1 事業の目的・概要
○県内金融機関・信用保証協会・商工団体等の関係機関が連携して県内中小事業者等の経営等支援を行う本県独自の体制「とっとり企業支援ネットワーク(※)(以下「NW]という。)」では、事業者に対する事業の継続・成長に向けた取組を支援している。
○コロナ禍で多くの事業者が経営に影響を受ける中で、ネットワーク構成機関でもある金融機関が行うコロナ融資実行先に対するモニタリングの過程において、連携支援が必要な優先支援先を信用保証協会とも連携しながら抽出している。
〇償還に向けた売り上げ確保に繋がる販路開拓等、先手を打った支援を行うとともに、一時的な債務超過だが将来の業績回復が見込める地域に必要な企業等に対しては、専門家派遣等の制度も活用しつつ、ネットワーク構成機関の連携による国の資本性資金の投入を見据えた財務面の支援を強化するなど、企業毎の状況に応じたオーダーメイド型の支援を展開している。
(※)「とっとり企業支援ネットワーク」
・平成24年に金融円滑化法終了の出口対策として、県・信用保証協会・県内金融機関・商工団体等20機関で協定締結した本県独自の企業支援体制。
これまで350社以上の事業者に対する経営等に関する取り組みを支援。
2 主な事業内容
(1)とっとり企業支援ネットワーク連携強化事業(※財源:地方創生交付、国1/2、県1/2)
・従来は資金繰りを中心とした経営支援を行ってきたが、支援内容並び企業を更なる成長に導く効果にも限界があり、企業の段階的成長に繋げていくために
支援内容の充実・強化が必要。
・NW構成機関の連携により、国の資本性資金投入を見据えた財務面の支援強化等、R2年度より展開している。
・経営支援強化と併せ、売上向上に向けた販路開拓や業態転換等の取り組みを重点的に支援することで、企業の段階的な成長を後押しが急務。
(単位:千円)
| 細事業名 | 内容 | 要求額 | 前年度
当初予算額 | 前年度からの変更点 |
1 | とっとり企業支援ネットワークの運営 | 県内中小企業・小規模事業者の経営支援・金融支援を行うため、鳥取県経営サポートセンターを事務局に「とっとり企業支援ネットワーク」の枠組みにより商工団体・金融機関等との連携強化を図る。(事務局:鳥取県経営サポートセンター)
・コーディネーターの配置(4名) ※職員人件費で別途要求
・事務費 | 5,664 | 5,664 | |
2 | 【拡充】外部専門家の派遣事業
(販路開拓に係る専門家派遣の追加) | 事業者等による経営課題の的確な把握及び課題解決等の取り組み促進による経営力の強化を図るため、とっとり企業支援ネットワークの枠組みでの事業者支援の一環として、専門的な見地から経営改善、財務分析等を行う中小企業診断士等の外部専門家を派遣し、経営改善計画の策定等の経営支援を図る。
・経営診断、経営改善等に係る計画策定支援
・企業の現状分析、経営課題抽出・分析支援
・資本性劣後ローンの申込みに必要な事業計画策定支援
・(新)県内外に商品を販路開拓する代行活動支援 | 6,000 | 3,000 | ・コロナ融資を受けた製造業や食品卸売業等で販路開拓する事業者への支援 |
合計 | 11,664 | 8,664 | |
(2)【新規】企業支援ネットワーク情報プラットフォームDX事業
鳥取県特有の経営課題及び地域市場の特性、経営支援のプロセス及び解決策を分析し、それらの情報を商工団体等と共有化することで経営支援業務の効率化及びコロナ禍の影響を受ける県内中小事業所の経営支援に活用する。 (単位:千円)
| 細事業名 | 内容 | 要求額 |
1 | (新)企業支援ネットワーク情報プラットフォームDX事業 | 企業支援NWの成果をコロナ禍の影響を受ける事業者の経営支援方策に活用するため、企業支援NWで支援してきた約350事業者の経営課題の傾向及び支援策の好事例を分析した上で、クラウドデータベースに入力し、効果的な支援方策等を関係機関で情報共有する。
・企業支援ネットワーク業種別支援実態分析
・企業支援ネットワーク情報データベース構築 | 2,530 |
背景
〇平成20年度から商工団体、鳥取県信用保証協会、産業支援機関が連携して企業診断を実施。
〇平成24年度に金融支援を一体的に行うため金融機関が参加する枠組みに拡充するため、県内金融を加えた20団体による「とっとり企業支援ネットワークに関する協定」を締結。
〇平成24年度から中小企業者の経営改善の取組を促進するため、「鳥取県経営再生サポートセンター(現鳥取県経営サポートセンター)」を開設し、コーディネーターを配置。商工団体・金融機関とのネットワーク支援の連絡調整等を担い、中小・小規模事業者の成長及び持続的発展を目指した支援(経営支援、金融支援、事業承継支援、起業創業支援等)を行うため金融支援と経営支援を一体的に推進。また、外部専門機関を活用する支援制度を創設。
〇平成27年度から専門支援機関を集約化した「ビジネスサポートオフィスとっとり」を開設。
(令和2年度から支援性質別に2か所に分散配置)
【とりしん本町プラザ配置機関(鳥取市本町)】
・鳥取県経営サポートセンター(県事業、県商工労働部サテライト)
・鳥取県事業引継ぎ支援センター(国事業、鳥取県産業振興機構)
・鳥取県よろず支援拠点(国事業、鳥取県商工会連合会)
【鳥取県産業振興機構配置機関(鳥取市若葉台)】
・鳥取県中小企業再生支援協議会(国事業、鳥取県産業振興機構)
・鳥取県経営改善支援センター(国事業、鳥取県産業振興機構)
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
【事業目標】
〇県内の中小事業者は、人口減少及び景気の低迷により、売上の減少、収益性の低下、資金繰りの悪化等、経営環境が悪化しており、そうした事業者が抱える経営課題を解決していくため、「とっとり企業支援ネットワーク」において、県内中小事業者等の経営支援と金融支援を一体的に支援し、事業者の事業継続・成長拡大に繋げていく。
【取組状況・改善点】
≪平成20年度≫
○県内企業の経営課題に対しより迅速に質の高い支援を提供するため、関係10機関で「とっとり企業支援ネットワーク」を構築。東中西部で現場レベルの連携意識の浸透を図ってきた。
≪平成22年度≫
○各機関が機能分担して全県合同体制で運営。(診断事務局:鳥取商工会議所、資金繰り:信用保証協会等)
○連携支援に係る活動費を助成するため、「とっとり企業支援ネットワーク連携強化事業費補助金」を創設。
≪平成23年度≫
○東日本大震災の発生を契機にとっとり企業支援ネットワークの枠組みを拡大し、「東日本大震災特別相談体制」を構築(平成24年3月末まで)、民間・政府系金融機関も含む20機関で協定を締結し、県が事務局となってチーム編成し、連携支援を継続しているところ。
≪平成24年度≫
○平成25年3月末の金融円滑化法終了に備え、中小企業者の経営改善の取組を促進するため、「経営再生サポートセンター(現経営サポートセンター)」の開設と総合コーディネーターの配置、商工会議所の支援体制の強化及び経営再生円滑化借換特別資金の創設等により、金融支援と経営支援を一体的に推進。
○平成24〜26年度にかけて、支援体制を継続しながら、国・士業関係団体等との連携体制の構築(オブザーバー機関の追加)、主に経営改善計画策定支援を進めてきた。
≪平成27年度≫
○県・国の支援機関を集約化した「ビジネスサポートオフィスとっとり」を開設。
○県内事業者の多くが後継者不足や高齢化といった問題を抱えており、事業承継の円滑化を図っていくことが重要であることから、県事業引継ぎ支援センターを新設。
○より幅広い経営課題(経営改善、新事業展開、事業承継等)にも対応すべく、県経営サポートセンター等と共に連携し、複雑化、専門化する中小企業の経営課題に対応する体制の強化を進めた。
≪平成28年度〜≫
○専門支援機関との連携体制構築(オブザーバー機関の追加)し、新たな経営課題に対応できる支援体制を確立・強化してきた。
これまでの取組に対する評価
≪平成21年度≫
○連携支援実績 5件(うち、企業診断2件)
≪平成22年度≫
○連携支援実績 15件(うち、企業診断4件)
≪平成23年度≫※東日本大震災特別相談体制
○連携支援実績 25件(うち、企業診断1件)
≪平成24年度〜令和2年9月末現在≫
○連携支援実績 331件(支援完了275+支援中56)
○毎年コンスタントに案件が出てきており、随時対応。金融支援と経営支援の一体的支援により、経営安定化、成長への足がかりとした企業も存在。
○平成27年度からは起業創業に係る経営支援、事業承継支援や販路拡大といった前向き案件にも対応している。
○今後、県内中小・小規模事業者の経営改善はもちろんのこと、新陳代謝の促進、ビジネスモデル再構築に貢献していく体制をさらに強化していくことが県内経済の成長・持続的発展には重要である。