これまでの取組と成果
これまでの取組状況
1、コンパクトで低コストな脱臭装置の開発
中小家畜試験場で開発したガラス発泡材脱臭装置をさらにコンパクトで低コストなものにするため、従来の微生物方式からクエン酸を用いた洗浄方式に転換した新たな装置の開発に向け、試験を行ってきた。
令和2年度は、脱臭槽1立米の装置を製作・設置し、中小家畜試験場の鶏糞堆肥化施設の臭気を用いて脱臭性能を調査した。また必要なガラス発泡材量やクエン酸水の交換時期、廃液処理方法等を検討した。令和3年度は、養鶏農場へ実用規模の試験装置を設置し、脱臭性能やコストを現在調査中である。
2、畜産汚水処理施設の運転管理遠隔監視システムの開発
(1)水質監視システム試作機の製作及び改良
合同会社TURIPテクノロジズ及び鳥取大学の協力を得て、水質のモニタリングができる試作機を製作し、中小家畜試験場汚水処理施設の最終処理槽のpH、ORP、水温について計測行い、測定結果はインターネットブラウザにより表示・閲覧できるようにした。クラウドサーバーへのデータ送信が途切れることがあったため、プログラムの改善を図った。
(2)代替指標による水質推定の検証
試作機によるモニタリング結果と実際の水質との相関を検証するためのデータ解析を行った。検証のため、最終処理水のBOD、SS、透視度、無機窒素(アンモニア性窒素、亜硝酸性窒素、硝酸性窒素)について水質分析を行った。透視度、BOD、SS間についてはある程度の相関が見られたが、ORPと無機窒素には明確な相関は認められず、pHと無機窒素についても明確な相関は認められなかった。そのため、新たな水質測定センサーとして、EC及び色度計を追加し、水質測定を継続し代替指標となり得るか、引き続き検証を行うこととした。
これまでの取組に対する評価
1、コンパクトで低コストな脱臭装置の開発
令和2年度の試験では、試験期間中(約6ヶ月間)のアンモニア平均除去率は93%と高く、十分な脱臭効果が確認された。ただし、クエン酸水pHが6.5を超えると急激に脱臭能力が低下するため、その手前の時点でクエン酸水を交換する必要がある。またクエン酸廃液の処理方法としてコマツナに対する液肥施用試験を行ったところ、市販液肥と同等の効果があることが確認された。
令和3年度の試験では、現在のところ(試験開始から約1ヶ月間)、アンモニア平均除去率は約97%と令和2年度試験と同様、高い脱臭効果が得られている。またコストについては使用するガラス発泡材量を従来の微生物方式の10分の1程度にすることが可能であることから、設置面積及び設置コストを半分程度にすることができるものと推察された。
2、畜産汚水処理施設の運転管理遠隔監視システムの開発
産学官連携により、年度のかなり早い時期から試作機を製作、水質計測を開始することができた。
早期に水質計測を開始できたため、代替指標による水質推定に関する検証にも着手できており、試験研究は極めて順調に進んでいる。