概略説明
中国産白ネギの輸入増加により販売価格が低迷しており、機械化による省力・低コスト栽培技術および生産安定・多収技術を確立する。また、環境保全型農業の確立が求められており、安心・安全な商品の提供、施肥改善による環境負荷(肥料成分による地下水などの水質汚染)の軽減、緑肥を取り込んだ連作障害(同じ圃場で同じ作物を長年作り続けることにより発生する生育障害)回避技術を確立する。
1 試験の必要性
1)販売価格の低迷、生産者の高齢化等により栽培面積が減少し、出荷量が減少している。機械化、生産コストの削減など省力・低コスト栽培技術の確立が望まれている。また、6月まき春どりネギの育苗が不安定であり、夏越し技術の確立が望まれている。
2)1本ネギの周年化が求められる中、夏ネギ早期どり(5月末〜7月) 栽培では抽苔(ネギ坊主の生育)による減収が課題となっており、抽苔抑制技術の確立が強く求められている。
3)夏期の平均気温の上昇により、9月〜10月どり夏秋ネギの腐敗の 発生が厳しく、収量が大幅に減少している。何れとも夏越し技術の確立が求められている。
4)周年栽培における安定多収性品種、耐暑性(暑さに強い性質)・耐病性(病気に強い性質)を有する優良品種の選定が求められている。
5)食の安全・安心に対する関心が高くなっており、良食味、減農薬・減化学肥料等の高付加価値ブランド品に対する関心が高い。
6)周年栽培化に伴い連作障害による減収が大きな問題となっており、総合的な連作障害回避技術の確立が求められている。また、ネギ収穫残渣(出荷調製で発生する葉、根などの残りかす)のリサイクル方法の検討が求められている。
2 試験の内容
1)低コスト・安定多収技術の確立
・省力・低コスト生産体系の確立
・夏ネギ早期どり栽培における安定多収技術の確立
・9〜10月どり夏秋どりネギの夏越し技術の確立
・白ネギ適品種の選定と新品種の育成
2)消費者の要望に対応した品質向上
・有機質肥料、減農薬栽培によるブランドねぎの高付加価値化
3)環境保全型農業の確立
・施肥改善による環境負荷の軽減
・緑肥等を用いた総合的連作障害回避技術の確立
・白ネギ残渣のリサイクル法の検討
3 試験の効果
1)機械による周年栽培体系の確立により、省力・低コスト生産を実現。各作型の高品質・安定多収による出荷量の確保。
2)「雪割りねぎ」「伯州美人」などブランドねぎの減農薬・有機質肥料栽培による良食味化などの高付加価値化。
3)窒素施肥量の削減による環境負荷の軽減。連作障害の軽減による生産の安定化、出荷量の増加。
4 これまでの成果
・全自動移植機に対応した鳥取方式の育苗技術・栽培体系を確立した。
・新品種(羽緑)の品種特性を解明し、新系統の坊主不知(ぼうずし らず・・・ネギ坊主ができない品種・系統)を選定した。
・6月の大苗定植による減農薬栽培技術を確立した。
・育苗箱内施肥技術の開発により施肥窒素の3割削減を可能にした。
・土壌消毒と夏期のセンチュウ対抗作物を組み入れた安定多収技術を確立した。
5 H19の試験内容
1)低コスト・安定多収技術の確立
・春ネギ6月まき作型の夏越し育苗技術の確立
・夏ネギ早期どり作型の安定化(抽苔抑制、管理技術、品種等の検討)
・9〜10月どり夏秋どり作型の夏越し技術の確立
2)消費者の要望に対応した品質向上
・有機質肥料施用による雪割りねぎ等ブランドねぎの高付加価値化
3)環境保全型農業の確立
・育苗箱内施肥法の周年利用
・冬期のセンチュウ対抗植物の検討
・ネギ収穫残渣処理法の確立
6 事業実施期間 平成16年度〜平成19年度