●国の「精神保健医療福祉の改革ビジョン」(平成16年9月)に掲げる「入院医療中心から地域生活中心へ」という基本理念のもと、精神科病院に入院中の受け入れ条件が整えば退院できる長期入院患者の地域移行を促進することとされた。
●国の「精神科医療の機能分化と質の向上等に関する検討会」で、精神疾患患者の状態像や特性に応じた精神病床の機能分化を進めることにより、早期退院を前提としたより身近で利用しやすい精神科医療とする考え方が示された。
●これらを踏まえ、平成26年4月1日に精神保健福祉法が改正され、入院医療中心の精神医療から地域生活を支えるための精神医療実現に向け、全ての関係者が目指すべき方向性を定めた指針(良質かつ適切な精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針)が策定された。
●平成29年には、精神障がい者のあるべき新たな地域移行の取組として、「精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築」を目指すことが障害福祉計画に係る国の基本指針の中で示された。
●また、「ニッポン一億総活躍プラン」においては、障がい者等、全ての人々が地域で暮らし、生きがいを共に創り、高め合うことができる「地域共生社会」の実現が提唱されたところである。
●精神障がい者の地域移行が進まない要因としては、(1)地域の社会資源(地域移行先)とそのネットワークの不足、(2)長期入院患者が退院後の生活をイメージできない、(3)医療機関の意識、(4)精神障がい者に対する地域での理解が不十分などが挙げられる。