1 事業の目的・概要
県内外のサイクリストに鳥取県で安心快適にサイクルツーリズムを楽しんでいただくとともに、県内サイクリングルート等のナショナルサイクルルート(NCR)指定を目指すため、鳥取うみなみロードの走行環境及びサイクリスト受入環境の整備を行う。特にナショナルサイクルルート指定に向けて、指定が想定される令和7年度中までに指定要件クリアを目指すため、引き続き走行環境の整備及び受入環境整備を進める。
また、鳥取県自転車活用推進アクションプログラムについて令和6年度に改訂するとともに、鳥取うみなみロードをはじめとした県内サイクリングルートの観光活用、県内サイクルツーリズム推進の気運醸成を図るため、県内サイクリングルート、サイクリスト支援体制等の情報発信を行うとともに、県内全域での自転車活用の推進を進めていく。
2 主な事業内容
(単位:千円)
| 細事業 | 要求内容 | 要求額 | 前年度 |
1 | ナショナルサイクルルート指定に向けた事業 | 鳥取うみなみロードの走行環境・受入環境の充実に取り組む。
【走行環境】
・安全・快適に走行するための矢羽根、注意喚起看板の設置等
【受入環境】
・サイクリスト支援態勢(ダイジョウブシステム)の維持・拡充及び管理運営
・地域の魅力を紹介するサイクリングガイドの養成
・サイクルイベント促進補助 | 25,200 | 171,864
(229,164) |
2 | サイクルツーリズムの全県展開 | サイクリストの聖地・鳥取を目指した全県展開
・サイクリングルート利用者数調査
・県整備ルートの修繕費用
・サイクルトレイン・サイクルバス普及推進事業補助金
・レンタサイクル拠点整備事業補助金
・サイクルトレインの実施に向けた施設改修費用
| 24,591 | 11,011
(16,936) |
3 | 広域連携・情報発信 | サイクルツーリズムに関する情報発信、中四国との連携を進める
・中国地方知事会広域連携部会サイクリング部会
・サイクリングに関する情報を掲載するWEBサイト「とっとり自転車旅」の充実及び運営・保守
・雑誌・WEB記事掲載
・県外イベント等への出展費用 | 9,500 | 4,000
(8,500) |
4 | 自転車活用推進計画の普及啓発 | ・自転車活用推進計画の改訂に係る経費 | 2,500 | |
| | 計 | 61,791 | 186,875
(254,600) |
※前年度の括弧書きは、当該事業の補正分と「ナショナルサイクルルート挑戦事業(サイクリストの聖地化促進)」を含む
【再掲】
<新規・拡充事業>
(単位:千円)
| 細事業名 | 内容 | 要求額 | 前年度
予算額 | 前年度からの
変更点 |
1 | 【NCR推奨項目】
サイクルツアーガイド養成 | 日英二ヵ国語対応できるサイクルガイドの養成のため、座学とサイクル試走をしながら現地講習を実施
| 2,000 | 1,500 | 拡充 |
2 | 【NCR推奨項目】
サイクルトレイン実施事業 | 令和5年度に実施した、サイクルトレイン実証実験を受けて、実際のサイクルトレイン運行に向け、駅施設等の改修等を行う | 8,500 | 0 | 拡充 |
3 | 自転車活用推進計画普及促進事業 | 令和6年度に改訂予定の自転車活用推進計画についての普及啓発および計画改訂・策定を行う | 2,500 | 0 | 新規 |
4 | 情報発信経費 | NCRに向けた機運醸成や情報発信のためサイクル専門誌やYouTubeへの掲載 | 8,000 | 3,000 | 拡充
(6月 2,000千円) |
5 | サイクリング周遊モデルルート設定 | NCR指定を目指す鳥取うみなみロードは全長が約152kmと長く、圏域ごとのターゲットに合わせた周遊モデルコース設定を行う | 1,200 | 0 | |
6 | サイクリングルートの利用者調査 | 県内サイクリングルートの利用者数を把握し、これまでの施策の効果測定、今後の施策展開につなげる | 3,200 | 400 | |
7 | 県整備ルートの修繕費用 | 県が主体的に整備をしているサイクリングルートのうち、安全性の確保等により緊急的に修繕するための工事請負費 | 5,000 | 0 | 新規 |
| 合計 | | 30,400 | 4,900 | |
<継続事業>
(単位:千円)
| 細事業名 | 内容 | 要求額 | 前年度予算額 | 前年度からの
変更点 |
1 | 【NCR必須項目】
NCR走行環境整備 | NCR指定に向けた路面標示等の整備 | 25,391 | 168,465 | |
2 | 【NCR必須項目】
サイクリスト支援体制の整備 | サイクリングを安心・快適に楽しんでもらうためのサイクリスト支援体制(ダイジョウブシステム等)の維持・拡充を図るとともにサイクリストに優しい宿を認定 | 500 | 1,500 | 一部(1500千円)枠内事務費に振替 |
3 | 中国地方知事会広域連携部会サイクリング部会 | サイクル施策の広域的取組のため参画。 | 1,500 | 1,000 | |
合計 | 27,391 | 170,965 | |
(単位:千円)
| 補助金名 | 補助対象事業・補助対象経費 | 実施主体 | 県補助率
(上限額) | 要求額 | 前年度
予算額 | 前年度からの変更点 |
1 | サイクルイベント促進補助金 | サイクルイベント開催経費 | 民間団体等 | 1/2
(500千円) | 1,500 | 1,500 | |
2 | サイクルトレイン・サイクルバス普及推進事業補助金 | 自転車と公共交通機関(鉄道又はバス)を組み合わせたイベント開催経費 | 民間団体等 | 定額
(250千円) | 500 | 500 | |
3 | レンタサイクル拠点整備事業補助金 | 自転車の貸出事業に要する備品類の購入、拠点の整備に要する経費 | 市町村、観光協会等 | 1/2
(1,000千円) | 2,000 | 2,000 | |
合計 | 4,000 | 4,000 | |
<廃止事業>
(単位:千円)
| 細事業名 | 内容 | 要求額 | 前年度
予算額 | 前年度からの
変更点 |
1 | 【NCR必須項目】
多言語ホームページの開設 | NCR指定にむけて、多言語対応ホームページの開設 | 0 | 5,810 | |
2 | 【NCR必須項目】
ダイジョウブシステムの適正管理業務 | ダイジョウブシステムの運営にあたり、各店舗での取組を確認し、よりサイクリストの受入環境の質が向上するよう調査及び講習の実施 | 0 | 1,000 | |
3 | ジャパンエコトラック第1号認定ルートの活用 | ジャパンエコトラック公式ルートマップの配架 | 0 | 200 | 事務費での執行
R6年度は改訂なし |
| | 合計 | 0 | 7,010 | |
3 背景
鳥取県のサイクリング施策やナショナルサイクルルート(NCR)に向けては、令和2年に創設した官民連携の協議会である「鳥取県サイクルツーリズム推進・連携会議」において議論がなされている。令和4年4月の第2回会議において、NCRを目指す県内ルートを「鳥取うみなみロード」を基軸としたルートと決定し、令和4年10月の第3回会議では、鳥取うみなみロードの一部振替(鹿野地区振替)を決定し、NCRに向かう推進体制として、走行環境整備と受入環境整備のタスクフォースを立ち上げて、NCR指定に向けた具体的な議論を促進。また、令和5年2月には、鳥取うみなみロードのナショナルサイクルルート指定に向けた整備方針である「鳥取うみなみロード整備計画」を策定し、現在、ソフト整備及びハード整備を進めているところ。
一方で、NCRはすでに国内6路線が指定を受けており、今後新たな指定を受けるためには、指定要件を確実にクリアさせることはもちろん、NCR指定を目指している他地域よりも走行環境及び受入環境整備に関してアドバンテージをとる必要があることに加え、NCR制度が定められている「自転車活用推進法」や、その方の具体的計画である「自転車活用推進計画」の理念に叶う地域を目指すことが重要である。
NCR指定は令和7〜8年度を想定しており、NCRに向けては総仕上げの年になるが、その先を見据えてNCR指定要件のクリアとともに、自転車の利活用を広く進め、自転車利用環境の向上を図っていくことで、指定後の自転車活用によるツーリズム振興を推し進めていきたい。。
その中で、受入環境の一環としてのサイクルガイドの養成講座を県商工会連合会と連携しながらNCR指定を目指している点は全国でもあまりないモデルであり、NCR指定を目指す過程で、受け地での観光産業育成や、サイクル関係事業者の移住定住者の増加を目指し、NCR指定やその後を見据えて引き続き商工会連合会や各種民間事業者と連携しながら取組を推進していく必要がある。
4 新規・拡充事業について
(単位:千円)
| 細事業名 | 前年度からの変更内容 | 要求額 | 前年度
予算額 |
拡充 | 【NCR推奨項目】
サイクルツアーガイド養成 | ・これまでの受講者が考案したサイクリングルートを実際に走ることで、商品化に向けた検証等を行うため、実技回数を増やす。 | 2,000 | 1,500 |
拡充 | 【NCR推奨項目】
サイクルトレイン実施事業 | ・サイクルトレインの試験運行に向けて、駅舎やホームなどの改修のほか、情報発信経費を支援する。 | 8,500 | 0 |
新規 | 自転車活用推進計画普及促進事業 | ・令和6年度に改訂予定の自転車活用推進計画について、改訂のための検討を進めるための委託料及び委員報酬等 | 2,500 | 0 |
拡充 | 情報発信経費 | ・継続的な雑誌掲載等のほか、あらたなターゲットに向けた動画発信などを実施するための情報発信経費 | 8,000 | 3,000 |
新規 | サイクリング周遊モデルルート設定 | ・NCR指定を目指す鳥取うみなみロードは全長が約152kmと長く、圏域ごとのターゲットに合わせた周遊モデルコース設定を行うため、愛好団体やサイクリング協会などに委託をする。 | 1,200 | 0 |
拡充 | サイクリングルートの利用者調査 | ・スマートフォンキャリアを活用したサイクリングロードの利用者数調査を実施 | 3,200 | 400 |
新規 | 県内サイクリングルート管理 | ・県内のサイクリングルートについての維持補修等の優先度を計画立てるため、現状の把握をするための委託費。 | 5,000 | 0 |
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
【事業目的】
・ナショナルサイクルルート指定を目指す
・サイクルツーリズムを通じた観光消費・交流人口の拡大
・全県下において自転車の活用推進を進める
【取組状況】
(1)県内サイクリングルート整備
○シートゥーサミットルート(45.9km)
境港・米子鬼太郎空港・米子駅から皆生を経て大山のルート
○中海周遊ルート(72.6km)
中海を一周するルートで高低差が少なく初心者でも楽しめるルート
○ツール・ド・大山コース(約85km)
博労座から大山を一周するルートで上級者向け
○白砂青松の弓ヶ浜サイクリングルート(約15.8km)
弓ヶ浜から大山までの眺望に優れた海岸沿いルート
○鳥取うみなみロード(とっとり横断サイクリングルート)(約138km)
日本海沿いに、県を東西方向に横断するルート
○鳥取岡山接続サイクリングルート(約45km)
鳥取県と岡山県を辰巳峠で繋ぐ千代川、佐治川沿いルート
○日野川周回サイクリングルート(約22q)
日野川河川敷を走る平坦な初級者向けルート
○だいせん山の手サイクリングルート(約10q)
シートゥーサミットルートとツール・ド・大山コースを結ぶ接続ルート
(2)受入環境整備
○サイクリングサポートシステム「ダイジョウブシステム」の構築
ア バイクラック、修繕具セット、空気入れの配備
・コグステーション(サイクリングの拠点)
東部3か所、中部2か所、西部5か所
・サイクルカフェ(サイクリストが快適に休憩食事できる飲食店)
東部44か所、中部31か所、西部77か所
・サイクルポート(サイクリストが快適に買い物ができるコンビニ)
東部40か所、中部28か所、西部51か所
イ 非常時(自転車の故障時等)のレスキュー体制
・サイクルキャリア搭載UDタクシー
東部8営業所18台、中部1営業所1台、西部13営業所54台
(3)広域連携
○平成28年11月16日に開催された中国地方知事会において、広島
県知事からの提案により、「サイクリング・ワーキンググループ」(メ
ンバー:課長級、事務局:広島県)を設置、平成29年6月5日の中国
知事会において「サイクリング部会」に格上げ。
・広域推奨ルート、推奨エリアの設定
@広域推奨ルート
・やまなみ・しまなみルート(大山〜やまなみ街道〜しまなみ海道)
・日本海・瀬戸内海ルート(鳥取〜鏡野〜香川県)
・日本海沿岸ルート(鳥取砂丘〜益田〜津和野〜萩〜下関)
A広域推奨エリア
・せとうちエリア(せとうちグランドコース)
・中国山地エリア(中国山地グランドコース)
・日本海エリア(日本海グランドコース)
・受入環境整備(サイクリスト用の休憩場所の整備等)
・情報発信の連携(サイクルモードRIDE大阪への共同出展等)
○Setouchi Velo協議会への本県の参画(令和5年10月〜)
・しまなみ海道や淡路島一周(「あわいち」)、四国一周など、瀬戸内
地域に存するサイクリングルートのネットワーク化(デジタル化)、
様々な形でサイクリストを応援する飲食店等「Setouchi Veloスポッ
ト」の登録など受入環境整備を進めるとともに、国内外への情報発
信に取り組んでいる。
・本県としては、瀬戸内圏域との連携を進めていくために参画。今後
は瀬戸内地域と一体化したルート発信等をしていく予定。
[運営事務局]国土交通省中国地方整備局、本州四国連絡高速道路
株式会社
[構成団体]兵庫県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛
媛県、高知県等
(4)官民協議会の設立と議論の推進
○令和3年2月に官民からなる「鳥取県サイクルツーリズム推進・連
携会議」を設立し、県内のサイクルツーリズム施策に関する議論を
開始。
○令和4年4月には、NCR指定を目指す県内候補ルートを「鳥取うみ
なみロード」を基軸としたルートと決定。その後、令和4年10月に
は、ルートの一部振替(鹿野地区振替)し、鳥取うみなみロードの
NCR指定に向けた具体的議論をするためのタスクフォースを立ち
上げて、推進体制を強化。
【改善点】
○サイクルツーリズム推進について、先行していた県西部のみならず全県で盛り上がっていけるように、県内市町村、民間団体にも広く協力を求め、気運醸成を図っていかなければならない。
○NCRに向けて、官民においてそれぞれの役割をしっかり認識し、連携をしていく。
これまでの取組に対する評価
(1)県内サイクリングルート整備
○県西部で先行的にサイクリングルートの整備が進んできているが、鳥取うみなみロード、鳥取岡山接続サイクリングルートなど、県東部中部に関わるルート整備も進んできている。
【整備状況】8ルート(来年度中に10ルートになる予定)
東部:1ルート(来年度中に2ルートになる予定)
・鳥取岡山接続サイクリングルート
中部:0ルート
西部:6ルート(来年度中に7ルートになる予定)
・シートゥーサミットルート
・中海周遊ルート
・ツール・ド・大山ルート
・白砂青松の弓ヶ浜サイクリングコース
・日野川周回ルート
・だいせん山の手ルート
横断:1ルート
・鳥取うみなみロード
○NCR指定に向かう「鳥取うみなみロード」のコースがほぼ確定し、整備計画の策定やNCR指定のための具体的な施策を議論検討するタスクフォースの立ち上げをしているところ。
(2)受入環境整備
○サイクルポート
各店舗において、サイクリストの要求に耐えれているのか早急に確認が必要。これまで量を求めて拡大路線で来ていたが、その質(良いサービスを受けられるか)について徹底する必要性あり。
○サイクルカフェ
年々増加しており、全県展開が完了しているが、県東部中部の協力店舗の掘り起こしを行い、地域間での偏りを解消していく。
○コグステーション
全県においてコグステーションが誕生をしているが、多種多様なサイクリストの要求に応えられるよう、地域バランスや整備・自転車配備などを勘案して面的な受入環境を構築できるよう進めていく。
○サイクルキャリア搭載UDタクシー
全県展開が完了しているが、中部で対応可能な営業所が少ないことから、引き続き、協力いただける営業所を募っていく。
(3)広域連携
○中国地方知事会サイクリング部会の事業として、広域サイクリングマップを作成したほか、サイクリング専門誌掲載、デジタルスタンプラリー事業の実施、サイクルモードライド大阪への共同出展などに取り組んできた。
○引き続き、中国地方各県とも連携を密にして、中国地方全体のサイクリング人気の向上を図るとともに、中国地方を訪れるサイクリストの本県への誘客を図っていく。