1 事業の目的・概要
「水道広域化推進プラン(水道)」及び「広域化・共同化計画(下水道)」(以下「広域化計画等」という)の策定段階における首長意向等を踏まえた再シミュレーションを行うとともに「今後の推進方針」の最終調整を行い、広域化計画等として確定させる業務を外部委託により実施する。併せて、広域化計画等の実効性を確保するため、計画策定後(令和5年度以降)の関連団体同士による詳細検討(広域化実行検討)に向け、県内でモデルとなるメニュー・ブロックを選定して先行着手するともに、モデル事例として他ブロックへ展開し、広域化計画全体の実行サイクルを確立する。
2 主な事業内容
広域化計画等の策定及び実行着手支援等業務の委託
(単位:千円)
区分 | 事業名 | 内容 | 要求額 | 前年度予算額 | 前年度からの変更点 | 備考 |
水道 | 水道広域化推進プラン策定及び実行着手支援等委託業務 | (1)モデルメニューにおける先行検討
県内でモデルとなる検討メニュー・ブロックを選定し、令和5年度以降の市町同士による詳細検討に向けた検討体制、費用負担、役割分担、法手続きの整理、詳細検討スケジュールの決定等について協議・調整を行う。
また、モデルメニューでの検討内容については、県内他ブロックへ展開・共有し、令和5年度以降の市町村自主的検討体制の構築につなげ、水道広域化推進プランの実行性を向上させる。
(2)水道広域化推進プランの確定
首長協議等を踏まえ、広域化パターン・効果試算・財政シミュレーション等の追加・調整を行ったうえで、水道広域化推進プランとして確定させる。 | 14,738 | 13,365 | 新業務 | |
下水道 | 広域化・共同化計画策定及び実行着手支援等委託業務 | (1)モデルメニューにおける先行検討
県内でモデルとなる検討メニュー・ブロックを選定し、令和5年度以降の市町村等同士による詳細検討に向けた検討体制、費用負担、役割分担、法手続きの整理、詳細検討スケジュールの決定等について協議・調整を行う。
また、モデルメニューでの検討内容については、県内他ブロックへ展開・共有し、令和5年度以降の市町村自主的検討体制の構築につなげ、広域化・共同化計画の実行性を向上させる。
(2)広域化・共同化計画の確定
首長協議等を踏まえ、広域化パターン・効果試算・財政シミュレーション等の追加・調整を行ったうえで、広域化・共同化計画として確定させる。 | 13,970 | 14,608 | 新業務 | |
合計 | 28,708 | 27,973 | | |
3 背景
上・下水道事業は、人口減少や節水機器の普及による使用料収入の減少、施設設備の老朽化による更新投資の増大、専門技術者の減少といった課題を抱えており、事業の持続可能性を確保するために経営基盤を強化する取り組みが求められているところである。その方法としては広域化・共同化の推進のほか、官民連携の導入、公営企業会計の適用、ストックマネジメント(アセットマネジメント)に基づく老朽化対策や経営改善などがあげられるが、国は、このうち広域化・共同化について、その推進方針や当面の具体的取組内容を定める広域化計画等を令和4年度までに策定するよう県に要請している。
4 県と委託先との業務分担
<県での業務>検討会の開催、計画確定協議の実施、全県実施ソフト連携メニューの検討着手
全県実施ソフト連携メニュー・・災害時合同訓練の実施、人材育成の共同化(勉強会の合同開催)等
<委託先での業務>詳細検討体制の構築、広域化計画策定に係るシミュレ―ション等の追加・修正等
シミュレーション・・自然体将来推計、広域化パターンの設定、広域化効果試算、財政シミュレーションへの反映、推進方針の検討
5 前年度からの変更点
(1)外部委託業務
令和2〜3年度:国マニュアルに沿った広域化計画等の案(たたき)の作成業務
令和4年度:広域化計画等の策定後(令和5年度以降)の詳細検討体制の確立、及び首長協議を踏まえた広域化計画等の最終調整を行う業務
水道:EY新日本有限責任監査法人 14,738千円(R2:13,365千円、R3:13,365千円)
下水道:日水コン・トーマツ共同企業体 13,970千円(R2:14,619千円、R3:14,608千円)
(2)先進事例勉強会(講演会)の開催
モデル検討メニューに係る先進事例研究・活用業務を(1)の委託業務に内包した。
0千円(R3:640千円)
6 スケジュール
年 度 | 全 体 | 県(直接検討) | コンサル(委託先による検討) |
令和元年度 | ・県と市町村で広域化検討の方向性を議論 | - | - |
令和2年度 | ・シミュレーションの実施 | ・事務共同化について直接検討
(例)災害時連携体制の構築、薬品等の共同購入等 | ・現状把握、課題分析
・シミュレーション条件の設定
・自然体将来推計の作成
・広域化メニューの一次試算(定性的・定量的シミュレーション)
・一次試算結果を受けた広域連携メニューの提案 |
令和3年度 | ・シミュレーションの実施
・計画(案)の作成 | ・事務共同化についての直接検討
⇒条件が整ったものから先行実施
(例)指定給水装置工事事業者に対する講習の共同化について、東部は令和2年度から実施し、中部は令和3年度から実施予定。
・広域化計画(案)としてのとりまとめ・・共同化部分 | ・広域連携メニューの確定、マッチングの実施
・広域連携メニューに対する財政収支シミュレーションの実施
・広域化計画(案)としてのとりまとめ・・広域化部分 |
令和4年度 | ・広域化計画(案)の首長間協議
・広域化・共同化の推進方針の決定
・広域化計画等の策定
・R5以降検討体制の確立 | ・首長協議の実施
・全県実施共同化メニューの詳細検討に先行着手
・広域化計画等の策定
・R5以降検討体制の確立 | (今回要求事業による業務)
・モデルメニューに対する先行検討に着手
・モデル事例として他ブロックに展開
・R5以降検討体制の確立
・首長協議を踏まえたシミュレーションの実施、広域化推進方針の検討・提案、広域化計画最終案の調整 |
令和5年度以降 | <天神の運営主体としての業務>
・詳細検討の着手
<県(広域化調整役)としての業務>
・広域化計画等の進捗管理 | ・天神川流域下水道関連メニューについて、事業主体として関連市町と詳細検討を実施。
・県(旗振役)として、全メニューの検討実施を調整。 | <天神の運営主体としての業務>
・天神の汚水処理統廃合等に係る詳細設計業務等の委託を予定
<県(広域化調整役)としての業務>
・広域化計画等の進捗管理、調整等の支援業務について委託を外部委託を検討 |
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
<事業目標>
・令和4年度までの広域化計画等の策定
・令和5年度以降の詳細検討体制の確立
<取組状況・改善点>
(平成30年度まで)
全ての市町村が参加する「上・下水道広域化・共同化検討会」を県内3流域別に設置し、主に一部事務の共同化を中心に検討を行った。(具体的な提案には至らなかった。)
(令和元年度)
計画策定マニュアルが国から示され、その方針にしたがって主に施設統廃合等の大局的な連携の可能性を検討した。
(令和2年度)
広域化計画等の策定に向け、現状把握・課題分析、自然体将来推計を実施。
(令和3年度)
広域化計画等の策定に向け、広域化パターンの設定、効果試算、財政シミュレーションを実施し、広域化計画等(案)のとりまとめ作業を行っている。
これまでの取組に対する評価
<広域化得検討>
各市町村の事業・施設に関するデータの収集・共有や個別ヒアリングなどを通じ、県内では可能性が低いと思い込んでいたハード連携等を中心に多数の連携メニューが想定されるようになった。また、シミュレーション等業務を外部コンサル等に委託することによって、現状・課題把握、自然体将来推計、広域化パターンの設定、効果試算、財政シミュレーション等の業務が着実に進んでいる。
<共同化検討>
調整が終了したメニュー(指定給水装置工事事業者に対する講習会の共同開催)については合意に至ったため、順次共同化の実行に着手するなど、成功事例が出始めている。
<今後の方向性>
令和4年度に計画を作成した後、令和5年度以降は関連する市町同士での詳細検討(直接的な実行検討)を行うこととなるため、広域化計画等が絵に描いた餅にならないよう、実行フェーズに向けた今後の進め方を確立する必要がある。