現在の位置: 予算編成過程の公開 の 令和3年度予算 の 地域づくり推進部の重要遺跡等調査研究事業
令和3年度
当初予算 一般事業(公共事業以外)  一般事業要求      支出科目  款:総務費 項:企画費 目:埋蔵文化財センター費
事業名:

重要遺跡等調査研究事業

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地域づくり推進部 とっとり弥生の王国推進課 埋蔵文化財センター企画研究担当 

電話番号:0857-27-6711  E-mail:zaisei@pref.tottori.lg.jp
  事業費(A) 人件費(B) トータルコスト
(A+B)
正職員 会計年度任用職員 特別職非常勤職員
R3年度当初予算要求額 9,283千円 9,735千円 19,018千円 0.8人 1.2人 0.0人
R2年度当初予算額 3,115千円 9,642千円 12,757千円 0.8人 1.2人 0.0人

事業費

要求額:9,283千円  (前年度予算額 3,115千円)  財源:単県,国1/2 

事業内容

1 事業の目的・概要

1 事業の目的・概要


     県又は国にとって、歴史上又は学術上の価値が高く、調査が技術的に高度なもの等について、重要遺跡等として積極的に発掘調査を含む調査研究を行い、県又は国史跡指定などの価値付けに向けて取り組むことで、貴重な財産を保護しつつ、地域振興や観光振興を図っていく。
     弥生時代を代表する青谷上寺地遺跡や妻木晩田遺跡以外の古墳、古代、中世の遺跡について、これまでの調査経緯や新たな知見を踏まえ、複数の課題を設定し、事前の踏査や文献等調査にもとづいて、その中から年2テーマ程度の発掘調査を行う。

2 主な事業内容

(単位:千円)                 
事業区分
事業内容
要求額
前年度予算
前年度からの変更点
1 古 墳・鳥取平野の前方後円墳について、現地踏査及び古墳出土の土器等の資料調査を行う。
46 
0 
・新規
2 古代山陰道
   (青谷)
・令和2年度に作成する東側丘陵部の発掘調査概報をベースに、レーザー地形測量でつづら折れ部の微地形を補正し、発掘調査報告書を作成する。
・令和1・2年度に行った現地踏査の結果に基づき、西側丘陵部のうち東側及び東側丘陵のうち東側傾斜部の発掘調査を委員会の指導を受けながら行い、その成果を現地説明会やフォーラムで情報発信する。
※現地説明会、フォーラムについては、新型コロナウイルス感染症の状況を見ながら、対策を取り実施する。
・県土整備部等が所有するボーリングコアを分析し、古代山陰道が機能していた当時の青谷平野の古環境を復元する。
4,406 
3,017 
・地形測量及び報告書刊行(臨)


・フォーラム開催(臨)
3 中世城館・令和2年度に作成する狗尸那城(鳥取市鹿野町)の発掘調査概報をベースに、レーザー地形測量で立体地図を作成し、発掘調査報告書を作成する。
・令和2年度に行った現地踏査の結果に基づき、狗尸那城山麓にある居館候補地等及び大谷城(倉吉市)の発掘調査を研究者の指導を受けながら行い、その成果を現地説明会やフォーラムで情報発信する。
※現地説明会、フォーラムについては、新型コロナウイルス感染症の状況を見ながら、対策を取り実施する。
・八頭郡・岩美郡に多い室町幕府奉公衆の山城などの現地踏査を行う。
4,666 
 


0 
・「鳥取県の考古学情報発信事業」の一部を移管

・地形測量及び報告書刊行(臨)

・フォーラム開催(臨)
共通
・現地踏査は、地元市町の担当者のほか、調査経験者、地元協力者を有償ボランティアとして活用する。
・標準事務費
67 

98 
98 
・踏査ボランティア(新)
9,283 
3,115 

3 事業の必要性

    1 古墳の調査研究
     令和元年度まで新鳥取県史編纂事業で行われた県内大型前方後円墳の測量調査成果や中小古墳の調査成果を活用しながら、必要な発掘調査を行うことにより、古墳の規模・時期を確かめることで、ヤマト政権との関り、古墳の時期的変遷、古墳時代の集落の状況、鳥取西道路関連の発掘調査で発見された大規模土木技術遺構(本高弓ノ木遺跡)と重要な遺跡として道路建設時にトンネル工法に変更された本高14号墳との関連性なども明らかにすることが可能となる。

    2 古代山陰道の調査研究
     青谷上寺地遺跡、青谷横木遺跡から古代山陰道の道路遺構を検出したことを更に発展させ、飛鳥から奈良時代に律令国家が整備した古代官道のうち、本県に残る古代山陰道跡を調査研究することにより、市街地での開発行為に基づく発掘調査では得難い情報等(街路樹、土木工法、線形など)や関連する遺構(条里地割など)の検出につながるとともに、古代山陰道の推定ルートが確定されることで国衙・郡衙等とのネットワーク及び地域社会や経済との関り(青谷上寺地遺跡、湖山池南岸との関係性など)を明らかにすることが可能となる。

    3 中世城館の調査研究
     戦国時代や城郭(山城)に対する関心が高く根強いことで観光振興につながることが期待でき、そこに暮らす人にとっても郷土愛を醸成し地域振興につながることから、20年前に行われた中世城館調査の悉皆分布調査の結果を発展させ、更なる文献調査を踏まえて山城(点)と山城(点)をつないだ広域的な歴史ストーリー・ネットワークの構築、現地踏査を踏まえた縄張構造の見事さの実見、そして発掘調査を行うことにより遺構・遺物・文献の総合調査から築城時期・主体、ひいては中世戦国時代における地域史を再構成することが可能となる。

これまでの取組と成果

これまでの取組状況


【事業目標】
・国県史跡指定の拡大
・調査研究を通しての遺跡の露出度の拡大
・地域の史跡、遺跡の活用気運の向上


【古 墳】
鳥取西道路建設時の発掘調査により本高14号墳の築造時期が山陰地方最古という可能性が認識され、その重要度から、国交省と協議の結果、平成21年度、道路建設方法を当初のオープンカット工法からトンネル工法へ変更し、現状保存することとした。また、現状保存後は、平成29・30年度、本高14号墳近辺の鳥取平野西部から南部エリアの古墳の墳形を確認するための測量を県史編纂室と共同で実施している。

【古代山陰道】
令和1・2年度に鳥取市青谷町内で実施した発掘調査で次のことが確認できた。
・東側丘陵頂部、東斜面の会下坂部分において切り通し(オープンカット)で造られた古代山陰道を確認
・東側丘陵部西側斜面の養郷坂部分において、全国初となる「つづれ折れ」の古代山陰道を確認
・丘陵部の発掘調査成果により、青谷平野(青谷上寺地遺跡・青谷横木遺跡)から東側丘陵部に続く古代山陰道のルートを確定

また、実施した関連イベント結果は次のとおり
・発掘調査成果を公開する現地説明会では、R1年度 161人、R2年度 106人(コロナ対策により参加者限定)の参加者
・古代山陰道ウォークインベントでは、R1年度 93人の参加者

【中世城館】
令和1・2年度に群雄が割拠した16世紀後半の西因幡・東伯耆エリアで踏査、発掘調査を実施し、次のことが確認できた。
・一時期鹿野城に替わって機能したと考えられる旧気高郡エリアで遺構の残りが非常によい「狗尸那城」を確認
・その他、織田氏(秀吉軍)の天下統一の動向に関わる重要な西因幡、東伯耆の関連城郭の踏査を実施し、詳細縄張図を作成
・狗尸那城に発掘調査を実施し、主郭部分で県内初となる大型礎石建物(主殿)跡を確認

また、実施した関連イベント結果は次のとおり
・発掘調査成果を公開する狗尸那城現地説明会では、R2年度 125人の参加者(コロナ対策により参加者限定)

これまでの取組に対する評価


 県内初(狗尸那城)あるいは国内初(古代山陰道)という発見、一流研究者や文化庁の専門家トップによる高い評価、テレビやラジオでの取材や報道などにより、古代山陰道や狗尸那城は現段階では史跡指定されていないが、すでに現地説明会や講演会などに県内外から多数の参加者があるなど、地域振興にも役立っており、地元も盛り上がりつつある。このように、調査研究を行い遺跡・文化財を価値付ける取組みが重要である。
 また、全国的にも「日本100名城」、「続日本100名城」、御城印などの価値付けでも地域振興に大いに役立っている。

【古 墳】
現状保存した本高14号墳について、文化庁も当県におけるその重要性を理解しているが、国指定史跡を狙うためには本高14号墳と周辺の古墳や遺跡とのグループ関係、弥生時代の墳丘墓との比較等を確認し、本高14号墳の価値付けを行うことが必要とされている。
国史跡指定を狙うにあたっては早急な調査実施が必要である。

【古代山陰道】
発掘調査結果等により次の評価を得ている。
・「因幡国古代山陰道発掘調査委員会」(R2年度設置)において、発掘調査で確認された古代山陰道を正式に認定
・文化庁から全国的にも非常に貴重な遺跡で国史跡級と評価される。
その上、関連イベントとして現地説明会、ウォーク等を実施すると一般、研究者を含め多くの参加者が集まる上、古代山陰道についての講演依頼も多く、大変好評を得ている。
また、9月議会の知事答弁において古代山陰道を含む青谷地域の歴史・観光資源を活用した取り組みを進める旨の発言があり、今後の西因幡エリアの地域振興を進める上で古代山陰道は主要なアイテムになっている。

【中世城館】
狗尸那城の発掘調査結果等により次の評価を得ている。
・中世城館研究の第一人者であり、県文化財保護審議会委員を委嘱している研究者から残りがよく非常に見事な山城で、全国の中世城館の変遷史を考える上でも重要であり、国史跡級との評価を受ける。
・文化庁から全国的に見ても特徴的な造りの山城で国史級の山城との評価を受ける。

現地説明会では一般、研究者を含め多くの参加者が集まり、大変好評を得ている。また、地元自治体や観光団体も取り込みに意欲的であり、地域資源として活用していくことが大いに期待できる。




要求額の財源内訳(単位:千円)

区分 事業費 財源内訳
国庫支出金 使用料・手数料 寄附金 分担金・負担金 起債 財産収入 その他 一般財源
前年度予算 3,115 1,557 0 0 0 0 0 0 1,558
要求額 9,283 4,021 0 0 0 0 0 0 5,262