これまでの取組と成果
これまでの取組状況
【事業目標】
・国県史跡指定の拡大
・調査研究を通しての遺跡の露出度の拡大
・地域の史跡、遺跡の活用気運の向上
【古 墳】
鳥取西道路建設時の発掘調査により本高14号墳の築造時期が山陰地方最古という可能性が認識され、その重要度から、国交省と協議の結果、平成21年度、道路建設方法を当初のオープンカット工法からトンネル工法へ変更し、現状保存することとした。また、現状保存後は、平成29・30年度、本高14号墳近辺の鳥取平野西部から南部エリアの古墳の墳形を確認するための測量を県史編纂室と共同で実施している。
【古代山陰道】
令和1・2年度に鳥取市青谷町内で実施した発掘調査で次のことが確認できた。
・東側丘陵頂部、東斜面の会下坂部分において切り通し(オープンカット)で造られた古代山陰道を確認
・東側丘陵部西側斜面の養郷坂部分において、全国初となる「つづれ折れ」の古代山陰道を確認
・丘陵部の発掘調査成果により、青谷平野(青谷上寺地遺跡・青谷横木遺跡)から東側丘陵部に続く古代山陰道のルートを確定
また、実施した関連イベント結果は次のとおり
・発掘調査成果を公開する現地説明会では、R1年度 161人、R2年度 106人(コロナ対策により参加者限定)の参加者
・古代山陰道ウォークインベントでは、R1年度 93人の参加者
【中世城館】
令和1・2年度に群雄が割拠した16世紀後半の西因幡・東伯耆エリアで踏査、発掘調査を実施し、次のことが確認できた。
・一時期鹿野城に替わって機能したと考えられる旧気高郡エリアで遺構の残りが非常によい「狗尸那城」を確認
・その他、織田氏(秀吉軍)の天下統一の動向に関わる重要な西因幡、東伯耆の関連城郭の踏査を実施し、詳細縄張図を作成
・狗尸那城に発掘調査を実施し、主郭部分で県内初となる大型礎石建物(主殿)跡を確認
また、実施した関連イベント結果は次のとおり
・発掘調査成果を公開する狗尸那城現地説明会では、R2年度 125人の参加者(コロナ対策により参加者限定)
これまでの取組に対する評価
県内初(狗尸那城)あるいは国内初(古代山陰道)という発見、一流研究者や文化庁の専門家トップによる高い評価、テレビやラジオでの取材や報道などにより、古代山陰道や狗尸那城は現段階では史跡指定されていないが、すでに現地説明会や講演会などに県内外から多数の参加者があるなど、地域振興にも役立っており、地元も盛り上がりつつある。このように、調査研究を行い遺跡・文化財を価値付ける取組みが重要である。
また、全国的にも「日本100名城」、「続日本100名城」、御城印などの価値付けでも地域振興に大いに役立っている。
【古 墳】
現状保存した本高14号墳について、文化庁も当県におけるその重要性を理解しているが、国指定史跡を狙うためには本高14号墳と周辺の古墳や遺跡とのグループ関係、弥生時代の墳丘墓との比較等を確認し、本高14号墳の価値付けを行うことが必要とされている。
国史跡指定を狙うにあたっては早急な調査実施が必要である。
【古代山陰道】
発掘調査結果等により次の評価を得ている。
・「因幡国古代山陰道発掘調査委員会」(R2年度設置)において、発掘調査で確認された古代山陰道を正式に認定
・文化庁から全国的にも非常に貴重な遺跡で国史跡級と評価される。
その上、関連イベントとして現地説明会、ウォーク等を実施すると一般、研究者を含め多くの参加者が集まる上、古代山陰道についての講演依頼も多く、大変好評を得ている。
また、9月議会の知事答弁において古代山陰道を含む青谷地域の歴史・観光資源を活用した取り組みを進める旨の発言があり、今後の西因幡エリアの地域振興を進める上で古代山陰道は主要なアイテムになっている。
【中世城館】
狗尸那城の発掘調査結果等により次の評価を得ている。
・中世城館研究の第一人者であり、県文化財保護審議会委員を委嘱している研究者から残りがよく非常に見事な山城で、全国の中世城館の変遷史を考える上でも重要であり、国史跡級との評価を受ける。
・文化庁から全国的に見ても特徴的な造りの山城で国史級の山城との評価を受ける。
現地説明会では一般、研究者を含め多くの参加者が集まり、大変好評を得ている。また、地元自治体や観光団体も取り込みに意欲的であり、地域資源として活用していくことが大いに期待できる。