しせん断試験を実施する。

(2)防火・防炎性を付与したLVL内装材の開発
≪事業目標≫
LVL内装材に適した防火・防炎性を付与するため、薬剤の種類・処理方法等を検討し、製造技術を確立する。
≪取組状況・改善点≫
○異なる処理方法(接着剤混入型、薬剤注入型)のLVLの燃焼性試験を実施し、結果をまとめた。
○接着剤混入型LVLの製造方法を見直し、防火・防炎性能を確認する。

(3)県産材の建築用途を拡げるJAS規格材の利用技術に関する研究
≪事業目標≫
県内での生産が本格化されるJAS規格材について、市場で入手しやすい寸法での材料品質及び接合性能を明らかにし、製材品生産や建築設計に必要な基礎資料を得る。
≪取組状況・改善点≫
○県内の公共建築物について、使用された木材の詳細(部材寸法、要求性能等)を実施。
○一般に流通している県産材の強度性能調査を実施。
○県産材の性能に合わせ「適材適所」に使用するための構造について、大学や民間の有識者の意見を積極的に取り入れる。

(4)樹齢に応じた「県産スギ材の良さ」に関する研究
≪事業目標≫
適材適所での利活用の推進による県産スギ材の付加価値販売を目標に、県産スギ材の樹齢に応じた材質特性(良さ)を数値的に明らかにする。
≪取組状況・改善点≫
○新型コロナの影響で、対象地域での高齢級の出材が不振なので、木材市場での試験体確保が困難となっている。
○直接山主と交渉し、より高齢級の試験体を確保し、比較試験に供したい。

(5)燃料チップの地域内安定供給体制整備のための研究
≪事業目標≫
地域内のエネルギー資源を有効活用する若桜町のモデル的な取り組み(地域エコシステム)を支援するため、チップ原木の水分管理の手法と、価格設定に役立つ簡易な含水率判定手法の確立を目指す。
≪取組状況・改善点≫
○現地実証試験の結果、林縁での丸太の含水率低減が困難であることが判明したため、山側で可能な丸太乾燥手法を再検討する必要がある。
○簡易な含水率把握の手法として画像解析を検討しているが、ライセンス料金が高いため、別の手法を検討しなければならない。

これまでの取組に対する評価

(1)とっとりの新しいCLTの製造・利用技術の確立
CLTが雨に濡れた場合の寸法や含水率、重量変化についてのデータは、実際にCLT建築の現場で活用いただき、施工管理に役立ったと評価を得た。試験結果については日本木材加工技術協会の年次大会で発表を行った。

(2)防火・防炎性を付与したLVL内装材の開発
○試験計画の設定、試験の実施に関し、共同研究メーカーと協力しながら研究を進めている。
○研究成果の一部を(一社)日本木材学会中国四国支部研究発表会で発表し、優秀発表賞(ポスター部門 令和元年度)を受賞した。

(3)県産材の建築用途を拡げるJAS規格材の利用技術に関する研究
トラス等の木構造を採用している建築物は、現在調査サンプルが少ないため、引き続き調査を進める。部材(軸組材:梁桁、柱等、構造部材:梁桁、束材)調査においては、床面積や最大スパンによって材のサイズが決定するため、様々なデータが集まりつつある。

(4)樹齢に応じた「県産スギ材の良さ」に関する研究
建築用材としての需要が低迷する中、高齢級スギ材の付加価値の数値化を目指す本研究に対する地元の期待は大きい。

(5)燃料チップの地域内安定供給体制整備のための研究
平地に設けられた土場での丸太乾燥が順調であることを数値的に明らかに出来ており、乾燥に要する期間等の目安を協議会に説明する準備を行っている。

工程表との関連

関連する政策内容

安全かつ低コスト林業推進のための搬出・造林・保育・育苗技術、森林病虫害の被害防止技術、県産材の加工利用・用途拡大等に係る技術等に関わる研究開発、「県立21世紀の森」の管理運営など

関連する政策目標





要求額の財源内訳(単位:千円)

区分 事業費 財源内訳
国庫支出金 使用料・手数料 寄附金 分担金・負担金 起債 財産収入 その他 一般財源
前年度予算 4,459 1,313 0 0 0 0 0 0 3,146
要求額 4,087 292 0 0 0 0 0 0 3,795