1 事業の目的・概要
不妊治療の早期開始への契機として、また不妊症に対する不安や、不妊検査に係る費用の経済的負担の軽減のため、不妊症の診断に必要な検査を夫婦が共に受けた場合に、検査費用について単県で助成を行う。
また、不妊に悩む夫婦等への経済的負担の軽減及び精神的なサポートを行うため、不妊治療に対する助成を県独自で実施する。
不妊症、不育症及び不妊治療に関する専門相談業務を担う不妊専門相談センターの運営を県内2箇所の医療機関に委託し、専門家による相談・指導、知識の普及啓発等を実施する。
2 主な事業内容
(単位:千円)
 | 細事業 | 内容 | 要求額 | 前年度
予算額 | 前年度からの
変更点 |
1 | 願いに寄り添う妊娠・出産応援ネットワーク会議【継続】 | 妊娠・出産を望む方への包括的な支援体制の構築に向け、必要な支援等を協議する。 【国1/2】 | 1,076 | 592 |  |
2 | 不妊検査費助成金交付事業【継続】 | 不妊症の診断を行うために、医師が必要と認めた検査を夫婦が共に受けた場合について、検査費用のうち、保険適用外となる費用を支援する。【単県】
【助成額】
検査費用のうち保険適用外となる費用の10/10(上限2万6千円まで)を助成。(夫婦1組につき1回限り)
【対象者】
次のすべてに該当する者
・不妊検査開始時において、法律上の婚姻をしてから3年以内の夫婦または35歳未満の夫婦であること。
・申請日時点で夫婦のいずれか一方が県内に住所を有していること。
○扶助費(中・西部分)4,472千円
○負担金(鳥取市・東部4町分)1,482千円 | 5,954 | 5,928 |  |
3 | 特定不妊治療費
助成金交付事業
【拡充】 | 3−1 保険外併用で実施された先進医療への補助(財源:単県)
保険外併用の仕組みのもと、先進医療として保険適用外で実施された治療に対して5万円/回を上限に助成する。
※回数制限については保険適用条件に基づく(治療開始時における妻 の年齢が40歳未満である場合は1子につき6回まで、40歳以上で ある場合は1子につき3回まで) | 22,900 | 9,100 |  |
1−2 全額自費診療で実施される治療への補助(財源:単県)
下記のいずれかに該当し、全額自費で行う治療へ助成する。
(1) 先進医療ではない保険適用外となる治療(混合診療)を行う場合
(2) 保険適用される治療回数を終えた方が、継続して治療を実施する場合(治療開始が40歳未満の場合は7回目以降、40歳以上の場合は4回目以降が対象) (3)年齢制限により保険適用を受けられない方が治療を行う場合
【助成上限額】 ・採卵を伴う治療 30万円/回 ・採卵を伴わない治療 11万円/回 【助成回数】
治療開始時における妻の年齢が40歳未満の場合は6回/1子まで、40歳以上の場合は3回/1子までの範囲内の治療に限り助成
【拡充】
以下を、助成要件から削除し、43歳以上で初めて不妊治療を行う者であっても、最大3回まで助成対象とする。
(削除する助成要件)
・国制度、保険適用 または自費診療のいずれかの治療が42歳までに開始されている者。 | 42,510 | 43,200 |  |
1−3 保険適用外で実施されるPGT-Aへの上乗せ補助 (財源:単県)
県内の医療機関でPGT-Aを実施された場合は混合診療となるため、 1-2の助成に15万円を上乗せし、最大45万を上限に助成する。
※回数制限については、1-2の助成回数に基づく。 | 10,500 | 10,500 |  |
1−4 自己負担上限額定額補助(財源:単県)
不妊治療に係る負担額を高額療養費制度と同等まで軽減するため、
1−2及び1−3の助成を受けた後の負担額が高額療養費制度を活用した場合の自己負担額を上回る場合、当該上回る額の1/2を助成する。 ※回数制限については、1-2の助成回数に基づく。 | 6,120 | 5,000 |  |
4 | 不育症検査費助成事業【継続】 | 先進医療として国が告示した不育症検査に係る費用を助成する。
【国1/2】
【助成額】
一回の検査に係る費用の7割に相当する額(上限:6万円)
○扶助費(中、西部分) 120千円
○負担金(鳥取市+4町分) 60千円
※上記の国事業の対象外となる不育症検査や治療に係
る助成を行う市町村に対する補助をとっとり版ネウボ
ラ推進事業補助金で実施(子育て王国課所管) | 180 | 240 |  |
5 | 着床前検査
(PGT-M)助成金
交付事業
【継続】 | 重篤な遺伝性疾患をもつ子どもが生まれる可能性がある夫婦が、医師が必要と認めた着床前検査(PGT-M)を受けた場合について、検査に要した費用のうち、7割に当たる費用を助成。(上限1,050千円)
【財源内訳】県10/10
【年間申請見込み件数】2件 | 2,100 | 1,050 |  |
6 | 不妊治療に係る交通費助成 【新規】 | 不妊治療施設が遠方の方に対し、不妊治療受診時に係る交通費の助成を行う。
【財源】県10/10
【年間申請見込み件数】50件 | 1,200 | 0 |  |
7 | 不妊専門相談
センター運営事業【継続】 | 不妊専門相談センターを開設し、医師・助産師による不妊・不育に関する専門的相談・指導やピア・サポート活動、不妊・不育に関する勉強会・相談会等を実施する。
【国1/2 ※東部は鳥取市1/4】
(委託先:鳥取県立中央病院、医療法人社団ミオ・ファティリティ・クリニック) | 2,308 | 2,503 |  |
8 | その他事務費 【継続】 | ○新聞広告掲載料
○不妊、不育、検査に関する啓発資料作成、チラシ、申請書印刷費等
○その他事務費 | 716 | 716 |  |
計 | 95,564 | 78,829 |  |
3 背景
少子化問題の要因となる晩婚化に伴い、母の出産年齢も上昇していることから、不妊治療の支援のニーズが高まっている。
年齢に伴う妊孕性の低下は、自然妊娠のみでなく、不妊治療における場合も同様であることから、結婚後早期の不妊検査を促し、治療が必要な方が早期の治療に繋げていくことが必要となる。しかし、不妊治療は高額で経済的負担が大きく、子どもを諦めざるを得ないケースもあることから、治療への支援を併せて実施していく必要がある。
本県では、これまで不妊検査費の助成や、国の助成制度に上乗せした不妊治療費助成等、県独自助成制度を設けて支援を行ってきたところであるが、全国的な少子化問題への対策として、令和4年度より不妊治療が保険適用となった。
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
○事業目標・取組状況・改善点
これまで高額で保険適用外となる不妊治療に係る費用の助成を行い、経済的負担の軽減を図り、また、早期の不妊検査受診を促し、不妊治療が必要とされる方を早期治療に繋げることで少子化対策に資する。
令和4年度から特定不妊治療(体外受精、顕微授精)が保険適用されたことに伴い、保険外併用で実施される先進医療、 及び全額自費診療ととして行われる治療(混合診療、保険適用回数を超える治療)について、県助成を行ってきた。
令和6年度は、保険適用から2年が経過し、県内医療機関における不妊治療の実施状況をふまえて、保険適用の回数を超えた方への助成等、制度の拡充を行った。
〇(R4~新設)特定不妊治療費助成実績
〈先進医療〉 〈自費a〉 〈自費b〉
R4: 240件(6,208,120円)/10件(2.240,000円)/44件(4,400,000円)
R5: 428件(11,224,820円)/14件(2,806,742円)/62件(20,231,562円)
○特定不妊治療費助成金交付事業
特定不妊治療以外の治療法によっては妊娠の見込みがないか又は極めて少ないと医師に診断された者に対して、治療に要する費用の一部を助成した。
(助成総額) (助成延件数)
H26実績 144,045千円 1,148件
H27実績 143,764千円 1,091件
H28実績 170,836千円 1,157件
H29実績 157,316千円 1,048件
H30実績 159,425千円 1,074件
R1実績 150,957千円 1,041件
R2実績 217,177千円 1,172件
R3実績 295,103千円 1,462件
R4実績 60,152千円 297件 ※R4〜保険適用
R5実績 20,232千円 504件
○不妊検査費助成
H28年度 65件(834千円)
H29年度 98件(1,217千円)
H30年度 83件(996千円)
R1実績 109件(1,271千円)
R2実績 200件(4,494千円)
R3実績 228件(5,371千円)
R4実績 209件(5,172千円)
R5実績 219件(5,506千円)
○不妊専門相談センター相談件数
・東部センター (R5)601件、(R4)619件、(R3)617件、(R2)700件、
(R1)493件、(H30)521件、(H29)367件、
(H28)291件
・西部センター (R5)219件、(R4)300件、(R3)353件、(R2)219件、
(R1)210件、(H30)205件、(H29)206件、
(H28)196件
これまでの取組に対する評価
○特定不妊治療費助成事業
特定不妊治療に取り組む夫婦に対し、治療費を助成することで、経済的負担を軽減した。助成件数の伸びは顕著で、制度のニーズが年々高まっていることがうかがわれる。
○不妊検査の早期受診の促進、不妊の悩みを抱える者に寄り添い 対応するための体制の構築に寄与している。令和2年度より、不妊検査費の助成額、対象者を拡充し、啓発を図ったことから、不妊検査者数が増加し、その結果妊娠率の高い年齢(35歳未満)での不妊治療者数が増加した。