○近年の再犯者率は上昇傾向にあり、再犯者は犯罪により頼れる人がいなくなり、社会的に孤立し、再び罪を犯してしまうという背景があることから、再犯を防止するためには、罪を犯した者を地域で受入れる体制を構築し、地域での居場所を確保することにより孤立を防ぐことが重要である。
○再び罪を犯す者は、刑務所出所時に適切な帰住地が確保されていない者が半数を占めており、帰住先が確保された者と比較して再犯に至るまでの期間が短く、刑務所への入所を繰り返すと言われている(出所後3か月未満で刑務所に再入所した者うち、約5割が帰住先がない者)。このことから、適切な帰住先の確保は、地域社会での生活を安定させ、再犯を防止するための必要条件となっている。
○給産会は、犯罪をした者に住まいや食事を提供し、自立した地域生活への移行を支援する県内で唯一の更生保護施設である。県が設置する鳥取県地域生活定着支援センターと連携し、刑務所出所者だけではなく、県内の累犯者等の犯罪傾向が高い者や指導が必要な者についても支援を行い、犯罪をした者が地域で孤立して刑務所に戻ってしまうのを防ぐための重要な役割を担っている。
○給産会以外の自立のための宿泊場所として、県内7箇所に自立準備ホームがあるが、福祉施設や児童養護施設等を兼ねており、施設に空室がなければ利用が困難であり、実質的に給産会しか地域での受け入れ先として選択肢がない状況。
○県では、犯罪をした者を地域で受け止めることで再犯を防止し、県民の犯罪被害を防ぐため、平成30年4月1日に鳥取県再犯防止推進計画を策定し、就労・住居の確保などを重点課題の一つとして再犯防止施策を展開している。計画では、施策の成果指標として、令和4年度末までに刑法犯検挙者中の再犯者率を20%とすることとしている。
○給産会は、県内唯一の更生保護施設として刑務所出所者等を受入れ、多くの罪を犯した者の立ち直りを支え、再犯防止に努めている団体であり、県が目標とする再犯者率の減少に大きな役割を果たしているものと考えられる。再犯者の減少は、県民の安心安全な地域社会を守ることにも繋がるため、県としても更生保護事業の推進に努めていく必要があることから、給産会の建替費用に対して補助を行う。