1 事業の目的・概要
農業用ため池における異常気象時等の遠隔監視による安全確保及び避難体制強化を図るため、ICTを活用した監視装置導入を推進し、決壊等による犠牲者ゼロを目指す。
2 主な事業内容
<要求額>
37,144千円
<鳥取県ため池監視システム導入推進事業>
ア ため池監視装置設置
事業主体:県
【令和4〜6年度】
事業量:60箇所
事業費:91,267千円
【令和4年度】
事業量:20箇所
事業費:36,949千円(国10/10) | ○防災重点ため池を対象に、監視カメラ・水位計等の監視装置を設置する。
(装置導入の加速化及び導入後の防災連携構築を図るため、令和4年度から6年度まで、県による集中的設置に取り組む。県で設置した施設は市町へ譲与。)
○画像やデータ情報をため池管理者のみならず、下流住民や行政の防災担当部局等で共有することにより、異常気象時の避難開始判断の充実や管理者による現地確認作業回避を図る。
→ 鳥取県HP(とりネット)から閲覧可能 |
イ 監視装置使用に係る通信料等への支援
事業主体:市町村
補助率:市町村負担の1/2(上限30千円/1箇所)
予算額:150千円 | 監視装置使用に係る通信料、システム利用料、メンテナンス費用等のランニングコストについて、支援を行う。
【要件】
1.防災重点農業用ため池に係るものであること。
2.該当ため池に係るハザードマップが作成されていること、又は、作成される見込みがあること。
3.画像、水位データ等の情報が誰でも共有できるものであること。
【支援内容】
市町負担額と同額を助成するものとし、ため池1箇所あたりの助成額上限を30千円/年とする。 |
ウ 総合評価競争入札に係る審査会経費
事業費:45千円 | (外部委員2名×2回を想定) |
3.現状、課題
〇令和3年7月に本県で発生した豪雨では、ため池の決壊や法面崩落等の直接被害のほか、越水による道路冠水や水位急上昇による住民避難、また、ため池堤体に被害は無くとも、洪水吐流下水による下流浸水被害が発生しており、改修済のため池下流地域も含め、異常気象時には早めの避難行動が求められている。
〇一方、古くから「農業水利施設」であるという性格上、ため池のほとんどは地元水利関係者で管理され、異常気象時の現地確認も地元で行っているのが実情であり、雨中の確認作業は大変危険な状況となっている。
〇そのため、遠隔でため池の情報取得が可能な監視カメラや水位計設置は、有効な手段であり、設置については国定額支援(10/10)が活用可能であるものの、通信料等のランニングコストへの助成制度が無く、地元管理者からは、現状以上の維持管理負担に対応できない等の声もあり、監視装置導入推進の隘路となっている。
〇これまで県内における導入実績も極めて少なく、導入に際しての仕様設定等技術要素が複雑なため、市町による設置対応が困難な状況であることも導入が進まない要因となっている。
〇昨今、ため池に係る法整備や地元負担を伴わないハード対策の充実が図られるなど、ため池に関する地域防災対策が重要視されており、ソフト対策に関しても、地域防災上の観点から、利水関係者に全額の負担を求めるのでは無く、一定程度の支援が必要とされる。
〇本事業では、ため池監視装置の導入に関し、令和4年度から3年間、県による集中的設置を進め、整備の加速化及び設置仕様モデル構築を図る。また、地域防災対策として、導入推進の隘路となっている通信料等ランニングコストへの支援を行い、かつ、監視データの共有化による防災連携強化を図ることで、ため池決壊等による犠牲者ゼロを目指す。