○近年、気温上昇や大雨の頻度の増加、農作物の品質低下や動植物の分布域の変化、熱中症リスクの増加など、気候変動に伴う影響が様々な地域で顕在化しており、地球温暖化の進行に伴って、猛暑や豪雨のリスクは更に高まっていくと予測されている。
*鳥取地方気象台における1943年〜2017年の観測結果によると、年平均気温が長期的なトレンドとして100年あたり1.8℃の上昇傾向にあることが示されている。
○気候変動の影響が顕在化して、社会・経済にもたらす損害に対する危機感が高まる中、温室効果ガスの排出削減等により将来的な気候変動を抑制する「緩和策」に加え、既に発生している影響や被害の回避・軽減を図る「適応策」の重要性が高まっている。
○「緩和」と「適応」は気候変動対策の両輪と位置付けられ、人為的な気候変動の要因をできる限り抑制しつつ、避けられない環境変化に対して、柔軟かつ戦略的に”適応”することによって、持続可能な地域づくりに繋げていかなければならず、気候変動による影響について、本県に係る情報を収集して状況を把握する必要がある。
○平成30年12月には適応策の法的位置づけを明確化する「気候変動適応法」が施行され、地方自治体は、「地域気候変動適応計画」の策定と、「地域気候変動適応センター(地域の気候変動影響や適応に関する情報収集、整理、分析、提供等を行う拠点)」の確保等に努めることが規定された。
○これを受けて、「令和新時代とっとり環境イニシアティブプラン(令和2年3月策定)」を「地域気候変動適応計画」と位置付けるとともに、気候変動による県内への影響に関する情報収集・分析や、情報発信・県民・事業者への普及啓発等を行うこととし、その拠点として、令和3年4月1日、気候変動適応法に基づき、「鳥取県気候変動適応センター」を衛生環境研究所に設置した。
○鳥取県気候変動適応センターでは、以下のことに取り組むこととしており、本事業はその一環として実施するもの。
1)気候変動による県内への影響に関する情報・データの収集・分析。
2)関連する調査研究に取り組む。
3)1)、2)で得られる情報・知見を発信し、普及啓発する。
○気候変動による鳥取県内の環境への影響について、特に県内の基幹産業で県民にも馴染みがある農業、漁業への影響の情報収集・分析等を行って具体的な結果を示すことにより、地球規模の問題である気候変動やその影響について、県民が身近な問題として捉えることができる。
○その結果、県民の気候変動やその影響に対する問題意識が高まり、農業分野等で既に取り組まれている「適応策」の更なる検討や、「緩和策」の促進に繋がる。
○栄養塩等の流れが形成する沿岸の水環境や生態系(漁業資源を含む)について、気候変動影響に係る評価を含め、科学的知見を得て関係付けることで、保全意識の醸成と漁業資源の付加価値向上(ブランド化)や販売促進に繋がる。
⇒気候変動による環境変化に対して柔軟且つ戦略的に対応することで、持続可能な地域づくりに繋がる。