(1)JAでは、1970年代後半から国庫事業の活用により米穀乾燥施設(ライスセンター。以下、RC)を導入し、農家の負担軽減、県産米の安定生産、品質向上に寄与してきた。特に1990年代後半からは、大型の米穀乾燥調製施設(カントリーエレベーター。以下、CE)の導入を進め、年間を通じた高品質な県産米の供給に繋がっている。
(2)近年の急激な米消費の減少等により、需給バランスが崩れ、在庫の増加、米価の下落等、極めて厳しい状況となっている。また、担い手農家や集落営農組織の大規模化に伴い、大規模生産者、法人等による施設の導入※が進み、相対的にJA施設の利用が低下し、運営や修繕の支障となっている。
※生産者による施設導入の活用事業:がんばる農家プラン事業、集落営農体制強化支援事業等
表1 鳥取県の水稲作付面積の推移
年度 | H10 | H15 | H20 | H25 | H30 | R2 | R2/H10 |
作付面積(ha) | 15,300 | 14,100 | 14,000 | 13,800 | 12,700 | 12,800 | 83.7% |
収穫量(t) | 77,100 | 65,400 | 72,100 | 71,600 | 63,200 | 65,500 | 85.0% |
(3)多くの中小規模生産者が稲作経営を継続するにはJA米穀施設の存続が不可欠であるが、施設・機械の老朽化が進み、修繕費が高額となってきている。今後の継続的な施設稼働には機能維持を含めた更なる投資が必須だが、計画時の米価を下回っており、施設利用料の値上げによる米生産者負担の増加は困難である。
(4)R元年11月の農政懇談会において、JAグループから「JA営農関連施設の機能性向上等への支援」について統一要望があった。今後、CEの経年劣化が進み、更なる修繕費等の増大が想定されることから、対策が急務である。
(5)全国的にも、RC・CEの老朽化が問題化していることから、施設コンサルタント事業者が、JA所有の関連施設を総合的に調査・分析し、施設の統廃合や再編整備を提案する「CE総合コンサルタント事業」を実施している。県外では本事業を活用し施設の再編を行った優良事例がある。
(6)令和元年12月県議会において、施設の老朽化について一般質問があり、施設の再編に向けた研究会の立ち上げについて知事答弁があった。その後、令和2年度に米穀関連施設再編対策研究会(以下、研究会)を設立し、施設の再編に係る検討会等の活動を行なっている。
(7)併せて、各JAでは特殊点検(施設の長寿命化を図るための診断や点検)を行ない、補修や更新箇所の把握と今後の維持費を算出。今後の再編に係る検討材料として活用している。