土壌病害虫の効率的防除による園芸作物安定生産技術の確立

　県園芸作物の土壌病害虫（病害・虫害の中で、主に土中に存在する病原菌や害虫により引き起こされるもの）の発生生態及びその効率的防除法を解明し、園芸作物の生産安定化を図る。平成１９年度より生産振興課から移管。

１　事業の必要性
　鳥取県特産の園芸作物において、生態不明で防除困難な土壌病害虫が発生しており、品質や収量の低下の原因となっている。その発生原因と発生生態を解明し、早急に防除法を確立する必要がある。

２　事業の内容

(１)	スイカ急性萎凋症の発生原因を解明し、克服技術を確立する。
(２)	スイカのネコブセンチュウの安定した持続的防除法を確立する。
(３)	ブロッコリー根こぶ病に対する総合防除技術確立を行う。
(４)	ラッキョウの乾腐病およびネグサレセンチュウに対する総合防除技術の確立を行う。
(５)	ホウレンソウ萎凋病に対する総合防除技術確立を行う。
(６)	メロンの土壌伝染性ウイルスに対する臭化メチル代替技術の確立を行う。

＊鳥取県内の生産面積
スイカ（355ha）、ブロッコリー（360ha）、ラッキョウ（190ha）、ホウレンソウ（60 ha）、メロン(90 ha）

３　事業の効果

(１)	各作物における主要な不安定要因である病害虫対策を確立することで、安定生産が可能となり、所得が安定する。
		スイカ：52〜4,680kg/10a→5,200kg/10a
		ブロッコリー：90〜810kg/10a→900kg/10a
		ラッキョウ：240〜2,376kg/10a→2,400kg/10a
		ホウレンソウ：80〜720kg/10a→800kg/10a
		メロン：300kg/10a→3,000kg/10a
(２)	効果的な防除対策を構築することで、防除回数の削減につながる。
(３)	生産物の品質が向上することで、ブランド化の一助となる。

４　これまでの成果

(１)	スイカ急性萎凋症から分離された数種類の菌を接種して症状を再現した。また、原因菌の種類ごとに有効な土壌消毒法を検討した。
(２)	石灰窒素の施用により土壌pHが矯正され、ブロッコリー根こぶ病が大幅に減少した。
(３)	ホウレンソウの萎凋病に対し、薬剤や太陽熱を利用した土壌消毒の効果が認められた。

５　平成19年度の試験内容

(１)	スイカの急性萎凋症の原因菌の混合感染による発病症状を把握する。
(２)	センチュウに対し、有効な土壌処理剤を検討する。
(３)	ブロッコリー根こぶ病に対し、転炉さい等による土壌pHの矯正による持続的な防除法を検討する。
(４)	ラッキョウ乾腐病防除のために有効な種球浸漬処理薬剤を検討する。
(５)	メロンえそ斑点病に対する抵抗性台木等による耕種的防除法を検討する。
(６)	ホウレンソウ萎凋病に耐病性の品種を選抜し、土壌消毒と組み合わせた総合的防除技術を確立する。

６　平成19年度要求額内訳（単位：千円）

内　容	要求額
備品購入費（顕微鏡用撮影装置）	１５６
旅　費	４７５
栽培資材・試験資材購入費等	１，８９４
合　計	２，５２５

７　試験実施期間　平成１７年度〜平成２１年度