1 事業の目的・概要
水産試験場では、県の基幹漁業である沖合底びき網、イカ釣、大中型まき網、ベニズワイかにかごの漁獲対象魚種を調査対象とし、稚魚の加入状況や漁獲対象魚種の分布状況を把握している試験船「第一鳥取丸(平成9年2月竣工)」を所有し、維持管理を行っている。
- 第一鳥取丸は、令和6年2月で船齢28年となり、船体の経年劣化、故障による調査規模縮小や維持費増加等の運用の弊害が生じているため、代船を建造する必要がある。
2 主な事業内容
代船を建造する上で必要な基本設計を実施する。
3 スケジュール
調査の計画的実施・安全性・経済的観点から、代船を令和8年2月までに稼働させる。
年度 |
R6 |
R7 |
R8 |
代船 |
基本設計 |
建造 |
建造・竣工 |
現船 |
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(定期検査) |
売却(船齢30年目) |
4 試験船の必要性
第一鳥取丸が調査対象とする魚種は、沖合漁業を中心とした産業規模の大きい漁法であり、加工や流通、雇用など地域産業を支えるうえでも、これらの魚種を今後も継続的に現状レベル以上で調査をすることの意義は非常に大きい。
第一鳥取丸では、近年、漁業者の漁具では採集できない稚魚や稚魚ガニの分布量を把握する調査に力を入れており、対象魚種の将来予測に取り組み、成果を上げている。
また、県の最重要漁法である沖合底びき網については、漁期前の8月、ズワイガニ解禁前の10月に主要魚種の分布状況を把握する調査(漁況予測)を行っており、この結果を参考に、漁業者は操業位置等を決めている。
国の資源評価(数値計算)の結果に対して、実際の現場での状況を科学的に把握し、きちんと物申すためにも試験船での調査は不可欠であり、業界もこれに期待している。
沖合域の海洋観測等の結果は、海中の天気予報として沿岸域の潮流等の予測を導く上に重要なデータとなる。
5 代船の仕様コンセプト
近年の船価高騰と県財政を勘案して、必要最小限の装備とする。
日本海の時化での安全性の担保のため、現行サイズ(全長×幅)を確保しつつ、現行の199トン未満とする。
環境負荷及びランキングコストの削減を考慮し、低燃費型の船型を導入する(スリムな船型、大口径プロペラ等)。
30年間船体を使うことを考慮し、配管、配線のやり換え等、大規模修繕がやりやすい構造とする。
船員が自ら故障個所を判別し一部は修繕できるよう、配線にラベリングする等チェックのしやすい構造とする。
6 特記事項
他県の試験船との一部共通仕様での建造や共同発注を検討し、少しでも安く調達できるよう検討を進めている。
資金調達手法としてPFIによる民間活力等が活用できるかについて行財政改革推進課が教育実習船と併せて検討した結果、財政負担の縮減効果が期待できないと判断され、従来型の県直営で建造を行う。