事業名:
小わざ魚道改修事業
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水産振興局 水産振興課 漁業振興担当
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事業費(A) |
人件費(B) |
トータルコスト (A+B) |
正職員 |
会計年度任用職員 |
特別職非常勤職員 |
R5年度当初予算要求額 |
7,000千円 |
780千円 |
7,780千円 |
0.1人 |
0.0人 |
0.0人 |
R4年度当初予算額 |
29,193千円 |
789千円 |
29,982千円 |
0.1人 |
0.0人 |
0.0人 |
事業費
要求額:7,000千円 (前年度予算額 29,193千円) 財源:単県
事業内容
1 事業の目的・概要
県内3河川(千代川、天神川、日野川)では、アユ遡上量が減少傾向にある。特に平成26年以降その傾向が顕著になり、アユ資源量が低下したことで、3河川の漁獲量は歴史的低水準となっている。各河川では漁協により産卵場造成やカワウ対策等、アユ資源回復のための努力が続けられている。一方、資源量を低下させる要因には、天然アユ遡上量の多寡のみならず、魚道が機能せず遡上阻害が起きることで、遡上期に生息に適した場所までアユが遡上できないことも考えられる。また、魚道機能の低下した堰堤下流部には、遡上できないアユが滞留しカワウ等による食害が大きくなりやすい、という影響もある。
このため、県では平成29年度に、国、県、漁協、専門家で組織した「水辺の環境保全協議会」を設置し、3河川(千代川・天神川・日野川)の魚道設置改修について必要箇所及び優先順位等を協議した。令和4年度は千代川水系八東川永野堰及び日野川蚊屋堰の魚道について施行することとしている。令和5年度は天神川の大原堰及び郡山大口堰の魚道について設計することとしている。
また、近年における温暖化等に伴う河川環境の変化による影響や改修した魚道の効果を検討できるよう、年間を通じた水温の測定、主な漁場における遊漁者数の把握等を実施する。
2 主な事業内容
■小わざ魚道の設計
河川 | 魚道(堰堤) | 場所 |
天神川(天神川水系) | 大原堰 | 倉吉市 |
天神川(天神川水系) | 郡山大口堰 | 倉吉市 |
・3河川とも下流側からの整備を基本としている。
・天神川においては、大原堰の魚道を改修することで本川上流および三徳川へ遡上することが可能になる。また、郡山大口堰は出水により魚道の構造が著しく悪化したため、復旧に向け再設計を行う。
■漁場状況の把握
・3河川における年間を通した水温測定の実施
・小わざ魚道を設置した堰堤の上下流における遊漁者数のカウント
事業の背景
水産資源保護法(第22条)の規定により、土地改良区等(堰堤等の所有者又は占有者)は、さく河魚類のさく上を妨げないように堰堤等の管理をしなければならないとされており、多くの堰堤には魚道設備が設置されている。しかし、設置当時は機能していた魚道も、その後の自然災害による損壊や澪筋の変化等により機能しなくなったものが多数見られるようになった。機能の回復が望まれるところであるが、土地改良区等の組合員数の減少等から資金が捻出できず、魚道の修繕が進んでいないのが現状である。
一方、内水面漁業協同組合では、漁業権魚種(アユ等)の増殖義務に基づき、毎年、アユの放流等を行っているが、魚道の機能不全等により十分な資源を増殖させるには至っていない。すなわち、各漁協が増殖のため努力しているにもかかわらず、アユ資源量は近年、非常に低い水準にある。魚道改修により河川の連続性(遡上・降下の容易さ)を回復させることは、アユ資源回復の一助となることが期待されるとともに、その他河川回遊性魚介類にとっても有効となる。魚道修繕には生態系保全など河川環境の改善といった公共的な側面も含まれており、早急に県で修繕を行うこととする。
昨年度からの変更点
アユ等魚介類の遡上には、堰堤や魚道のような構造物の物理的な影響が大きいが、それ以外に水温等も関わってくる。近年は温暖化による酷暑、猛暑あるいは大雪等が頻繁に観測されるようになっており、少なからず魚介類へ影響していることが予想されるが、それを検討するための年間を通じた水温測定データを所有していない状況である。また、水温は遡上以外にも魚介類の成長や産卵にも強く影響することから、今後、3河川で測定を開始し、魚介類の生息状況を水温の影響を考慮した上で把握することとする。
小わざ魚道を設置後、それより上流にアユが遡上し漁場が形成されるかどうかが重要である。これを判断するために、主な瀬における遊漁者数をカウントする。
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
(事業目標)
県3大河川(千代川・天神川・日野川)において堰堤等により河川の連続性が妨げられている箇所を修繕することで、アユ等有用魚介類資源ならびに河川生態系の回復に寄与することを目指す。
(取組状況)
各水系全体の生態系を豊かにするために、関係機関(国、県、漁協、専門家)が河川環境や生物・生態系保全等に関して情報を共有し、水辺の環境保全の推進及び実施について協議する「水辺の環境保全協議会」を29年6月5日に設置した。水辺の環境保全協議会では魚類等の遡上を阻害している魚道の改修や河川環境の改善に係わる施策等について全体の協議会及び各水系毎の部会で協議している。
(改善点)
水産課では本事業に於いて、水辺の環境保全協議で承認を得た修繕すべき魚道について年1基のペースで修繕等を実施してきた。しかし、緊急で改善する必要があると判断される堰堤は9基あり、全ての工事が終了するのに10年以上掛かることから、修繕ペースを上げることとし、より早く良好な河川環境に回復出来ることを目指した。
これまでの取組に対する評価
平成30年度事業で、千代川の大井手用水堰にスロープを小わざ魚道として修繕した。令和2年度事業で、天神川の郡山大口堰に袋詰め玉石を魚道様に設置する設計し、令和3年度事業で、天神川の郡山大口堰を施工。さらに千代川水系八東川の永野堰、日野川の蚊屋堰を設計し、令和4年度事業において施工に向け、契約等手続きを実施している。これらの事業により、各河川で魚介類が遡上できるよう改善を進めているところである。
既に完成している千代川の大井手用水堰の小わざ魚道は、適切に粗石を設置したことで、通水時の流速が抑えられ、アユの遡上に寄与していると判断される。漁協からも評価されている。また天神川郡山大口堰では、漁協や釣り人からの聞き取りによれば、改修前までは堰堤の下にアユが溜まっていたが、改修後は上流までアユの遡上が見られ漁場が広がっていた、とのことだった。
なお、水辺の環境保全協議会は、各漁協も参加し、魚道に限らず、カワウやその他について、情報を共有するとともに対策を検討・協議する場として、漁協等から評価を得ている。
要求額の財源内訳(単位:千円)
区分 |
事業費 |
財源内訳 |
国庫支出金 |
使用料・手数料 |
寄附金 |
分担金・負担金 |
起債 |
財産収入 |
その他 |
一般財源 |
前年度予算 |
29,193 |
0 |
0 |
0 |
0 |
25,000 |
0 |
0 |
4,193 |
要求額 |
7,000 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
7,000 |