1 事業の目的・概要
生産から出荷までの課題解決を支援することで、県内花き及び芝産地の振興と生産者の育成を図る。
2 主な事業内容
(1)生産振興事業【7,850千円】 継続
(単位:千円)
| 補助金名 | 補助対象事業・補助対象経費 | 実施主体 | 県補助率
(上限額) | 要求額 | 前年度予算額 | 前年度からの変更点 |
<花き> |
1 | 県産重要品目生産支援 | ○シンテッポウユリ産地の活性化
・転換品種の導入支援 | 生産組織、JA等 | 1/3
(市町村1/6)
※広域の場合は県1/3 | 925 | 716 | 継続 |
○産地規模拡大支援
・規模拡大に必要な機械等の導入支援(調製機械、自動潅水装置等)
・省エネルギー機械・器具等の導入支援(LED電照、燃油削減できる暖房機等)
・新規栽培者の花き栽培資材の導入支援(フラワーネット、支柱等) | 農業者、生産組織、法人、JA等 | 3,525 | 2,385 | 組替新規 |
<花き>小計 | 4,450 | 3,101 | |
<芝> |
2 | 高付加価値の新品種普及の加速化 | ○耕作放棄地の活用による普及支援 | 生産組織、法人等 | 1/3
(市町村1/6)
※広域の場合は県1/3のみ | 900 | 900 | 継続 |
○産地規模拡大支援
・規模拡大に必要な機械等の導入支援 | 2,500 | - | 新規 |
<芝>小計 | 3,400 | 900 | |
【生産振興事業】合計 | 7,850 | 4,001 | |
(単位:千円)
| 補助金名 | 補助対象事業・補助対象経費 | 実施主体 | 県補助率
(上限額) | 要求額 | 前年度予算額 | 前年度からの変更点 |
<花き> |
1 | 推進活動支援 | 〇花き消費啓発活動
・先進事例調査
・広報宣伝など
(旅費、広報費等) | 鳥取県花き振興協議会 | 県1/2 | 283 | 1,363 | なし |
2 | 協議会支援 | 〇協議会活動支援
(イベント、研修会の開催、花育活動の推進(県産材の材料、講師料)等) | 県10/10
※花育支援は県1/2 | 2,104 | なし |
<花き>小計 | 2,387 | 1,363 | |
<芝> |
3 | 芝王国とっとりの活動支援
| ○後継者育成、イベント開催
・PRイベントの開催
・人材確保の支援 | | 県10/10
(委託料) | 600 | 600 | なし |
○鳥取の芝PR支援
・県内外での鳥取の芝PR用の看板等作成・掲示費、チラシ・ポスター費用等 | 生産組織、法人、鳥取県芝生産指導者連絡協議会等 | 1/2
(上限200千円) | 200 | 200 | なし |
<芝>小計 | 800 | 800 | |
合計 | 3,187 | 2,163 | |
背景
<花き関係>
○本県の切り花は県中部地区を中心として栽培されており、スイカの後作としてストック(R4販売額1.8億円)、抑制作型のシンテッポウユリ(R4販売額1.7千万円)等が栽培されている。
○特に抑制作型のシンテッポウユリは、鳥取県園芸試験場が開発した栽培技術として普及しており、中部のスイカ・花き生産者の栽培体系にマッチしている、他産地からの出荷が少ない時期に出せるため高単価での出荷が期待できる等の利点があり、スイカ等の野菜とあわせた推進品目となっている。
○一方で、抑制シンテッポウユリはマイナーな作型であるため、作型に適合する主要品種が少なく、特定の種苗業者への発注を行っていたが、品種も古くなり、業者も良質な種子の確保に苦慮しているところ。令和4年度以降の種子供給不足により、産地消滅の危機となっており、思い切った品種の転換を迫られている。
○また、ストックにおいては、西日本最大の産地として市場評価も高く安定した単価で推移しており。栽培面積も増加傾向にあるが、花き類は需要が高くなる時期も限られているため、出荷時期の集中化への対応が懸念される。高単価期の出荷チャンスを逃さないため、集中出荷に耐えうる調製作業体制の強化と開花調整技術の普及が必要となってくる。
<花き振興協議会>
○花きの生産及び消費が縮小傾向にある中、生産・流通販売などに関わる花き関係者で組織された「花き振興協議会」の役割は、今後さらに重要になっていくと考えられる。
〇近年、新型コロナウイルスの影響により花きの需要が落ち込んでおり、協議会からも、直接的な花き消費の啓発活動・需要喚起の取組が求められている。また、他県の先進的な花き消費活動事例等を調査し、協議会活動に新たに反映させる必要がある。
<芝関係>
〇現在、本県の芝生産は、栽培面積843ha、生産者数418人(R2年)にて、販売額は約17億円、全国第2位の産地である。
〇一方で、県全体の雇用情勢は好転しているものの、芝産業は高齢化が進んでおり、担い手不足の状況が続いている。
〇昨年度、鳥取県芝生産指導者連絡協議会が「芝王国とっとり」を開所し、PRや後継者の育成に取り組んでいるため、芝王国の活動と併せてPRの取組を行い、県内芝産業の活性化を行う必要がある。
〇米子市とガイナーレが連携し進めようとしている「弓ヶ浜芝生化プロジェクト」が動き始めており、砂地に拡がる耕作放棄・遊休農地対策と合わせて、今後も見込まれる西洋芝(ティフトン)の砂地での規模拡大や高付加価値の新品種のモデル実証について支援が必要である。
前年度からの変更点
・「ストック等産地の強化」を「花き産地規模拡大支援」に改め内容の見直しをした。
・「高付加価値の新品種普及の加速化」に「産地規模拡大支援」を新たに追加した。
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
<花き>
〇園芸産地活力増進事業(H30)・鳥取の花いきいき総合戦略事業(R1、R2、R3)において、県外市場等で有利販売できる花壇苗品目について、鳥取県苗物・鉢物生産研究会で試作を実施した。
○H30〜R3年度にシンテッポウユリの育苗分業化の実証試験を実施した。
〇EOD技術が大栄地区等のストックを中心に普及し、開花促進による年内出荷率増加を目指し販売額の増加を図る。また、出荷調整機械の導入により、調製作業体制の強化を図る。
○「鳥取花壇苗等産地イノベーション事業(H30)」及び「鳥取の花いきいき総合戦略事業(R1、R2)」において、台車140台が導入され、物流効率化の実証に取り組んだ。
○鳥取県花き振興協議会が主催の「花のまつり2020」及び「花のまつり2021」は、新型コロナウイルス感染症の影響により中止となった。令和3年度は花のまつりの代替となる花き消費拡大の取組として、県産切り花展やフラワーアレンジメントショーなどをとっとり花回廊にて実施。令和4年度は「花のまつり2022」を開催し、花きの需要喚起を図った。令和5年度も引き続き「花のまつり2023」を開催し、花きの需要喚起を図る予定。
<芝>
○鳥取芝ブランド化生産振興事業(H28からH30)により、H28年度は、スイーパー、モア、ソードカッターを計22台、H29年度は新しく開発された収穫機も含め計14台導入、H30年度は5台を導入し、面積拡大を図っている。
〇鳥取の芝生産振興事業において、R1、R3年に耕作放棄地等計3.1haを新規の芝圃場として再生・整備した。R4年度はさらに1haを新規に整備する見込み。
〇R2年度には芝PRの取組として、ステッカー等を作成した。R4年度は芝生産組織ホームページを改善し、PRの強化を図る。
○「鳥取県農業生産1千億円達成プラン」において、芝は10億円品目に位置づけられており、面積拡大を目標((H28年839ha⇒R5年874ha(+35ha))にしている。(現状R2年843ha)
これまでの取組に対する評価
<花き>
〇花壇苗の高付加価値品目の開発のための試作で、「スーパーアリッサム」等新商品が定番化した。複数の生産者が試作結果を情報交換できたことで、これまでできなかった栽培技術交流の好機ともなった。
○シンテッポウユリの育苗分業化の実証試験では、委託苗を活用した農家で自家育苗に比べて採花率の向上がみられている。
〇EOD技術導入は大栄地区等のストックにとどまっており、導入効果の高い品目へ積極的に導入推進を図ることが求められている。
〇台車導入により、集出荷作業時間の削減を達成しており、生産者でも作業性の効率化につながっている。
○「花のまつり」等の活動により、鳥取県の花きについて県民の理解を深めることができたと同時に、県内の花き関係者の連携強化や技術研讃を図ることができた。
<芝>
〇県内の芝栽培戸数は減少しているが、大型機械等の導入により、1戸あたりの栽培面積は増加(H19年1.17ha⇒R2年2.02ha)している。また、国際大会等や耕作放棄地等利用の効果もあり、西洋芝の作付け面積は増加(H19年21.4ha⇒R2年60.6ha)している。