1 事業の目的・概要
県内各所において、適正に管理されない状態の危険な空き家が顕在化し、生活環境の悪化等の問題が生じており、また災害発生時の被害リスク等も懸念されることから、空き家の増加及び老朽化の抑制、空き家利活用の促進等を目的に、空き家所有者等に対する意識啓発の取組等を実施する。
2 主な事業内容
(1)空き家化抑制推進事業
<追加要求額:3,300千円(既査定額500千円※>
【拡充事業内容】
- 空き家の老朽化や適正管理等ついて、空き家の所有者や将来の空き家所有者(予備軍)等に向けて映像を活用した周知及び啓発活動を進め、積極的な利活用による空き家の増加抑制、老朽化抑制、除却(解体)、跡地活用等の促進を図る。
区分 | 内容 |
事業主体 | 県(直接事業) |
事業内容 | 映像制作・メディア媒体(CATV等)での配信等による空き家化抑制のための周知・啓発
(テーマに合わせて5分、1分、30秒、15秒等を制作)
<周知・啓発テーマ(案)>
- 空き家になってしまう前に(居宅の将来について家族で相談/所有者(相続者)向け)
- 空き家になってしまったら(空き家の適正管理の重要性/所有者(相続者)向け)
- 空き家の活用や処分に向けて(登記の重要性/所有者(相続者)向け)
- 空き家について困ったら(空き家の相談窓口の紹介/所有者(相続者)向け)
- 補助制度、空き家バンク制度等の紹介(所有者、活用希望者向け)
- 中古住宅、リフォーム・リノベーション住宅の紹介(県民全般向け)
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要求額 | 3,300千円 |
※既査定額(事業内容)
空き家発生予防に資する意向確認手法の検証(※地域のまちづくり団体への委託事業として実施)
1)空き家の発生予防に向けた住宅の事前登録制度やお家の住継ぎ(すみつぎ)ノート作成等
2)高齢者宅において、空き家になる前段階から将来の活用を意識する啓発、意向の明確化促進等
3 背景、取り巻く状況等
人口減少や高齢化が進む中、県内の空き家数は増加の一途にあり、県内市町村が空家特措法や条例に基づき指定している特定空き家等(危険空き家)数は857件(R元年度末現在)となっており、毎年10%程度の勢いで増加している。
市町村では特定空き家等の所有者特定を進め、撤去等の地道な改善指導を行っているが、所有者不明又は所有者が判明しても所在不明や相続協議の未了、高齢問題、資力不足等の理由で改善が進まない物件が多数存在している。
空き家の増加は、周辺地域の安全性の低下、地域価値の低下、地域の活力の低下等を招くため、居住者に対して事前に働きかけ意識啓発を図る等、空き家の発生を予防する取り組みが重要と考えられる。
日本の平均世帯人員数は、以降60年間で約1/2となり、2016年(H28年)には2.47人まで減少している。核家族化の進行により高齢者夫婦だけで暮らしている世帯も珍しくなくなっている。
最大の人口ボリューム層である「団塊の世代」が後期高齢者に近づいており、その世代が建築した多くのマイホームが、住み継ぐ家族がいない“空き家”となってしまう前に効果的な対策を進める必要がある。
4 指摘・提言等
(1)決算審査特別委員会口頭指摘内容(空き家対策の推進について)
空き家利活用については、所有者が利活用そのものに消極的である場合や、適切に管理しないため老朽化を進行させてしまう場合などが少なくなく、その気運はいまだ県内に広がっていないと考えます。
(2)鳥取県国土強靱化地域計画の第2期計画策定における有識者意見(災害時に備えた空き家対策)
- 今にも崩れそうな空き家が多くあり、地震により崩れて通行人に被害が出ることが予測されるため、空き家に対する取り組みを今後検討していかれると良いと思う。
- 空き家が増えているが、地震等の災害があった場合に倒壊の恐れがあるので対策の検討が必要である。
(3)県政モニタリング事業における提案内容(空き家の利活用の推進について)
- 県民や移住希望者等に関心を持ってもらうための工夫や効果的な情報発信を行う必要がある。
- 中古住宅活用が当たり前の社会に向けた啓発を進める(中古住宅の魅力を一般に分かりやすく伝える)必要がある。