1 事業の目的・概要
○生徒数減少が進む主に中山間地域の高校について、地域と連携しながらそれぞれの魅力・特色の充実、向上を図ることで、県内外からの入学生を増加させ、学校・地域の活性化を図る。
○地元自治体等、地域と協働して県外生徒等を受け入れるための住環境を整備することで、県立高校への入学者を増加させ学校規模を維持するとともに、多様な価値観に触れ、切磋琢磨する環境を創出することで、学校、地域の魅力化、活性化を図る。
○専門高校、総合学科高校についての魅力を発信し、入学者を増加させるとともに、地域産業の担い手を育成する。
2 主な事業内容
(単位:千円)
| 区分 | 細事業名 | 内容 | 要求額 | 前年度からの変更点 |
1 | 生徒募集 | (新)県外生徒募集推進 |
- 県外からの入学生を増加させることにより、学校規模の維持と多様な考え方の中で学ぶ環境を創出する。
- 各高校の魅力化の取組をネットワーク化し、統括的に推進することで、その取組を強化する。
| 4,110 | |
2 | (新)地域との連携による住環境整備推進 | 県外生徒受け入れのための住環境整備を推進するため、県と地元自治体が連携して運営支援する民間寮について、入居者が一定数を満たさない場合の支援を行う。 | 制度要求 | (一般事業) |
3 | 専門高校等魅力化 | (新)出かける高校魅力発信事業(出張体験入学) | 大型商業施設等において、専門高校、総合学科高校の魅力を発信するイベントを実施する。 | 3,500 | |
4 | (新)専門高校魅力化推進事業 | ○鳥取工業高校
Society5.0に対応した実践的な学習により、即戦力となる産業人材を育成する。
- ドローンによる測量や建造物検査技術の習得
- プログラミングによるドローン活用技術の学習
- 画像解析技術の習得
○米子南高校
ICTを用いたビジネス教育を展開することで、地域課題解決と地域発展に貢献する商業人材を育成する。
- 「食パラダイス鳥取県」としての食の豊かさの魅力をSNS等で発信
- 鳥取県の食材を用いた新たな食文化の創造
○境港総合技術高校
環境汚染の防止等に配慮しながら海洋生物資源の持続的な利用を図ることが近年求められており、海洋調査研究活動を充実することで、海洋分野の人材育成を推進する。
- 高等教育機関や漁協と連携した海洋ゴミに関する海洋環境研究と水中ドローンを用いた水産資源量調査
| 3,512 | |
| | | 合計 | 11,122 | |
3 背景・効果
(1)背景
○県内中学校の卒業生は減少の一途にあり、令和17年度には令和5年3月と比較して約900人減少する。
○学校規模の縮小による学校の活力(個々の競争力の低下や部活動のチームが組めない等)の低下が懸念される。
○学校の活力アップのためには、各学校の魅力化を推進し、県内外から入学生を増やす必要がある。
○魅力化推進にあたっては、各地域と連携し、それぞれの地域の特色を生かしながら進め、地域の活性化にもつなげる必要がある。
○普通科志向が進む中、専門高校においては、定員割れが続く傾向にあるが、専門高校の魅力を中学生、保護者、中学校教員等に伝えていく必要がある。
(2)成果
○H30年度以降、県外生徒の募集イベントへの参加を通じ、県外から多くの生徒が入学した。
(H30:36人⇒R1:44人⇒R2:46人⇒R3:52人⇒R4:54人⇒R5:58人)
○県外から生徒が入学することにより、地域活性化や県内生徒と切磋琢磨するなどの好事例も見られる。
・地域の清掃活動に地域住民と一緒に取り組むなど、地域活動に参加することで地域に活気が生まれている。
・地域の伝統芸能の伝承などに興味を持ち、取り組む生徒もいる。
・県外から目的意識を持って入学した生徒が、他の生徒も巻き込みながら探究活動に取り組み、ジュニア郷土研究大会(鳥取県小中 高児童生徒地域研究発表会)等に参加し、最優秀賞を受賞。続く下級生たちも同コンクールで2年連続最優秀の県知事賞を受賞(3 連覇)。国立大学への進学者も出るなど、学校の活性化に大きく寄与している。
・県外から入学した生徒が生徒会長を務め、活発に活動することで、他の生徒にも影響を与え、学校活動の活性化が図られている事 例もある。
○地域と連携し、県外生のための住環境を整備・運営する中で、学校の魅力化と併せて地域活性化を図ろうとしている地域もある。
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
<事業目標>
・県内中学校卒業者数が減少する中、地域と連携しながら主に中山間地域の県立高校の魅力化・特色化を図り、県内外からの入学生を増加させ、学校の規模を維持し、学校・地域の活性化を図る。
・普通科志向が続く中、地域の産業人材確保のため、専門高校の魅力を伝えていく必要がある。
<取組状況・改善点>
・中山間地域の小規模県立高校を中心に具体的な魅力化策を検討し、実践(スマート農業、地域課題解決のICT活用など)したほか、人気ラジオ番組を活用した全国への高校の魅力発信、県外からの生徒の住環境の整備に取り組んできた。
・令和5年度は、中山間地域の高校や専門高校で学ぶ現役高校生の活動の姿や声を発信するフォーラム等イベントを開催した。
・県外生徒を受け入れるための住環境が不十分であることから地域にあった方法で、県外生徒の受入環境を整備していくことが必要。
これまでの取組に対する評価
・各学校の魅力化を推進することで、県立高校の活性化ひいては学校を中心とした地域の活性化を図っていく必要がある。
・コミュニティ・スクールなど地域との連携により、県外生徒のための寮運営が進んでいる高校もある。
・真に地域が参画した取組とするために、研修や他校での取組例の紹介等を通じて、運営の工夫をしながら取組を深めていく必要がある。
・H30年度以降、県外からの生徒の入学は毎年増加している。(H30::36人⇒R5:58人)。
・今後も積極的に県内外に向けて県立高校の魅力化を発信し、県外からも生徒を獲得することで県立高校の活性化、ひいては学校を中心とした地域の活性化を図っていく必要がある。
・それぞれの高校での学びや環境に興味関心を抱き、充実した学校生活を送り成長している生徒の存在こそ、その県立高校の魅力であり、現にその学校で学ぶ生徒の姿や声を発信し、中学生、保護者に伝えていくことを、さらに強化する必要がある。