1 事業の目的・概要
近年、全国各地で異常気象等により土砂災害・水害などが多発し、平成26年8月20日の広島県大規模土砂災害を契機として、平成26年11月改正土砂災害防止法が成立し、より早く確実な情報提供が求められている。
県内においても、H28年10月の鳥取県中部地震や平成30年7月豪雨に伴う土砂災害など、多数の土砂災害が発生している。
また、岩手県でのグループホーム浸水被害を受け、「土砂災害防止法」が改正され、土砂災害警戒区域内の要配慮者利用施設管理者は避難確保計画の作成及び避難訓練の実施が義務化された。
防災意識の啓発と向上を図るために防災教育、出前講座、講習会、防災訓練等を行い、土砂災害防止の推進を図ることを目的とする。
2 主な事業内容
| 細事業名 | 内容 | 要求額 | 前年度予算額 | 前年度からの変更点 |
1 | 全国地すべりがけ崩れ対策協議会負担金 | 各都道府県が共同で技術検討を行い、技術提案及び研究成果を出版物にとりまとめる等により土砂災害防止技術の充実を図る。 | 200 | 200 | なし |
2 | 土砂災害防止全国の集い参加負担金等 | 「土砂災害防止全国の集い」は行政、地域、住民及び関係団体が一同に集い土砂災害を防止するための活動事例・意見交換等を行うものであり、本県において積極的に土砂災害防止活動に取組む団体と参加し、県内の防災活動の充実を図る。 | 233 | 169 | なし |
3 | 土砂災害防止講習会費用 | 土砂災害警戒情報等の周知・活用を図るため、市町村職員・防災関係者等に対して専門家による講習会を開催。
要配慮者利用施設等の土砂災害・浸水害に対する警戒避難体制の構築が求められていることから、関係部局と連携しての講習会の実施を行う。 | 153 | 160 | なし |
4 | 出前裏山診断の診断者費用 | 「防災を目指す出前裏山診断」
職員と共に、土木防災・砂防ボランティアや有識者など土木、森林の専門的な知識をもつ者を現地に派遣し、住民と共に裏山を踏査し診断を行うもの。
鳥取県中部地震を機に、土砂災害の危険が高まっていることから、被災した地域や地区内に土砂災害警戒区域等が存在する地域などに対し、出前裏山診断を実施し、防災意識の啓発を図る。
<実施後の住民の反応>
・今回の診断の前後で、防災への意識がずいぶんと変わった。
・裏山から集落を見て、目線が変わり危険であることの意識が生まれた。 | 0 | 241 | 廃止(他事業へ振替) |
5 | 「防災士」資格取得 | 住民等を対象に土砂災害などの防災学習を推進し、自分の身を守り(自助)、共に助け合う(共助)意識を啓発していくことにより地域の防災意識の向上を図っている。
最近の防災学習の中でいくつかの課題が出てきているところ。
1)土砂災害についての知識の向上は図れてきているが、自主避難についての自主行動や地域で助けあう共助についての内容を充実させたい。
2)「土砂災害」についての情報は提供できるが、「避難計画」などの防災に関する具体的なアドバイス等の対応ができない。
3)要配慮者利用施設等の土砂災害・浸水害に対する警戒避難体制の構築が求められており、避難確保計画などが作成されているが、実効性に疑問があるものが多く、いざという時に頼りにならない可能性がある。
これらの課題に対応するため、次の1)について取り組む必要がある。
1)防災の専門家として、「防災士」の資格を取得した職員を講師として派遣する。また、防災に関する知識を防災教育を行う職員へ伝達する研修を行う。 | 84 | 84 | なし |
合計 | 670 | 854 | |
3 背景
○近年、全国でも県内でも土砂災害が頻発している。土砂災害防止対策を進めるためには施設整備によるハード対策(整備率26.9%)に加え、ソフト対策の強化が重要である。
○広島災害を契機に平成26年11月に土砂防止法が改正され、新たに土砂災害警戒情報が法律上に明記され、都道府県は、市町村への通知及び一般への周知が義務づけられるなど、ソフト対策の強化が規定された。
○熊本地震後の梅雨時期の豪雨による土砂災害や、本年発生した北海道胆振東部地震による土砂災害、または米子市青木で発生した7月豪雨後の晴れた状態での土砂災害など、大雨のみならず様々な起因を想定した土砂災害への防災意識の向上が求められている。
○県では、鳥取気象台と共同で「土砂災害警戒情報」を平成20年2月から運用開始した。また、平成21年度末から「土砂災害特別警戒区域(レッド区域)」を指定し、平成31年3月時点で100%指定となっている等、ソフト対策を推進している。小学校等への防災教育、地域・企業等への出前講座、講習会、防災訓練を通じて防災への意識を周知・習熟を図る必要がある。
4 効果
○講習会等の開催
県職員、市町村職員及び消防等防災関係者、自主防災組織関係者などが率先してスキルアップに努めることにより、職場や地域での防災意識の向上を力強く進めていくことが期待できる。