これまでの取組と成果
これまでの取組状況
令和3年10月1日現在、入所児童は計14名(男子10名、女子4名)あり、小学4年生から高校2年生年齢の児童が在籍している。
年々入所児童の低年齢化が進んでいる状況。
(小学生在籍数:H29 2名、H30 2名、R1 5名、R2 9名、R3 6名/年間、R3のみR3.10.1現在)
令和3年度は、以下を中心に児童の育成を図っている。
(1)児童の権利擁護
(2)自立支援の内容の向上
(3)生活支援の充実
(4)個別支援(ライフスキルトレーニング)の充実
(5)高校進学及び就労児童のアフターケアによる定着率の向上、その他相談業務
(6)開かれた施設運営(交流会の実施、分校の授業参観、寮行事)
(7)運動(男子:野球、長距離走、フットサル等、女子:バレーボール等、男女:水泳)
〜上記7項目の説明は以下のとおり〜
(1)児童の権利擁護
児童に対して定期的に権利擁護に関するアンケートを実施したり、職員に対して月々の指導課会において児童の支援や権利について講師を招いて研修を行うなどにより、児童の権利擁護を推進している。
(2)自立支援の内容の向上
児童相談所、分校教員及び児童が在籍していた学校の教員を含め自立支援会議を開催し、児童自立支援計画に基づく支援方針や計画の変更を実施するほか、心理療法職員の面接などを導入し、個別的支援の強化を図っている。
(3)生活支援の充実
小学生増、発達障害等で身辺自立の支援の充実を図っている。掃除や洗濯などのハウスワークにかかる道具や洗剤類は生活で必要なものではあるが、使い方を含め支援上必要な、いわば教材的な役割でもある。
掃除道具等も、随時、買い替えながら児童とともに作業をしている。消耗品であるため今後も計画的に更新を図っていく。
衣類について保護者からの苦情を受け整備をしているところ。保護者負担と施設負担を整理しつつある。
医療について小学生の入所が増加し、より多岐にわたる診療をうけることになっている。(令和2年度 精神科通院 150件)
(4)個別支援(ライフスキルトレーニング)の充実
児童と職員による個別支援(ライフスキルトレーニング)として、買い物、調理、外食、登山等を月に1回行い、職員との信頼関係の構築を図りながら、ソーシャルスキルを身につける個別支援を推進している。
(5)高校進学及び就労児童のアフターケアによる定着率の向上、その他相談業務
家庭復帰や措置変更し高校進学・就労した児童に対し、訪問等で面接を実施するほか、保護者及び高校教員、施設職員と連携し中途退学・離職等の防止を目標としたアフターケアを実施している。
その他退所生の子育て相談に応じることもある。
(6)開かれた施設運営(交流会の実施、分校の授業参観、寮行事)
保育園、更生保護女性会、他施設とのスポーツ試合など、施設外との交流を積極的に実施している。また、広く施設を理解してもらうために春と秋に園遊会を開催している。さらに、外部団体の視察研修を受け入れることで本園の活動への理解を得る機会としている。近年はコロナ禍により実施できていなかった。来年度以降は児童支援上必要な体験学習の機会でもあり計画的に実施したい。
(7)運動(男子:野球、長距離走、フットサル等、女子:バレーボール等、男女:水泳)
今年度は8月開催の中国野球大会(男子)、10月開催の中国女子バレーボール大会に参加した。また、駅伝・マラソン大会については従来は男子のみの参加であったが、今年度、コロナ禍で各施設開催になったことを機に女子も参加とし、来年度以降も男女とも参加継続を予定している。水泳については、中国地区で記録を持ち寄って表彰している。こういった活動を通じて男女ともに体力向上を図っている。
これまでの取組に対する評価
(1)児童の権利擁護
施設内虐待防止及び苦情処理の流れを入所時のインテークにおいて児童と保護者に説明し理解促進を図っている。
(2)自立支援の内容の向上
平成25年度から児童の入所日にあわせて児童相談所、分校の教員、児童が在籍していた学校教員の関係者会議を開催し、スタート時点での共通理解を深めている。さらに、入所後に自立支援計画の策定を行い、その後に定期的に計画の進捗状況を確認し児童支援目標の明確化を図っている。
また、心理療法職員と連携を行い児童の心理アセスメントによる視点からも児童の支援を行っている。
(3)生活支援の充実
外出など体験活動を通してTPOに則した服装を含め支援を提供している。
児童の低年齢化で従来できていた環境整備(除草、周辺環境の保全)も十分でなくなってきている。
施設の老朽化により設備の破損が増加しており、生活の安全管理上、修繕せざるを得ない。
(4)個別支援(ライフスキルトレーニング)の充実
概ね月1回、児童用に支出する生活訓練費の範囲内で実施している個別支援(ライフスキルトレーニング)活動は、児童が楽しみながら社会スキルを修得したり、職員と児童との信頼関係の構築につながっている。
また、学園施設から一時的に離れることで、児童のストレス解消や寮生活のモチベーションの維持にも役立っている。
(5)高校進学児童及び就労児童のアフターケアによる定着率の向上、その他相談業務
高校進学又は就労した児童に対して、家庭訪問、措置変更先の施設や学校訪問等のアフターケアを実施している。なお、高校進学した一部の児童は順調に学業に励んでいるが、中には学校に通えない児童もあり、就労への切替等の支援を続けている。また、就労した児童は、紆余曲折の中で何とか社会適応しようとしており、継続して支援している。
(6)開かれた施設運営(交流会の実施、分校の授業参観、寮行事)
ア 毎年開催する春及び秋の園遊会では、関係機関等から招待したお客様を児童と職員がもてなし、学園の生活や自立に向けての取組等を紹介し施設や児童の理解を深めている。
イ スポーツを通じて他の施設と交流を行うほか、地元の公民館祭へ児童作品の出品を行っている。また、年間を通して地元保育園との交流を実施している。
コロナ禍により実施できなかった行事、交流については機関紙を発行し、関係機関に呼びかけを続けた。
(7)運動(男子:野球、長距離走、フットサル等、女子:バレーボール等、男女:水泳)
男子は野球、女子はバレーボールを中心としたスポーツを生活日課の中に積極的に取り入れ、スポーツを通じて心の鍛練や忍耐力、チームワーク等人を思いやる力を育成している。また、食欲増進や快眠にもつながるなど生活のリズムの安定にも寄与している。
水泳は全体作業でプール掃除を行い、夏季期間中は安全衛生管理に十分留意しながら、毎日水泳に取り組み、有効な支援となった。