1 事業の目的・概要
ヒラメ、アワビ、サザエ等の放流種苗購入費を支援することにより、漁協、市町村、漁協・市町村等で構成する団体が行う栽培漁業の促進と自立、水産資源の増大による水産物の安定供給を図るほか、将来の漁業者に豊かな漁場を残す。また、新規着業の不安定な期間に養殖種苗購入費を支援することにより、民間団体等が行なう養殖業の定着を図り、水産物の安定供給、地域振興に資する。
2 主な事業内容
(単位:千円)
| 補助金名 | 事業内容 | 実施主体 | 県補助率 | 要求額 | 前年度予算額 | 前年度からの変更点 |
1 | 栽培漁業地域支援対策事業 | 海域への種苗放流を積極的に行う者へ種苗購入経費の一部を支援 | 漁業協同組合、市町村等で構成する団体、養殖業者 | (放流種苗)
ヒラメ、キジハタ:3/4
(養殖種苗)
アワビ、キジハタ、ヒラメ、マサバ、イワガキ:1〜3年目3/4、4、5年目1/2、6年目以降は補助対象外 | 6,841 | 7,002 | 実施主体の減少 |
2 | 持続可能な栽培漁業推進事業 | 「持続可能な栽培漁業推進計画」を策定・実践する漁協に対し種苗購入経費の一部を支援 | 漁業協同組合(補助事業者)、市町村(間接補助事業者) | (放流種苗)
アワビ:1/4以内
県+市町村:5/12以上
サザエ:1/3以内
県+市町村:1/2以上 | 3,794 | 3,868 | 放流尾数の減少 |
| | | | | 10,635 | 10,870 | |
(単位:千円)
| 項目名 | 内容 | 要求額 | 前年度予算額 | 前年度からの変更点 |
1 | 漁業情報処理システム維持管理 | 漁獲情報システムのリース費 | 0 | 893 | 水産企画振興事業へ組み換え |
| | | 0 | 893 | |
3 前年度からの変更点
・資源管理型漁業促進事業を水産企画振興事業の細事業に組み換え。
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
(事業目標)
・放流種苗の購入を支援することで、水産資源の増大による水産物の安定供給を図るほか、将来の漁業者に豊かな漁場を残す。
・養殖種苗の購入を支援することで、養殖業の定着を図り、水産物の安定供給、地域振興に資する。
(取組状況)
・美保湾(境港、日野川沖)で80mm以上のヒラメ6万尾を放流している。標識放流による回収率の把握、全長25cm以下の再放流など資源管理に取り組んでいる。
・放流適地となる県内の岩礁域で50mmのキジハタを放流している。2008年から試験放流、2016年から漁業者による事業放流に取り組んでいる。標識放流による回収率の把握や全長27cm未満の再放流(自主規制)など資源管理に取り組んでいる。
・殻長30mmのアワビ150千個程度、殻長9mmのサザエ340千個程度を放流している。餌となる海藻が多い適地放流や漁獲サイズ規制等の資源管理、藻場造成活動に取り組んでいる。将来を漁業者に資源を残すため、漁獲サイズの自主規制を強化することを条件に購入費を支援している。
・これまでに県内の養殖業者等がヒラメ、マサバ、キジハタ、アワビ、イワガキ等の養殖を実施している。
(課題)
・ヒラメの単価が低いため、単価向上が必要
・キジハタの適正な放流尾数の検証が必要
・アワビ、サザエの単価向上が必要
・養殖種苗の生残率の向上や安定化が必要
これまでの取組に対する評価
(評価)
・ヒラメは2007〜2017年の平均回収率は11.8%と他県と比べ高い水準(最高18.4%)。天然ヒラメの資源量は低水準で2020年の境港小型底曳き網の混獲率は30.8%と、放流が資源の底支えとなっている。
・2014年に2〜3万尾から約4万尾、2015年以降は約5万尾に増加したが、2021年は適正な放流尾数を検討するため2万尾の放流数にした。漁獲サイズの自主規制を行なうなど漁業者の意識は高い。
・アワビ、サザエの放流は目標としていた漁獲量1.3倍をほぼ達成し、儲かる漁業として成長したが、将来を漁業者に資源を残すため放流の継続は必要となっている。
・県内で養殖業者が継続した養殖を続けている。