1 事業の目的
水管理にかかる労働時間を短縮し規模拡大を促進するため、かんがい用水の効率的な給排水技術と深水管理を可能とするほ場の管理技術の研究を行う。
2 事業の必要性
(1)大規模農家は、管理するほ場が多くなると肥培管理やロスタイムが多くなることから農地の引き受けに限界感。
(2)既設の給排水施設だけでは、ほ場の水コントロールは不可能。
(3)異常気象による作柄の不安定化が深刻化する中、早期の台風や冷害等気象変動に強い栽培管理方法として深水管理に期待。
(4)環境保全や消費者の安全志向の高まりにより、無農薬あるいは減農薬栽培に取り組む大規模稲作農家が増えているが、規模拡大する上で雑草防除が大きな課題。
3 事業の効果
(1)給排水コントロールによる水管理時間の短縮、ほ場の乾燥時間の短縮等により経営規模拡大を促進する。
(2)かんがい用水の効率化による節水、水質汚濁防止効果。
(3)稲作経営体による有機栽培の規模拡大を可能とし、顧客ニーズに対応した農業経営の実現を図る。
4 事業の内容
(1)平成18年度の内容と成果
ア)給排水の効率化
レーザーレベラーによる田面の傾斜均平化による給排水の効率化技術を「水田傾斜均平化のための手引き」としてマニュアルにまとめた。
イ)暗渠排水再生
立上管による新たな暗渠の洗浄方法について検討し、その洗浄効果について有用性が示唆された。
ウ)地下排水
既設の暗渠、補助暗渠の集水範囲を特定した。これにより排水効果を高めるための補助暗渠の施工密度が示唆された。
(2)平成19年度の内容
既設暗渠を利用した地下灌漑による水管理法について検討する。
また、暗渠再生のための試作疎水材のほ場適用、既存暗渠の再生マニュアルの作成などを行う。