1 事業の目的・概要
感染症や紛争、為替変動等ドラスティックに変化する国際情勢、また、ゼロカーボン実現を背景とした再生可能エネルギー普及に対する林地残材への期待等に柔軟に対応するため、川上・川中・川下の生産流通サプライチェーンマネジメントシステムの構築や木材加工事業者の新たな生産技術へのチャレンジを支援し、県産材の安定供給、業務の効率化、コスト削減等を推進する。
2 主な事業内容
ICTを活用した木材流通システムのプラットフォーム構築や、林地残材を含む皆伐材の円滑な集荷に向けた環境整備を行う。また、県産材の生産・流通状況の調査や建築物の木造化、県産材活用を推進するためのアドバイザー設置・派遣等に必要な経費を支援する。さらに、製材品の新たな生産技術にチャレンジするために必要な資機材の購入経費を支援する。
| 細事業名 | 内容 | 要求額 (千円) |
1 | 県産木材流通システム開発・実装 | 鳥取県デジタル林業コンソーシアム(代表:鳥取県森林組合連合会)が林野庁R5年度補助事業に応募・採択された「デジタル林業戦略拠点構築推進事業」について、システム導入・実証経費を支援
※コンソーシアムメンバー:県を含む産学官金25団体
※国事業費:36,000千円 | 4,000 |
2 | 県産材安定供給体制整備支援 | ICTや県産材活用のアドバイザー派遣、県産材の生産・流通状況の調査等に必要な経費などを支援。 | 3,000 |
3 | 技術向上トライアル支援(拡充) |
補助対象事業・補助対象経費 | 実施主体 | 県補助率
(上限額) |
生産管理、歩留まり向上、製品試作に必要な資機材の購入経費 | 木材加工事業者 | 1/2 (上限補助額25万円) |
【拡充】採択事業体
JAS認証工場等に加え、森林認証材活用事業者を追加 | 2,500 |
合計 | 9,500 |
≪効果・期待≫
1 県産木材流通システム開発・実装
川下の木材需要と川上の素材生産現場をICTで結び、効率的な生産と現場管理、ジャストインタイムの流通体制を確立。
・川上から川下のサプライチェーンの構築
・施業現場のデジタル通信環境の向上
・中間土場を核としたICTによる原木管理と電子商取引
2 県産材安定供給体制整備支援
A材(建築用)からD材(燃料用)までの流通・活用状況を収集・把握し各事業体に提供、ICT技術にする情報発信、各事業体の連携体制の構築等に取り組むアドバイザーを設置することで、SCMシステム構築や林地残材回収に関する取組が円滑に進む。
3 技術向上トライアル支援
新製品開発や歩留まり向上、低コスト化にチャレンジしやすい環境を整えることで、業界の技術力や生産意欲の向上につながる。
3 近年の国際情勢と木材流通への影響
【令和2年】新型コロナウイルスの感染拡大
住宅着工戸数の減少等により、合板工場等は減産体制にシフト。合板工場等のストックヤードは飽和状態となり、原木が滞留。
【令和3年】ウッドショック
米国住宅市場の活況、中国による木材の高価買い付け、新型コロナのロックダウンによるコンテナ不足による輸入材不足と価格高騰。
【令和4年】ロシア・ウクライナ紛争
ロシア材の禁輸、欧州材の入荷遅延と価格高騰により合板や集成材の原材料が不足。国産材需要増。
【令和4年】円安
欧米の金融政策で円安が進行。輸入品の価格高騰で住宅価格が上昇し、建築棟数の減少傾向。今後、木材価格への影響を懸念。
【令和5年】木材価格下落、燃料・電力価格上昇
ウッドショックが一段落、アメリカでの住宅建築の鈍化などにより木材価格が下落。一方、燃料・電力価格が高騰し、木材関連事業者の経営を圧迫。