現在の位置: 予算編成過程の公開 の 令和3年度予算 の 農林水産部の有機栽培技術開発試験
令和3年度
当初予算 一般事業(公共事業以外)  一般事業要求      支出科目  款:農林水産業費 項:農業費 目:農業試験場費
事業名:

有機栽培技術開発試験

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農林水産部 農業試験場 有機・特別栽培研究室 

電話番号:0857-53-0721  E-mail:zaisei@pref.tottori.lg.jp
  事業費(A) 人件費(B) トータルコスト
(A+B)
正職員 会計年度任用職員 特別職非常勤職員
R3年度当初予算要求額 2,645千円 26,033千円 28,678千円 2.5人 2.2人 0.0人
R2年度当初予算額 2,711千円 25,809千円 28,520千円 2.5人 2.2人 0.0人

事業費

要求額:2,645千円  (前年度予算額 2,711千円)  財源:単県 

事業内容

1 事業の目的・概要

有機栽培技術の確立及び普及に資するため、以下の4項目を実施する。
      1)県内の有機栽培農家の実態を調査・検証し、優良事例及び現場の課題を収集する(有機栽培「トレジャー技術」を協働で発掘・解析する事業)。
      2)収集した優良事例及び課題をもとに、農家が取り組みやすい技術メニューを確立、拡充する(「ゆうきの玉手箱(参の重)」技術確立↑ステップアップ編)。
      3)確立した技術を実証、展示し、現場への速やかな普及を図る。あわせて、難航している農家への技術支援も行う(有機栽培「トレジャー技術」を協働で検証拡大する事業)。
      4)1)〜3)の取り組みを県内有機農家のネットワークや県内外の研究機関との連携、協働によって推進する。

2 主な事業内容

1)有機栽培「トレジャー技術」を協働で発掘・解析する事業(優良事例及び課題の収集)
有機栽培現地実践ほ場の調査・検証(概要調査)
・水稲除草技術優良事例の検証
・小豆有機栽培事例調査
・砂畑(らっきょう)除草における優良事例の検証 2)「ゆうきの玉手箱(参の重)」技術確立↑ステップアップ編(技術メニューの確立、拡充)
    (1)水稲技術
      ・イトミミズを利用した水稲の除草・抑草対策技術の確立
      ・水稲除草効率向上技術の検討
    (2)畑作物技術
      ・水田転換畑における野菜の好適品目の検索
      ・機能性作物の探索、栽培法の検討(エゴマ)
    (3)輪作技術
      ・田畑輪換による雑草対策技術の確立(水田難防除雑草)
3)有機栽培「トレジャー技術」を協働で検証拡大する事業(確立した技術メニューの実証・展示及び技術支援)
    ・イトミミズを利用した水田除草技術の実証、展示
    ・ラッキョウ有機栽培改善実証(除草技術、増収対策)
    ・緑色LED灯光防除技術の実証、展示(ハトムギ)
    ・畑雑草に対する太陽熱処理法による抑草効果の実証、展示

3 事業の背景

1)食の安全、安心や環境保全に対する関心が高まる中、国が「有機農業の推進に関する法律」を施行した。これを受け、本県では「鳥取県有機・特別栽培農産物推進計画」を策定し、環境にやさしい農業の推進を図ってきた。さらに、「鳥取県農業生産1千億円達成プラン」では、2023年度の有機・特別栽培目標面積を2000haとし、一層の推進を図っている。 2)有機栽培技術は、全国的に未確立な部分が多いため、一般的な栽培方法に比べて収量が低く、年次変動も大きい。このため、経営が不安定な有機栽培農家が存在する。近年、新規就農で有機栽培を目指す等の有機栽培志向者が増えているが、リスクを懸念して本格的な参入を踏みとどまっている事例も多い。
3)国の米生産調整への関与廃止、所得補償の廃止等、水田農業の転換期を迎える中、持続可能な水田農業を実現するために、他県産農産物との差別化や県産農産物のブランドイメージ向上を図ることが必要であり、有機・特別栽培等のこだわりのある生産方法は、今後ますます重要となっている。

4 事業の効果・目標

本県に適用した有機栽培技術を確立し、円滑な普及を図る。このことにより、以下の効果が期待される。
    1)有機栽培実践農業者の栽培技術向上および経営規模拡大
    2)新規取り組みによる有機農産物生産面積・生産量の拡大
    3)特別栽培への技術適用、転用による面積拡大と収益向上
    4)県産農産物の高付加価値化とブランドイメージの向上
    5)安心・安全な農産物を求める消費者ニーズの充足

5 事業の年次計画

1)事業期間(2018)〜2022年度
2019年度に「有機栽培「トレジャー技術」を協働で発掘・解析・検証拡大する事業」(2014〜(終期設定なし))と「ゆうきの玉手箱(参の重)」技術確立↑ステップアップ編」(2018〜2022年度)を統合し、本事業となった。
2)事業の年次計画
(1)有機栽培「トレジャー技術」を協働で発掘・解析する事業(優良事例及び課題の収集)
事業内容
2019
2020
2021
2022
有機栽培現地実践ほ場の調査・検証(概要調査)
先進的な有機栽培実践技術の究明(詳細調査)
    ※○は場内試験、●は現地で行う試験

(2)「ゆうきの玉手箱(参の重)」技術確立↑ステップアップ編(技術メニューの確立、拡充)
大課題
中課題
2019
2020
2021
2022
水稲技術雑草対策
栽培法、品種
○●
畑作物技術雑草対策
病害虫対策
○●
栽培法、品目
輪作技術雑草対策、栽培法
    ※○は場内試験、●は現地で行う試験

(3)有機栽培「トレジャー技術」を協働で検証拡大する事業(確立した技術メニューの実証・展示及び技術支援)
事業内容
2019
2020
2021
2022
確立した技術メニューの実証・展示及び技術支援
○●
    ※○は場内試験、●は現地で行う試験

技術確立の対象範囲が広く(水田作、畑作、病害虫対策、雑草対策)、挑戦的な試験課題もあることから、技術の有効性や実現可能性について見極めを行い、優先順位をつけて実施する。

これまでの取組と成果

これまでの取組状況

【事業目標】
本県に適用した有機栽培技術を確立し、円滑な普及を図る。

【取組状況】
1)優良事例及び課題の収集(有機栽培「トレジャー技術」を協働で発掘・解析する事業)
(1)有機栽培現地実践ほ場の調査・検証(概要調査)
・農家が考案した土寄せ除草法実践事例において、土寄せ除草法により1回の除草でも高い除草効果を上げている事例を収集した。
・田畑輪換による抑草実践事例において、畑転換により水田雑草の種子量が減少し、残草量が減少することを明らかにした(2019年成果情報)。
・秋播き露地野菜の太陽熱処理実践事例において、高い抑草効果を得ている事例を収集した。

(2)先進的な有機栽培実践技術の究明(詳細調査)
・残草量が少なく安定的に収量を確保している水稲栽培事例では、雑草の種子量が少なく、雑草発生量が少ない状態で維持されている。また、雑草発生量が多くなった場合でも、除草効率が高いため残草量を低く抑えていることがわかった。
・無肥料で高収量を実現している水稲栽培事例について、その要因を様々な点から究明した結果、冬雑草の有効利用、イトミミズによる地力発現増加等、調査対象事例以外においても有用な要因が明らかになった。

2)技術メニュー確立、拡充(「ゆうきの玉手箱(参の重)」技術確立↑ステップアップ編)
・6月上旬における水田の田面から10cm深までのイトミミズ生息数が19,000頭/m2以上の場合、イトミミズが形成するトロトロ層により高い抑草効果が得られることが明らかになった(成果情報)。現在、イトミミズを増殖する方法を検討中である。
・ラッキョウ栽培において、簡易に導入でき、省力可能な数種の除草具の特性、効果等を把握し、除草具によっては作業時間が約3割削減できることを確認した。
・緑色LED灯について、県内LEDメーカーと協働で市販機より安価な機材を開発した。また、緑色LED灯の点灯により、ヤガ類の飛来が抑制され、発生量が大幅に削減することを確認した(成果情報)。
・水田転換畑において、有機栽培に好適な野菜品目を検討し、有望な品目を確認した。現在、更に新たな品目を検討中である。
・機能性作物エゴマの栽培法の検討及び品種の特性把握を行っている。

3)確立した技術メニューの実証・展示及び技術支援(有機栽培「トレジャー技術」を協働で検証拡大する事業)
・水田作におけるイトミミズを利用した抑草技術の実証、展示を実施中。8月に研修会を実施、マスコミ等も活用し、技術普及を図った。
・ラッキョウの有機栽培での収量改善策として、秋肥料の増量を提案。増収効果を実証し、技術が農家へ普及した。引き続き、実証、展示を実施している。

4)他研究機関等との技術交流促進
・「鳥取県有機農業推進ネットワーク」と協働で有効な事例の発掘、解析、技術実証を行うことで、農家への技術普及が円滑に進んでいる。

これまでの取組に対する評価

1)有機栽培「トレジャー技術」を協働で発掘・解析・検証拡大する事業
<外部評価>
○2017年度の外部評価(中間)の結果:評点12.2(◎)
○評価委員の主な意見
・現場の農家と共に頑張っている点が素晴らしい。これからも継続して欲しい。
・次世代農家の誘引に有効。
・新しい有機栽培技術を発掘し、実証試験を行うことにより、科学的に解明、すみやかに普及することで、研究の成果は上がっている。

<改善点>
・現地での調査・実証結果を有効活用し、技術メニューの確立や問題点の解決に努めるため、県内の先進的な有機栽培農家及び他県を含めた関係機関と連携を図りながら、優良事例等の解析と開発技術の実証・普及を進める。

2)「ゆうきの玉手箱(参の重)」技術確立↑ステップアップ編
<外部評価>
○2017年度の外部評価(事前)の結果:評点12.2(◎)
○評価委員の主な意見
・消費者は安全安心な食べ物を求めている。是非、県内で有機栽培が増えるよう研究をすすめてほしい。
・伸び悩む有機栽培の後押しやブランド力向上に有効。

<改善点>
・引き続き、成果・情報を試験途中であっても絶えず、生産者にフィードバックし、試験を進める。
・技術の有効性や実現可能性について、これまでの試験結果から見極めを行い、優先順位をつけて試験を進める。

工程表との関連

関連する政策内容

消費者の求める安全・安心、高品質な農林産物の生産技術の開発

関連する政策目標

1 有機・特別栽培技術関係
 (1) 有機栽培農家の実態を調査・検証し、優良事例を収集
  水稲・大豆・野菜等の現地実践事例調査の精査
  実践者主体の研究会との連携
 (2) 有機栽培における除草技術・病害防除技術・栽培法の確立
  水稲栽培におけるイトミミズを利用した除草対策技術の検討
  有機栽培に好適な水稲品種の検索
  野菜栽培における光防除によるチョウ目害虫対策技術の効果把握
  転換畑有機栽培に適する新品目の検索および病害虫・雑草防除技術の検討
 (3) 農業試験場体系化技術の展示実証
  イトミミズを利用した水田除草対策の実証、展示
  ラッキョウ栽培における太陽熱処理による抑草法の実証、展示





要求額の財源内訳(単位:千円)

区分 事業費 財源内訳
国庫支出金 使用料・手数料 寄附金 分担金・負担金 起債 財産収入 その他 一般財源
前年度予算 2,711 0 0 0 0 0 0 0 2,711
要求額 2,645 0 0 0 0 0 0 0 2,645