これまでの取組と成果
これまでの取組状況
<事業目標>
遺跡の詳細な内容を確認し、その構造や景観などの実態を解明する。
・弥生時代後期後葉の集落全体像の解明
・弥生時代後期後葉の景観復原図作成
<取組状況>
・地区ごとに解明すべき課題を定めた詳細調査(発掘調査)の実施
・ボーリング試料をはじめとした、各種試料の詳細な分析に基づく景観復原の実施※その他にも、埋蔵環境の継続的な観察、出土品の調査研究と活用を可能とするための保存処理を実施
<改善点>
発掘調査計画及び調査課題についての時点修正を行い、その解明にむけた調査方法を検討する必要がある。
これまでの取組に対する評価
<評価>
目的意識を持った詳細な発掘調査の実施により、青谷上寺地遺跡の弥生時代後期の様相が徐々に明らかとなっている。
調査を進めるにあたっては、古環境解明を目的とした様々な自然科学分析(一部業者委託を含む)を導入している他、ボーリング試料等に基づく「景観復原CG」を作成、公開するなど、当時の周辺環境全体を対象とした総合的な調査として行っており、我が国の弥生時代集落研究をリードする取り組みであると自負している。
また、弥生時代遺構の上層では「古代山陰道」と考えられる道路遺構や、これを基準とした「条里地割」と考えられる遺構を検出し、弥生時代のみならず古代(奈良・平安時代)研究においても重要な遺跡であることを明らかにすることができた。
これら調査成果は、計画的に刊行している発掘調査報告書にて公開しており、学会より高い評価をいただいている。 史跡整備の対象である、弥生時代の「交易拠点としての港湾集落」という遺跡像をさらに具体的なものとするために、今後も継続的に取り組んでいくことが必要である。