概略説明
砂丘畑周辺において環境基準を超える地下水の硝酸汚染が指摘されている。ナガイモ畑やラッキョウ畑の肥料成分溶脱の実態を明らかにし、環境負荷低減のための施肥法改善を行う。また、砂丘畑において持続的な地力維持を図るため、適切な地力培養法の開発を行う。
1 事業の必要性
ア 現状の砂丘畑では、黒ボク畑の3倍以上におよぶ肥料窒素の溶脱があり、地下水汚染の懸念がある。とくに、施肥窒素量の多いナガイモ畑においては、環境基準(10ppm)を超える硝酸濃度が断片的に観測されている。
イ 生産現場では環境悪化に起因する農産物の風評被害やイメージダウンに危機感を持っている。
ウ 地力の低い砂丘畑では、肥料への依存度が高く施用量が多い実態にある。施肥量削減には、適切な地力増進を合わせて実施する必要がある。
2 事業の内容
ア 環境負荷低減技術の確立
ナガイモ、ラッキョウににおける肥料成分溶脱の実態を解析し、環境に及ぼす肥料の影響を明らかにする。そして、環境負荷の少ない施肥法を開発し、地下水汚染防止に役立てる。
イ 持続的な有機物施用技術の確立
有機物の長期連用試験によって、地力変動を把握し、砂丘畑で持続的な地力維持が可能な有機物の量と種類を策定する。
3 事業の効果
ア 地下水の硝酸濃度を10ppm以下に維持し、環境負荷を低減できる。
イ 適切な地力培養と施肥法改善により肥料の使用量を3割削減できる。
4 これまでの成果
ア 施肥による窒素の溶脱は、稲わら等有機物の併用で軽減した。
イ 有機物連用ほ場(稲わら、家畜糞堆肥)の窒素吸収量を調査した。
5 H19の試験内容
ア ナガイモ、ラッキョウの肥料分溶脱量を経時的に調査す る。
イ 被覆肥料と有機物を組み合わせて、溶脱軽減効果を検討する。
ウ 有機物の施用による地力の変動を調査する。
内 訳 |
要求額 |
学会・研修会への出張旅費 |
140 |
ラッキョウ・ナガイモ栽培用資材 |
510 |
水、土壌採取・分析用資材購入費 |
550 |
合 計 |
1.200 |
(事業実施期間 平成16年〜平成20年度)
注)
溶脱=肥料成分が地下水に溶けて流れること
環境負荷=環境に与える影響
被覆肥料=肥料成分がゆっくり溶出するように加工した肥料(緩行性肥料)