1 事業の目的・概要
ひとり親家庭の就業支援の促進を図るとともに、経済的な自立を支援するために各種事業を行う。
2 主な事業内容
(単位:千円)
| 細事業名 | 内容 | 要求額 | 前年度予算額 | 前年度からの変更点 |
1 | ひとり親家庭就業支援事業 | 就業相談や技能講習等に関する事業(国庫事業)【継続】
【財源内訳】国1/2、県1/2
ア 就業支援事業
イ 就業支援講習会事業(鳥取県母子寡婦連合会に委託)
ウ 母子・父子自立支援員等研修事業 | 4,548 | 4,514 | |
2 | ひとり親家庭自立支援給付金事業 | ア 自立支援教育訓練給付金事業(国庫事業)【継続】
内容 | ひとり親の職業能力開発の取組を支援するため、指定教育訓練講座を受講した者に対し、受講費用の一部を支給する。 |
実施主体 | 県、市及び福祉事務所設置町村 |
財源 | 国3/4・県1/4 |
支給額 | 対象講座の受講料の6割相当額(1万2千円〜
160万円) |
イ 高等職業訓練促進給付金等事業(国庫事業)【継続】
内容 | 看護師や保育士などの就職に役立つ資格の取得を促進するため養成機関で1年以上(R3〜の緩和措置:6月以上)の修業を行う場合に、修業期間中の生活費の負担軽減のための給付金を支給する。 |
実施主体 | 県、市及び福祉事務所設置町村 |
財源内訳 | 国3/4・県1/4 |
支給期間 | 修業期間(上限48月) |
支給額 | 〈就業期間中〉
月額10万円又は7万5百円
最終学年は月額4万円上乗せ
〈修業期間終了後〉 5万円又は2万5千円 |
ウ 高等学校卒業程度認定試験合格支援事業(国庫事業)【継続】
内容 | ひとり親家庭の親又は子が高卒認定試験合格講座を受講し(通信教育可)、開始・修了した際及び合格した際に講座受講経費の一部を助成する。 |
実施主体 | 県、市及び福祉事務所設置町村 |
財源内訳 | 国3/4・県1/4 |
支給額 | 〈通信制の場合〉【継続】
受講費用の4割又は1割、上限15万円
〈通学又は通学と通信併用の場合〉 【新規】
受講費用の4割又は1割、上限30万円 |
| 4,476 | 4,710 | ・高等学校卒業程度認定試験合格支援事業について、負担割合の改善及び通学の場合の補助単価を新たに創設。 |
3 | 母子父子自立支援員設置費
※人件費は別途要求 | 母子・父子自立支援員設置費(単県事業)【継続】
内容 | ひとり親家庭等の就業や生活全般に関する相談指導、援助を行うため、中部及び西部の各福祉保健局に母子・父子自立支援員を各1名設置する。(法により福祉事務所には必置。鳥取県は、福祉事務所未設置町である三朝町及び大山町を管轄する。) |
実施主体 | 県 |
財源内訳 | 単県(交付税措置) |
根拠法令 | 母子及び父子並びに寡婦福祉法第8条 |
| 304 | 304 | |
4 | 高等職業訓練促進資金貸付事業(国庫事業) | 高等職業訓練促進資金貸付事業(国庫事業)【継続】
1 高等職業訓練促進資金貸付事業
内容 | 高等職業訓練促進給付金を活用して養成機関に在学し、就職に有利な資格の取得を目指すひとり親家庭の親に対し、入学準備金及び就職準備金を貸し付ける。 |
対象者 | ひとり親家庭の親であり、高等職業訓練促進給付金の支給対象者 |
貸付額 | ア 入学準備金
養成機関への入学時に50万円を貸付
イ 就職準備金
養成機関を修了し、かつ資格を取得した場合に20万円を貸付 |
利子 | 無利子 ※保証人がいない場合は有利子 |
貸付金の返還免除 | 養成機関卒業から1年以内に資格を活かして就職し、県内において5年間その職に従事したときは、貸付金の返還を免除する。 |
財源内訳 | 単県
※負担割合:国9/10(平成27年度に一括計上)、県1/10(平成28年度以降、年度毎に計上)
※県負担分は交付税措置 |
実施主体 | 鳥取県社会福祉協議会 |
2 住宅支援貸付事業
内容 | 母子・父子自立支援プログラムに沿って就業に向け意欲的に取り組む者に家賃の全部又は一部を貸し付ける。 |
対象者 | 母子・父子自立支援プログラムの策定を受けている者 |
貸付額 | 入居住宅の家賃の実費(上限4万円) |
利子 | 無利子 |
貸付金の返還免除 | 自立支援プログラムに沿って就業し、1年以上その職に従事したときは、貸付金の返還を免除する。 |
財源内訳 | 単県
※負担割合:国9/10(平成27年度に一括計上)、県1/10(平成28年度以降、年度毎に計上)
※県負担分は交付税措置 |
実施主体 | 鳥取県社会福祉協議会 |
| 996 | 976 | |
合計 | 10,338 | 10,504 | |
3 背景
ひとり親家庭についてはこれまでも各種支援事業を行ってきたが、依然として厳しい状況に置かれており、新型コロナウィルス感染症の影響がさらに追い打ちをかけていることから、今後も経済的な自立を支援するための就労などへの支援が必要である。
4 前年度からの変更点
1 高等職業訓練促進給付金
令和4年度末までとされている対象資格の拡大及び訓練機関の緩和措置について、令和5年度以降も継続となる見込み。対象となる修業期間が1年以上から6月以上に緩和されるとともに、IT関係、建設、農業に関する講座等も対象となる。
2 高等学校卒業程度認定試験合格支援事業
令和5年度より、負担割合の改善を図るとともに、新たに通学の場合の補助単価が創設される予定。
(1)通信制の場合【継続】
ア 受講開始時給付金:受講費用の3割(上限7万5千円)→4割(上限10万円)
イ 受講修了時給付金:受講費用の1割(アと合わせて上限10万円)→1割(アと合わせて上限12万5千円)
ウ 合格時給付金:受講費用の2割(アイと合わせて上限15万円)→1割(アイと合わせて上限15万円)
(2)通学又は通学及び通信併用の場合【新規】
ア 受講開始時給付金:受講費用の4割(上限20万円)
イ 受講修了時給付金:受講費用の1割(アと合わせて上限25万円)
ウ 合格時給付金:受講費用の1割(アイと合わせて上限30万円)
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
1 就業支援事業
個々のひとり親家庭等の状況、職業適性、就業経験等に応じ、就業相談の実施、就業に必要な知識や技能の習得を図るための就業支援講習、ハローワーク等職業紹介機関等と連携した就業情報の提供を行ってきた。また、弁護士等の専門家による相談会を実施し、就業支援にあわせて相談体制の整備に取り組んでいる。(H16.6〜)
2 自立支援事業
就業につなげるための資格を取得するため養成機関に修学したり、知識技能習得のための講座を受講した母子家庭の母及び父子家庭の父に対し、自立支援教育訓練給付金や高等職業訓練促進給付金を支給している。
3 自立支援員設置費
経済的な問題、子どもの養育問題などの生活問題、求職活動に関する支援など、ひとり親家庭等が日常生活の中で直面する悩みや不安について、母子・父子自立支援員による相談支援を行っている。
4 高等職業訓練促進資金貸付事業
鳥取県社会福祉協議会を実施主体として、平成28年度から事業を行っている。令和4年度からは新たに住宅支援貸付も開始されたため、県社会福祉協議会や市町村と連携を取りながら利用促進を図っていく。
これまでの取組に対する評価
1 就業支援事業
(1)無料職業紹介の実施
ひとり親家庭の方が生活、養育費、貸付等の相談で局来所時に、同じ窓口で職業支援も受けられる。就業支援講習会や他制度の紹介等も可能であり、総合的な支援を行うことができている。(県立ハローワークの充実により、令和元年をもって無料職業紹介所は廃止したが、各所と連携して支援を行っている。)
(2)就業支援講習会の実施
今や就職に欠かせない能力ともいえるパソコン技術習得のための講習会を実施している。
初級・中級講座(初級20回、中級15回。1回2時間)を東部・中部・西部で開催し、初級講座は基本的技能を身につけることが可能であり、必要な者は中級講座も受講可能としている。(中級講座のみの受講も可)。
託児サービスを併せて実施することで受講しやすい環境づくりを行い、受講者の概ね7割が修了し、就業にもつながっている。
2 自立支援事業
(1)自立支援教育訓練給付金事業
平成19年10月の国庫補助制度の改正により、支給割合が4割から2割に引き下げられたが、平成20年4月から県単独で2割上乗せし、国庫補助制度改正前の4割支給をすることにより、制度利用者の負担軽減を図った。
平成28年度から国庫の支給割合が6割に引き上げられ、平成29年度からはこれまで対象外であった雇用保険の教育訓練給付の受給資格者がある者についても事業対象となった。
(2)高等技能訓練促進費等事業(高等職業訓練促進給付金)
ア 平成21年6月までは支給期間が修業期間の後半1/2であり、利用者は修業しながらアルバイト、預金の切崩し等により生活費を得るなど制度が利用しにくい状況であったが、平成21年6月の制度改正において、支給が修業期間の全期間に拡充され、平成21年6月以降は制度利用者が増加した。また、そのほとんどが就業に結びついていることから、ひとり親家庭の就業支援策として大変効果が高い。
イ 平成25年度から支給対象期間の上限が2年に短縮され、3年以上のカリキュラムで修行を開始する者への経済的負担の増大などの影響が出ていた。このような状況から、平成25年度以降に修業を開始した者の3年目以降の給付金を支給した市町村に対して単県で補助する制度を創設した。修業する期間の3年目以降を支給対象期間とすることについては、市町村からも要望が出ていたが平成28年度に支給対象期間の上限が3年に拡充された。県は、4年以上の修業が必要となる者について、引き続き修業期間中の生活の安定を図る必要があることから、4年目以降の給付金を支給した。(市町村への補助事業として継続する。)
ウ 平成31年から国庫の支給期間上限が48月までとなったので、単県で行っていた4年目の修業者への給付金(継続給付金)を廃止したが、准看護師養成機関から正看護師養成機関への進学者については、上限36月のままとされることになった。この場合、生活が不安定になり資格取得が困難になるため、12月分について県も補助して欲しいという市町村からの強い要望を受けて、補助を行い、ひとり親が安心して資格取得し、安定した職業に就くことにより自立に繋げた。
エ 令和3年度から、准看護師養成機関から正看護師養成機関に進む者にも48月の国給付金が支給される見込みとなった。
オ コロナ関連の非正規職員等対策として、ひとり親の救済対策として令和3年度に限り修学期間6月以上、IT関連、建設、農業等の講座も対象として拡充された。当初は令和3年度のみの時限措置であったが令和5年度も引続きとなる見込み。
3 自立支援員設置費
ひとり親家庭等の専門の相談窓口として、ひとり親家庭等が抱えている不安や悩み、負担となっている課題等の解消につながっている。
4 高等職業訓練促進資金貸付事業
平成28年4月に本事業を開始するとともに、市町村のひとり親担当課に事業の説明及び周知を依頼した。市町村の窓口で、高等職業訓練促進給付金の支給対象者や利用を希望するひとり親に対し、本貸付金の制度の説明を行い、実施主体である県社会福祉協議会へつなぐ等し、連携を取りながら制度の実施及び利用促進を図っている。