現在の位置: 予算編成過程の公開 の 令和5年度予算 の 農林水産部の鳥取梨生産振興事業
令和5年度
当初予算 一般事業(公共事業以外)  一般事業要求      支出科目  款:農林水産業費 項:農業費 目:農作物対策費
事業名:

鳥取梨生産振興事業

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農林水産部 生産振興課 果樹担当 

電話番号:0857-26-7414  E-mail:seisanshinkou@pref.tottori.lg.jp
  事業費(A) 人件費(B) トータルコスト
(A+B)
正職員 会計年度任用職員 特別職非常勤職員
R5年度当初予算要求額 131,130千円 27,290千円 158,420千円 3.5人 0.0人 0.0人
R4年度当初予算額 113,082千円 0千円 113,082千円 3.5人 0.0人 0.0人

事業費

要求額:131,130千円  (前年度予算額 113,082千円)  財源:単県 

事業内容

1 事業の目的・概要

本県梨の主力品種である「二十世紀」「新甘泉」等の生産拡大を図るため、省力化栽培技術対策、防災・減災対策、出荷・価格安定対策等を総合的に支援する。

2 主な事業内容

(1)気象災害に強い施設整備事業

    高機能を有する(※)多目的防災網や防風ネットの更新を支援する。
    (※従来品より軽量で網の展帳・収納作業が容易な上、雹や強風等から梨の果実を守る多目的防災網)
(単位:千円)
補助金名
補助対象事業・補助対象経費
実施主体
県補助率
(上限額)
要求額
前年度予算額
前年度からの変更点
高機能多目的防災網整備支援高機能な多目的防災網への掛け替えに係る経費JA、生産組織、認定農業者又は認定農業者に準ずる者など
1/3
(200千円/10a)
1,150
2,787
継続事業
防風ネット整備支援防風ネットの更新に係る経費
1/3
(90千円/10a)
継続事業
合計
1,150
2,787
    (2)「新甘泉等」特別対策事業
    梨特別対策品種「二十世紀」、「新甘泉」及び「王秋」の生産拡大を支援する。
(単位:千円)
補助金名
補助対象事業・補助対象経費
実施主体
県補助率
(上限額)
要求額
前年度予算額
前年度からの変更点
生産基盤整備支援植栽、高接ぎ(一挙更新に限る)、果樹棚・網掛け施設・かん水施設、ハウス(二十世紀に限る)、防霜対策設備などの整備に係る経費JA、生産組織、認定農業者又は認定農業者に準ずる者など
1/2〜
2/3
96,498
75,993
継続事業
育成促進奨励金交付・新植、改植(全面):200千円/10a
・高接ぎ、改植(間植え):106千円/10a
市町村
※市町村から生産者へ奨励金を交付
定額

※県1/2、市町村1/2
2,621
継続事業
組織的な高接ぎに取り組む事業実施主体への一律奨励金:100千円
高接ぎ一挙更新に係る奨励金:50千円/10a
高接ぎ順次更新に係る奨励金:20千円/10a
JA、生産組織
定額
175
継続事業
苗木供給支援苗木供給不足に備え、予備苗木の確保に要する費用JA全農とっとり
10/10
1,500千円上限)
1,050
継続事業
合計
100,344
75,993
    (3)ジョイント栽培拡大事業
    特別対策品種以外の品種のジョイント栽培※による生産拡大を支援する。ジョイント栽培専用大苗の安定供給のため、大苗育苗業者を支援するとともに、地域の実情に応じた専用大苗の育苗受委託システムづくりを支援する。
(単位:千円)
補助金名
補助対象事業・補助対象経費
実施主体
県補助率
(上限額)
要求額
前年度予算額
前年度からの変更点
生産基盤整備支援植栽、高接ぎ(一挙更新に限る)、果樹棚・網掛け施設・かん水施設、防霜対策設備などの整備に係る経費JA、生産組織、認定農業者又は認定農業者に準ずる者など
1/3〜
1/2
3,293
17,338
継続事業
2
育成促進奨励金交付・新植、改植(全面):200千円/10a
・高接ぎ、改植(間植え):106千円/10a
市町村
※市町村から生産者へ奨励金を交付
定額
※県1/2、市町村1/2
78
継続事業
3
ジョイント大苗育苗支援ジョイント仕立て用2年生大苗の育苗を外部委託する際の経費JA、生産組織、農業公社など
2/3
4,205
継続事業
ジョイント仕立て用2年生大苗を増産する業者がやぐら等育苗施設、かん水施設を設置したり、育苗資材購入する経費苗木業者、山林樹苗協同組合、JA、生産組織、農業公社
1,000
継続事業
ジョイント仕立て用2年生大苗の試作を行った者に育苗経費相当の助成金を交付するのに要する経費JA全農とっとり
定額
300
継続事業
育苗委託中の苗の枯死や生育不良による2年生大苗の不足に備えて予備の大苗を確保する経費
3,600
継続事業
新技術等実証モデル事業ジョイント栽培における新技術・未普及な品種のモデル園を設置する経費JA、生産組織、農業公社など
定額
1,200
継続事業
合計
13,676
17,338
    ※ジョイント栽培とは、密植した長苗を前傾させて隣接樹に接ぎ木(ジョイント)する栽培方法。樹形が単純で作業性が良く、新規就農者でも取り組みやすく、早期多収が期待できる栽培方法
    (4)低コスト・体制強化事業
    機械の共同利用またはオペレーター体制を整備し、廃園の発生防止や新規参入しやすい条件づくりを支援する。
(単位:千円)
補助金名
補助対象事業・補助対象経費
実施主体
県補助率
(上限額)
要求額
前年度予算額
前年度からの変更点
機械の共同利用又はオペレーター体制整備推進共同防除に必要な機械購入費等の助成農業者、生産組織
1/3

4,960
5,964
継続事業
合計
4,960
5,964
    (5)果実緊急価格安定対策事業
    価格安定のための国内外への出荷・需給調整に係る冷蔵保管料や遠隔地への運賃を支援する。
(単位:千円)
補助金名
補助対象事業・補助対象経費
実施主体
県補助率
(上限額)
要求額
前年度予算額
前年度からの変更点
国内外への出荷・需給調整による価格安定化の支援・出荷量調整のため、低温貯蔵庫等に梨を保管する経費
・出荷市場を分散させるため、遠隔地市場へ出荷する際のかかる割増運賃
・輸出前の一次保管に係る経費、輸出検査不合格時に出荷先の変更に係る経費
(一社)鳥取県果実生産出荷安定基金協会
1/2

11,000
11,000
継続事業
合計
11,000
11,000

3 背景

・平成20年策定「鳥取梨産地活性化ビジョン」で県オリジナル品種を「梨産地とっとり」復活の切り札とし、平成27年に200haの植栽面積達成を目標に据えて増反に取り組んできた。目標年度中の達成には至らなかったが、令和3年度末で223.8haまで増加している。
    ・また、農業生産額1千億円プランを達成するため、令和元年度に生産現場と一体となって「未来へつなぐ とっとり梨生産振興プラン」(以下、梨プラン)を策定し、令和5年度に植栽面積230haにする新たな長期目標を立て、推進を行っている。
    ・目標額達成には収益性の高い品種を省力的かつ安定的に栽培する体系づくりが重要という生産現場からの声がある。
    ・そこで、高単価で安定している「新甘泉」「王秋」「二十世紀」の重点的な支援、省力的なジョイント栽培の推進、昨今頻発する気象災害への防災、減災に効果が高い多目的防災網への掛け替え等を総合的に支援してきている。

4 前年度からの変更点

 ジョイント用大苗の育苗委託中の枯死・生育不良に備えて予備苗を確保するJA全農とっとりの取組を支援しているところだが、育苗委託本数が年々増加していることから、予備苗も同様に増産が必要となっている。また、令和2年度から特別対策品種に加えた「二十世紀」は、他の品種よりも生育不良の発生が多く、ロス率が高いことが判明した。ジョイント栽培の普及には大苗の安定確保が不可欠であることから、本取組に係る支援を増額し、十分量の予備苗確保を図る。(R4当初要求:1,910千円→今回要求:3,600千円)

これまでの取組と成果

これまでの取組状況

1.事業目標
「鳥取県農業生産額1千億達成プラン」に基づき、機械化・省力化、果樹新品種を活かした産地振興(令和5年度:梨新品種230ha)及び苗木・種苗の安定供給システムの構築等を推進する。

2.取組状況・改善点
【「新甘泉等」特別対策事業、ジョイント栽培拡大事業】
・県園芸試験場が育成した「新甘泉」、「秋甘泉」は、品種登録出願の年から生産者への苗木供給を開始(H18〜新甘泉、H20〜秋甘泉)。
・平成20年度から、鳥取県内で育成された梨新品種の植栽や果樹園整備を支援する次世代鳥取梨産地育成事業を開始(H23〜次世代鳥取梨ブランド創出事業、H26〜鳥取梨生産振興事業)。
・国は国内の各果実産地に対して産地構造改革計画の策定を求めており、これを受けて鳥取県でも平成28年度に東・中・西部の3地区において計画が策定され、地域の特性に応じた、産地ごとの振興品種を決定している。
・本県が育成したオリジナル品種の中で、特に「新甘泉」は抜群の甘さで人気が高く、高単価で販売できていることから、産地振興の切り札として、平成25年度は「新甘泉」生産強化モデル支援事業を実施し、接ぎ木による生産拡大、苗木の確保、新しい梨栽培のスタイルを提案する「新甘泉」・「低コスト網掛け施設」・「ジョイント整枝」のニューモデル園を整備。
・一方、低コストな網資材は、設置早々に破れた事例もあったことから、掛け方の工夫が必要となった。そこで、平成30年3月には、多目的防災網の導入の目安として、設置方法の工夫点も示した資料を作成し、生産者等に配付した。
・中部地震で収穫前の晩生梨が多数落下したが、「王秋」は訳あり梨販売等で知名度が飛躍的に向上した。平成29年度から「王秋」を復興のシンボルとしてジョイント栽培を活用した生産拡大を進めている。
・また、平成29年度からジョイント栽培専用大苗の安定供給のため、育苗業者の育成を実施し、平成30年秋から農業者への大苗供給を行っている。
・令和元年度に策定した梨プランの達成に向け、令和2年度から本県の主要品種「二十世紀」を特別対策品種に追加し、省力的な栽培へのシフトを支援。
・令和3年の霜害を機に、果樹経営における防災・減災対策(備え)へのニーズが高まり、また、近年は気候変動の影響で生育が前進化し、今後、降霜遭遇の可能性が高まることが想定されることから、霜害対策施設を生産基盤整備に必要な施設として支援対象に追加。(令和3年6月補正予算「柿梨等霜被害総合対策事業」からの組替拡充)

【低コスト・体制強化事業】
資材の高騰などから補助事業があっても施設整備が難しくなっており、施設の低コスト化や機械の共同利用を推進し、事業費の低減と農家負担の軽減を図っている。

【緊急価格安定対策事業】
平成13年以降、梨の価格下落が顕著化し、価格安定を図る取組として支援を開始。
事業の変遷
H13〜17:二十世紀梨再生促進事業(流通販売体制整備事業)
H18〜20:二十世紀梨再生促進事業(内外流通促進対策)
H21〜23:食のみやこ鳥取梨流通対策事業
H24〜27:果実緊急価格安定対策事業
H18から、販売単価が目標単価を上回った場合、生産者等負担金の10%以内を次年度向けとして基金に積立てるシステムを導入。
H21から、低温貯蔵庫入出庫時の収支差補てんを実施(上限200円/10kg)、H24から上限単価を300円/kgへ引き上げ。
H24から、下級品の海外販売が難しくなっているため、九州出荷する場合の運賃補てんを拡充。
H26には、中華圏の中秋節が例年になく早く、大玉果がほとんど輸出できず国内価格の低下を招くことが懸念されたため、これらを進物向けに販路開拓するために要した費用への補助等を実施。
令和2年より九州への赤秀、青秀の果実出荷も補助対象として拡充。

【気象災害に強い施設整備事業】
令和元年度より、毎年のように発生する気象災害から果実を守るため、機能向上した多目的防災網への掛け替えの支援を開始。
令和2年度より防風ネットへ更新も対象として拡充。

これまでの取組に対する評価

【「新甘泉等」特別対策事業、ジョイント栽培拡大事業】
・梨新品種の生産拡大を支援し、栽培面積は令和3年度末時点で「新甘泉」:約135.8ヘクタールまで順調に増えている。
・「新甘泉」は、令和3年産も693円/kg(市場+進物販売)(令和元年産646円/kg)と引き続き高単価で販売されており、生産拡大の機運も高まっている。
・ニューモデル園については、「新甘泉」をジョイント栽培したことによって、作業性がよく、これまでの栽培方法よりも早期に収穫できる樹齢に達し、毎年収穫量が増えて高評価を得ている。
一方、低コスト網の資材は、破れが生じたという負の結果が口コミで広がり、軽量で作業性は良いという好評価があるものの、普及には至っていない。資材と設置方法の工夫を組み合わせた普及活動が必要な状況である。
・ジョイント栽培専用大苗を受託育成する苗木業者に対する農業者からの期待は高く、委託希望量も年々増加している。(令和元年:2,544本→令和2年:3,188本→令和3年:4,752本)

【緊急価格安定対策事業】
・関西市場へ集中する梨の出荷を、H21からの関東出荷への運賃補てん事業を拡充し、関東市場向けの出荷量が確保できるようになり、需給調整と首都圏での本県梨PR、販路開拓に役立っている。
・主要輸出先である台湾の輸出検疫が強化され、不合格時のリスクが増大しているが、検査不合格時の転送経費等への支援によりリスクを軽減することで、積極的な梨輸出が可能となっている。また、国内では好まれない大玉果実を輸出することで、国内の価格安定につながっている。

【気象災害に強い施設整備事業】
令和元年度:5.5ha、令和2年度:1.7ha、令和3年度:2.9haの掛け替えが実施されている。




要求額の財源内訳(単位:千円)

区分 事業費 財源内訳
国庫支出金 使用料・手数料 寄附金 分担金・負担金 起債 財産収入 その他 一般財源
前年度予算 113,082 102,082 0 0 0 0 0 0 11,000
要求額 131,130 0 0 0 0 0 0 0 131,130