1 事業の目的・概要
各地域が主体的に取り組む米の需給調整及び水田フル活用(水田を活用した作物の産地化等)を円滑に進めるため、県段階、地域段階の農業再生協議会が行う事業推進の取組等に要する経費を助成する。
2 主な事業内容
(単位:千円)
| 細事業名 | 補助対象事業・補助対象経費 | 実施主体 | 補助率
(上限額) | 要求額 | 前年度
予算額 | 前年度からの変更点 |
1 | 県段階推進事業 | 経営所得安定対策等の普及推進、対象作物の生産数量目標の設定ルールの検討、産地交付金の要件の検討、耕作放棄地解消のための指導・助言等 | 県農業再生協議会 | 国 10/10 | 2,000 | 2,000 | なし |
2 | 地域段階推進事業 | 経営所得安定対策等の普及推進、農業者別生産数量目標の設定ルールの検討、申請書類等の配布・回収、対象作物の作付面積等の確認及びデータ入力処理、産地交付金の要件の検討、耕作放棄地解消のための推進活動等 | 地域農業再生協議会 | 国 10/10 | 82,000 | 106,000 | なし |
合計 | 84,000 | 108,000 | |
3 背景
(1)平成30年産米からは、国による生産数量目標の配分が廃止となり、JAの販売計画や需給情報等を元に、地域が目標を定め、主体的に水田フル活用(米の需給調整及び水田を活用した作物の産地化等)に取り組んでいる。
(2)令和元年度から、国は経営所得安定対策等の申請手続きの電子化を実証している。県内では、令和2年度に鳥取市が電子化のデータ移行を行った。令和3年度には倉吉市、八頭町、南部町が電子化のデータ移行を実施した。
(3)国は令和5年度からの運用実施に向けて、令和4年度中に全地域農業再生協議会で運用できるよう体制を整備する方針を示しているため、電子化への動きが加速化している。
(4)国は、従来の各都道府県への配分額について、対策加入者や業務量等を勘案した場合、相当の格差が生じていた各都道府県別に業務量等の検証を行い、格差是正のため、令和3年から3〜5年間にかけて改善措置期間を設けている。
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4 前年度からの変更点
電子化のデータ移行に係る経費分は、令和4年度までの措置であるため、令和5年度の要求額は減少している。
令和5年度からは、電子化後の通信運搬費が増加することが見込まれるため、推進事業費の増額を要求している。
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
・平成19年からJA主体で「地域水田農業推進協議会」を運営。市町村等の関係機関と連携し、農業者への需要量配分に係る需給調整事務を実施。
・平成23年度には、農業者戸別所得補償制度(平成25年度から経営所得安定対策)が本格実施された。水田フル活用を効率的かつ効果的に推進していくため、県段階、市町村段階で、それまであった水田農業推進協議会、担い手育成総合支援協議会、耕作放棄地対策協議会の機能を統合した農業再生協議会を設立し、新たな体制で事業を実施。
・地域間調整等の積極的な取組により、国からの配分面積に対する主食用米の作付実績は平成26年産米までは99.8%と高い水準にあったが、米価下落の影響を受け平成27年産米は96.7%まで低下した。その後の産地維持の為の取組等により、平成29年産米では98.4%まで回復した。
・平成30年産米からは、地域・生産者が自らの判断で需給調整を行うことになり、本県では、R3年目標面積を12,227ha〜12,623haと掲げ、作付実績は12,440haとなった。需要に応じた米生産を行うために、主食用米と飼料用米等の非主食用米のバランスを考えて調整しているところ。
・経営所得安定対策等の交付金の支払実績で見ると、支払件数、支払額ともに減少(件数 R2:3,908件→R3:3,801件、額 R2:18.8億円→R3:21.2億円)した。これは、作付品目が主食用米から飼料用米へ移行したことが影響していると思われる。
これまでの取組に対する評価
・主食用米の需給調整及び水田フル活用には、生産数量目標の設定のみならず、作付状況の確認、農業者間や地域間の調整など、適正かつ迅速な対応が必要であり、円滑な実施のために本事業は有効に活用されてきた。
・令和3年産米では、需要に応じた米生産を行うために主食用米と飼料用米等の非主食用米のバランスを考えて調整し、本県では、R3年目標面積を12,227ha〜12,623haと掲げ、作付実績は12,440haとなった。
・新たな米政策の6年目となる令和5年度は、全国的な需給状況の把握や米卸等との連携といった地域の主体的な取組が一層重要となる。
・令和3年度の交付金については、農業者等に問題なく交付された。