(1)「輝太郎」早期成園化・早期収量確保
・大苗活用による早期樹冠拡大試験
(2)「輝太郎」生産安定(収量確保)
・後期生理落果の実態調査及び環状剥皮処理の落果軽減効果確認
・樹勢の維持、着果管理法の確立
・「輝太郎」に適した施肥体系の検討
(3)「輝太郎」果実品質の向上
・熟期促進による出荷時期前進化試験
・外観向上対策の検討
(4)既存品種の生産安定
・品種に適した施肥体系の検討
鳥取県のカキ栽培面積は約135ha(令和3年見込み JA全農とっとり)で、県内の果樹ではナシに次ぐ面積である。園芸試験場で国との共同で育成した「輝太郎」が平成22年に登録され、供給された苗木は令和2年までに29,600本(約49ha相当)が植栽された。高値で取引れていることから今後も導入が進み、本県の特産となることが期待される。
また、今後は県外でも「輝太郎」の栽培が行われる見込みで、早急に「輝太郎」の数量確保と高品質化を進め、鳥取県産「輝太郎」のブランドを確立し、本県のカキ産地力を強化することが必要である。
平成30年度には生産者、JA、県等で組織する「輝太郎」ブランド化プロジェクトで、「輝太郎」振興プランを策定し、令和10年度に栽培面積を80haにする計画を立て、県全体で「輝太郎」生産振興を図っているところである。
(1)「輝太郎」早期成園化・早期収量確保
生産現場では植付け後の初期生育が悪いほ場があり、早期に樹冠を拡大し収量を確保するため、植付け後〜幼木の管理方法の確立をする必要がある。
(2)「輝太郎」生産安定(収量確保)対策
肥沃地の樹勢が強い樹などで8月に後期生理落果が多い傾向がみられる。このため、生理落果対策に着果量を多めに残して摘果を遅らせ、最終的に成らせすぎで樹勢が低下してしまう事例が散見される。このため、後期生理落果の実態を調査するとともに、落果軽減対策や施肥体系を検討し、生産安定を図る必要がある。
(3)「輝太郎」果実品質の向上対策
「輝太郎」は9月下旬から10月中旬にかけて出荷されているが、10月中旬頃から全国的にカキの出荷量が増加して単価が下がるため、有利販売が期待できる10月上旬までの出荷率を高めることが求められている。また、多品種と比べて果面の汚れやスレ傷が発生しやすいため、外観のよい果実を生産するための技術確立が必要である。
(4)既存品種の生産安定対策
既存品種でも品種に適した施肥方法の改善が必要である。