1 事業の目的・概要
令和5年台風第7号では、河川の氾濫による農地の崩落や、農業用水路の破損等による生産基盤に対する被害の他、河川に隣接した農業用倉庫が中の農業用機械等と共に流失する等の被害もあり、営農再開するために大きな自己負担が必要となるため、復興を躊躇される生産者が出ることが懸念されるところ。また、基盤復旧工事が間に合わず、水張りができない水田も多数出てくると考えられる。
そこで、台風被害で失われた農業機械等及び格納庫を営農再開にあたり再度導入する経費及び水路の本格復旧が困難な箇所において、用水確保のための給水ポンプ設置に要する経費を支援し、地域の営農再開につなげる。また、農地復旧にあたり客土を行った農地で、地力向上のために行う施肥のかかり増し経費の支援及びR6年産作付までに基盤復旧が間に合わない水田において、転作品目を作付ける場合の生産費の支援を行うことで、過去30年で最大の台風被害からの営農再開を総合的に支援する。
2 主な事業内容
(単位:千円)
| 項目 | 補助対象事業・補助対象経費 | 実施主体 | 県補助率
(上限額) | 要求額 |
1 | 被災農機等導入支援 | 台風被害で失われた農業機械等及び格納庫を、営農再開にあたり再度導入する経費 | 農業者、農業法人、
集落営農組織、
任意組織 | 県1/3
市町村1/6
(補助上限:10,000千円) | 16,740 |
2 | 給水ポンプ設置支援 | 給水ポンプ設置に係る費用
(リース料、燃料費) | 市町村等 | 全体事業費から農家負担を除いた市町村事業費の1/2以内
※他事業の対象とならないものに限る。 | 4,000 |
3 | 復旧農地追加施肥支援 | 農地復旧にあたり客土を行った農地等で、地力向上のために慣行より多くの施肥が必要となる場合に、そのかかり増し経費 | 農業者、農業法人、
集落営農組織、
任意組織 | 定額
(11千円/10a)
※1農地1回限り | 660 |
4 | 転作品目作付支援 | 基盤復旧が間に合わない水田において、市町村が指定する転作品目(水稲以外)を作付する場合に必要な経費
(種苗費、肥料費、農薬費、機械器具費) | 農業者、農業法人、
集落営農組織、
任意組織、JA | 県1/3
市町村1/6
(種苗費、肥料費、農薬費の合計36,000円/10a) | 3,600 |
合計 | 25,000 |
3 本事業において被災農機等導入支援を行う必要性
(1)当初、既存事業(中山間地域を支える水田農業支援事業)の活用を想定していたが、被災者が落ち着かれた後に改めて内容を精査したところ、以下の点で対応ができないことが判明した。
・営農再開にあたり必要な機械の整理及び見積徴取により、事業費が増加し既存事業の補助上限を大幅に上回ること。
・今回は格納庫も流失しており、保管場所の整備も一体的に行う必要があるが、既存事業のメニューにはないこと。
(2)また、農業機械・格納庫だけでなく農地・農業用施設にも甚大な被害が出ており、まずは現状復旧が最優先される状況。被災前からの規模拡大・機能向上は極めて困難であり、「単なる機械の更新等、現状維持にとどまるもの」は対象外とする既存事業とは目的が異なる。
(3)被災の形態が特殊であり、同様の災害は過去30年間でもなかったこと。
・この度は、川に隣接した倉庫に入っていた農業機械が、土地ごと流失したものであり、一般的な台風対策(倉庫の破損を防ぐために風の出入り口をなくす等)では対応できないもの。
⇒これらのことから、以下のとおり要件を整理し、今回に限った措置として被災農機等導入支援を行う。
・災害規模が甚大(激甚災害指定)で、一般的な災害対策では対応できない被害であること。
(単純に台風や積雪で倉庫が潰れた、は不可)