概略説明
世界的にナシ、リンゴの重要病害である火傷病の侵入が懸念されている。侵入警戒のための全国的な緊急調査を実施するとともに、病原菌の検出・同定方法を確立し、緊急防除対応技術を確立する。
1 試験の必要性
(1) |
火傷病は欧米などを中心にナシ、リンゴの重要病害として恐れられているが、現在我が国では無発生のため、侵入病害として警戒されている。しかし、WTOの米国産リンゴの火傷病に関わる植物検疫措置の緩和が決定した。ナシ、リンゴの主産県を中心に輸入果実を介しての我が国への火傷病の侵入が懸念されている。 |
(2) |
本病は我が国無発生のため、発生調査や病原菌の検出、同定などの基礎研究、防除試験などがほとんど実施されていない。万が一侵入した場合は、本病への認識の不足等から初動措置が遅れてしまい、被害が急速に拡大する可能性が指摘されている。 |
(3) |
仮に、本県で本病が発生した場合は、宿主となる品目については国内移動制限の措置とられることとなる等、大きな被害が想定されるため、本病の同定法等を習得しておくことはリスクマネージメント上も必要である。 |
(4) |
本事業は農林水産省、独立行政法人および全国のナシ(鳥取)・リンゴ(青森、長野)主産県が連携を持ち、情報や成果を共有すること を目的とする。本病の侵入警戒を強め、万が一発生が確認された際には行政を中心に適切な緊急措置をとり、国内での病原菌の万延を防ごうとするものである。 |
2 試験の内容
(1) | 火傷病の宿主植物(ナシ、リンゴなどのバラ亜科植物)での発生調査 |
(2) | 病原菌の簡易、迅速、安価、確実な検出、同定方法の確立 |
(3) | 火傷病発生国における被害状況、防除方法などの情報収集 |
3 試験の効果
(1) |
全国のナシ、リンゴ主要産地における火傷病の無発生の確認を行うとともに、今後調査を継続し、侵入警戒を強化する。 |
(2) |
万が一、疑わしい症状が発見された場合、簡易、迅速、安価、確実な病原菌の検出、同定を実施する。 |
(3) |
発生が確認された場合の、初動防除や緊急防除を的確に実施することが可能となる。 |
4 これまでの成果
(1) | 鳥取県内で、火傷病の発生は認められなかった。 |
(2) | 火傷病類似症状の記録を蓄積することができた。 |
5 平成19年度の試験内容
鳥取県内におけるナシ園を中心とした火傷病宿主植物(ナシ、リンゴなどのバラ亜科植物)での発生調査
6 平成19年度要求額内訳(単位:千円)
内 訳 | 要求額 |
旅費(成績検討会等) | 103 |
発生調査資材購入費等 | 235 |
通信運搬費 | 162 |
合 計 | 500 |
7 受託元
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所
8 受託予定期間 平成18年度〜平成20年度