1 事業の目的・概要
水田農業の担い手経営体の経営改善に資することを目的として、稲の省力低コスト栽培技術の開発研究と、指標となる営農モデル作成、水稲の収量向上や農地の集約化による経営改善のための経営調査・分析研究を行う。
2 主な事業内容
1)米価下落に対応した収益性の向上
(1)水稲の収量向上による経営安定化
(2)農地の集約化による経営改善
(3)省力低コスト栽培技術の確立
2)水田農業経営モデルの活用による経営安定化
(1)時代に即した水田農業経営モデルの作成
3 事業の背景
1)水稲作を中心とする水田農業は米価の低迷、米の直接支払交付金の廃止、米の生産過剰による減反等により経営環境が厳しくなっている。水田の担い手農家は大規模化によるコスト低減や新品目の導入等による多角化により経営安定化を図っていく必要がある。
2)農家の高齢化、耕作放棄地の増加が問題となっている。農地を集約することにより、管理作業の効率化、経営改善、地域の農地利用の最適化を図っていく必要がある。
3)規模拡大に有効な省力技術としては、育苗の不要な直播栽培や苗箱数を大幅に減らせる高密度育苗技術が期待されている。
4)水田の担い手経営体のうち、集落営農組織は構成員の高齢化等により将来的な存続が危ぶまれる状況にある。利益の向上や後継者の確保を実現する方策として、多角的な経営への展開が試行錯誤的に取り組まれつつある。
4 事業の年次計画
| | | | 2023 | 2024 | 2025 | 2026 | 2027 |
| 1)米価下落に対応した収益性の向上 | (1)水稲の収量向上による経営安定化 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
| (2)農地の集約化による経営改善 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
| (3)省力低コスト栽培技術の確立 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○(密苗のみ終了) |
| 2)水田農業経営モデルの活用による経営安定化 | | | | | | |
| (1)時代に即した水田農業経営モデルの作成 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
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5 前年度からの変更点
これまで報償費は20(1経営体5×4)であったが、試験拡大に伴い、今年度の報償費は50(1経営体5×10)となった。
6 今後の経費
R5 報償費50、標準事務費911
R6 報償費50、標準事務費911
R7 報償費50、標準事務費911
R8 報償費50、標準事務費911
R9 報償費50、標準事務費911
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
【稲の省力低コスト栽培技術の開発研究と指標となる営農モデル作成】
・催芽籾湛水直播栽培における播種量、水管理法、除草法、施肥法等を検討した。
・高密度育苗における最適な育苗日数、疎植と組み合わせて苗箱数を減らした栽培法の収量性等を検討した。
・高密度苗栽培における育苗箱施用剤(側条施用および育苗箱施用)のいもち病、イネミズゾウムシ、チョウ目害虫およびウンカ類に対する防除効果を確認した(データ蓄積)。
・集落営農組織の野菜作取り組み事例、中山間地における直播栽培や飼料米栽培、鳥獣害対策事例の聞き取りを行い、モデル作成を進めている。
これまでの取組に対する評価
・催芽籾湛水直播栽培における播種量、水管理法、省力的な除草法、施肥法等を確立した。カモの食害の防止には初期落水または鉄コーティングに一定の効果のあることを実証した。
・高密度育苗栽培の慣行栽培と比較した収量性や経済性が概ね明らかになった。病害虫防除についても、概ね計画どおりに試験を遂行した。
・集落営農組織における複合経営についてモデルの作成と実証を行った。