1 概要説明(実施年度、H19〜21年度)
近年、性判別胚の移植による牛の雌雄産み分けは、ガラス化保存による凍結技術が開発され、高い受胎率が期待できるようになった。しかし、現法では移植前に煩雑な実験室内の処理を必要とするため、普及の制限となっていることから、ガラス化保存胚の簡易融解技術を開発し、農家現場での普及を図る。
2 背景・目的
(1)牛性判別胚は、検査用として胚の一部を切り取るため、従来の緩慢
冷却法による凍結保存では生存率と受胎率が低く、実用的ではない。
(2)耐凍剤濃度が高い保存液とともに、胚を超急速冷却してガラス状に固化(ガラス化)する凍結保存法では、高い受胎率が期待でき、農家実証試験を行っている(平成17〜18年度)。
(3)しかし、ガラス化保存の現法では、移植前の融解について、室内で特殊な操作を要し、また、ストロー充填が必要なことから、現場の移植師が対応できず、普及に至っていない。
(4)さらに、融解後の胚の生存性の問題から移植現場は、融解場所から近距離に制限される。
(5)ガラス化保存胚の簡易融解技術を開発し、現場での融解、移植の普及を図り、牛の雌雄産み分け技術を普及する。
3 試験方法
(1)凍結溶液、融解溶液、器具の選定
@簡易的な胚のストロー充填方法の検討
Aストロー内凍結、ストロー内融解方法の検討
(2)農家現場での受精卵移植実証試験
(3)簡易融解マニュアルの作成、普及
(4)他県との共同研究の検討
4 期待する効果
(1)牛の雌雄産み分け技術の普及。
(2)希望する性別の牛を生産することにより、計画的な牛の増頭、改良が可能となる。
(3)乳用牛では雌の生産、肉用牛では繁殖用雌や肥育素牛及び種雄牛候補の生産が可能となり、農家所得の向上が期待できる。
(4)牛の産地間競争に勝ち残ることができ、ブランド化が確立する。
研究内容と想定事業費(H19〜21年度)
(千円)
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凍結溶液、融解溶液の開発 6,312
場内移植試験 4,209
農家移植実証試験 4,209
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合計 14,730
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