1 事業の目的・概要
水産物の安定的な供給と、輸出など漁業の国際化にも対応できる力強い水産業を推進するため、高度衛生管理型市場および防災対応型漁港を整備する。
2 主な事業内容
■境漁港の整備
令和7年度補正事業内容(水産振興課分)
施設名 | 要求額 | 内容 |
| 8号上屋(新築) | 90,000千円 | 工事費 |
合計 | 90,000千円 |  |
(※)高度衛生管理型市場の整備 ・・・ 水産振興課対応
岸壁等の整備 ・・・ 港湾課対応
3 全体スケジュール
実施時期 | 内容 |
| 平成26年11月〜 | 基本設計(市場施設全体) |
| 平成27年11月〜 | 実施設計(市場施設全体) |
| 平成28年3月〜 | 3号上屋改修、トラックスケール新設 |
| 平成28年度 | 5号上屋改修
陸送上屋新設
1号上屋新設 |
| 平成29年度 | 陸送上屋新設
1号上屋新設
清浄海水取水施設設計
流動海水氷製造装置整備 |
| 平成30年度 | 陸送上屋新設
1号上屋新設
2号上屋新設に係る護岸設計
4号上屋改修
6号上屋新設 |
| 令和元年度 | 1号上屋新設
2号上屋解体
2号上屋新設
電気ポンプ室等新設 |
| 令和2年度 | 2号上屋新設
電気ポンプ室等新設 |
| 令和3年度 | 2号上屋新設
かに籠上屋増築・改修 |
| 令和4年度 | 2号上屋新設
かに籠上屋増築・改修
7号上屋改築 |
| 令和5年度 | かに籠上屋増築・改修
7号上屋改築 |
| 令和6年度 | 8号上屋新築 |
| 令和7年度 | 1号上屋解体
8号上屋新築 |
| 令和8年度 | 8号上屋新築
事業完了 |
4 背景・必要性
境漁港は、まき網漁業、ベニズワイガニかにかご漁業、沖合底びき網漁業、いか釣り漁業等の沖合漁業を中心として、令和6年の水産物取扱量は重量125,654t(全国3位)、金額23,939百万円(全国4位)を誇る全国有数の漁港である。
本事業の計画策定時(H26.10)は、漁港の防災対策が講じられておらず、市場の上屋では出入りの自由な吹きさらしとなっており、海鳥等の動物が自由に侵入できる状態で衛生面で課題があった。平成26年から始まった整備により、防災対策工事、人や動物の自由な侵入を防ぐ対策を行い、現在は防災対応型の高度衛生型市場として利用されており、8号上屋の整備が残るのみ。
以上から、災害に強く流通の拠点となる防災対応型漁港の整備と消費者の「安心・安全」のニーズに対応した高度衛生管理型市場を整備し、水産物の安定な供給と、輸出など漁業の国際化にも対応できる力強い水産業を推進するものである。
(参考)境漁港・市場の将来のあるべき姿(さかいみなと漁港・市場活性化ビジョン、H25.3策定)
(1)信頼される漁港・市場づくり(漁港・市場機能の強化)
東日本大震災を踏まえ、地震・津波などの災害に強く安全な漁港・市場を整備する。また、食品の安全・安心に対する関心が高まる中、適切な衛生管理対策を講じ、消費者から信頼される漁港・市場を目指す。
(2)活力がある漁港・市場づくり(集荷・販売力の強化)
水産資源、漁獲、相場の状況を常に意識し、生産者、卸売業者、仲卸業者が連携して集荷力を強化するとともに、国内外における水産物の消費・流通の動向、消費者ニーズを的確に把握して販売力の強化を図る。
(3)親しまれる漁港・市場づくり(観光連携及び地域活性化の推進)
日本有数の漁業基地である境漁港で水揚げされる新鮮で豊富な水産物を地域・観光資源として活用し、水木しげるロードを訪れる多くの観光客を取り組むとともに、地元住民から親しまれる漁港、市場を目指す。
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
〇事業目標
できる限り早期に境漁港の高度衛生管理型市場への転換を図る。
〇取組状況
平成25年3月「さかいみなと漁港・市場活性化ビジョン」策定
平成25年4〜9月水産庁による境漁港市場の直轄調査
平成26年9月10日「境港地区高度衛生管理基本計画」公表(国)
平成26年10月31日「特定漁港漁場整備事業計画」公表(国)
平成27年10月16日基本設計完了
平成28年3月「水産物輸出促進緊急基盤整備事業基本計画書」策定
平成28年3月31日「トラックスケール(新築)・3号上屋(改築)」工事着工(平成28年12月完成)
平成28年7月13日「特定漁港漁場整備事業計画」変更公表(国)
平成29年8月「5号上屋(改築)」完成
平成30年9月「境港地域における水産物の生産・流通に関する業務継続計画」策定
平成30年10月「陸送上屋(新築)」完成
平成30年12月「衛生管理マニュアル」策定
平成31年3月「6号上屋(新築)」「4号上屋他 防鳥対策等」完成
平成31年4月「1号上屋」完成
令和元年6月 主要施設の一部である「1号上屋」、「陸送上屋」を高度衛生管理型市場として開場
令和4年6月「2号上屋」完成
令和6年4月「7号上屋」完成
これまでの取組に対する評価
〇取組状況に対する評価
令和元年度の1号上屋、陸送上屋、令和4年度の2号上屋、令和6年度の7号上屋の供用開始により、消費者の安心・安全に応える境漁港の本格的な高度衛生管理の取組がスタートした。
これら主要施設の供用開始は、報道などでも多く取り上げられ、境漁港の産地強化に寄与した。
更に、8号上屋の新設により、漁船の大型化による水揚げ量の増加にも対応可能となることから、今後も計画的に整備を進め、産地間競争力を高め、関係者一丸となって境港の水産物を国内外にPRしていく。
〇改善点
産地競争力強化や衛生管理意識の高まりに伴い、計画的な事業執行を行う上で、所要の予算額を確保する必要がある。
国予算が厳しい中で予算を優先的に獲得していくためには、地域水産関係者一丸となった基盤整備を通じた取組(衛生管理対策の徹底、輸出促進、地域BCPの運用、背後加工業者の衛生管理対策の促進、産地PR活動、魚食普及活動等)を引き続き的確に実施していく必要がある。