1 事業の目的・概要
同時双方向通信が可能なICT機器やロボットを活用した病気療養児の遠隔教育を推進することで、児童生徒の学習機会を保障するとともに、学習の充実、人間関係を含めた円滑な学校復帰を進める。
2 主な事業内容
| 細事業名 | 内容 | 要求額 | 前年度予算額 | 前年度からの変更点 |
1 | 病気療養児の遠隔教育支援事業 | 同時双方向で通信ができるICT機器及びロボット「OriHime」(計8台)を常時病気療養児が在籍する病弱教育の特別支援学校及び院内学級設置学校へ配備したり、一定期間入院や自宅療養する公立学校の児童生徒に必要に応じて貸し出したりすることにより、病室や自宅で「OriHime」を介して本人と学校をつなぐ遠隔授業を実施し、日常的に仲間と会話したり一緒に活動に参加したりして、学習の充実、集団で学ぶ環境の保障及び円滑な復学につなげる。 | 4,999 | 6,646 | 国庫補助1/3→単県 |
合計 | 4,999 | 6,646 | |
※分身ロボット「OriHime」について
カメラ・マイク・スピーカーが搭載されている上半身人型のロボット。インターネットを通して操作し、手を挙げる、首を振る等の動作、音声出力等が可能。モニターが付いていないため、使用者は周りの環境や自身の姿を気にすることなく使用することができる。
3 背景と必要性
「障害者の権利に関する条約」では、インクルーシブ教育システムを構築することが必要とされているが、病気や体調管理等の関係により学校で共に学ぶことが難しい病気療養児においては、様々な体験等の機会が不足するなどの状況が見受けられ、心身の発達及び社会への参加等の制約があることが課題であった。
平成30年9月20日には文部科学省から「「遠隔教育の推進に向けた施策方針」の策定について(通知)」及び「小・中学校等における病気療養児に対する同時双方向型授業配信を行った場合の指導要録上の出欠の取扱い等について(通知)」の発出があった。さらに、令和3年9月18日に「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」が施行され、病気療養児の遠隔教育の実施と一層の充実が求められている。
事業で期待される効果
○病気や体調管理等の関係により学習への参加が困難になる生活機能の障がいを軽減
○移動による制限があったり、入院中や家庭療養中であったりしても学習できる状態の児童生徒の学習保障が可能
○学校の友だちと日常的にコミュニケーションをとることで円滑な復学支援につながる
○遠隔教育を取り入れた授業展開と学習評価について充実を図ることができる
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
〈事業目標〉
分身ロボットOriHimeを活用し、病室や家庭にいる病気療養児の学習の機会を保障する。
〈取組状況・改善点〉
平成28年度に開始した日本財団との共同プロジェクト「ICTを活用した学習保障事業」において、病室や家庭にいる病気療養児が、教室に配置した分身ロボット「OriHime」を通して学習に参加し、友だちとの交流を持つことができる遠隔教育において、教育の充実に係る成果が得られた。令和3年度9月末現在、県内7校でOriHimeが活用され、成果が報告されている。
これまでの取組に対する評価
病気療養中や新型コロナウイルス感染防止のため、学校に登校できない児童生徒の学習を保障するとともに、学習の充実、人間関係を含めた円滑な学校復帰を進めえるうえで、OriHimeは有効なツールになっている。
今後はこのような「OriHime」の成果を周知し、県内全域での活用を更に進めることで病気療養児の学習保障について、一層の充実を図る必要がある。