1 試験概要
(1)「うまみ」のある和牛肉を求める消費者ニーズに応えるため、「うまみ」を重視した鳥取牛和牛の育種・改良手法の開発を行う。
2 背景
(1)今まで和牛改良(種雄牛造成)は、生産者側に立った市場性(肉量、ロース芯面積の大きさ、脂肪交雑(霜降り))を重視してきた。
(2)しかし、消費者から「昔の鳥取の和牛肉は和牛本来の「うまみ」があり、こういう「うまみ」のある鳥取和牛肉をここでなくすとは、大きな損失となる、と言う声もあがってきている。
(3)また、生産者からも、「「うまみ」のある和牛肉を作りたい。そのために、必要な種雄牛なり、飼養管理技術を畜産試験場で研究して欲しい。」という声もあがってきた。
3 試験の目的
従来、取り組んできた産肉性(肉量、ロース芯面積の大きさ、脂肪交雑)や種牛性(飼いやすさ等)だけでなく、和牛肉が持つ「うまみ」を持った種雄牛造成と県内繁殖雌牛の改良及び「うまみ」のある和牛肉生産に向けた飼養管理技術の確立により、生産者・消費者が望む「うまみ」のある鳥取和牛肉のブランド力アップを図る。
4 これまでの成果等
(1)脂肪酸組成割合の遺伝的影響
種雄牛(父牛)の相違により牛肉の脂肪酸組成割合に違いが見られた。今後、牛肉脂肪酸組成割合の育種価(遺伝的能力を数値化)算出(現在調査中)、優良遺伝子領域の調査に取りかかる。
(2)第9回全国和牛能力共進会用脂質改善マニュアル作成
現場後代検定牛の肥育後期の短期的な給与飼料の種類により牛肉脂肪酸組成割合に違いが見られた。
この結果により、第9回全国和牛能力共進会肉牛の部の審査基準に採用されている脂肪の「うまみ」対策として、給与飼料による脂質改善マニュアルを作成中。
4 試験内容
(1)「うまみ」のある鳥取和牛の造成(H18〜24年度)
ア 脂肪・アミノ酸の「うまみ」調査試験(H18〜24年度)
牛肉脂肪酸組成割合の育種価算出や脂肪酸組成に関する優良遺伝子領域の調査を行う。さらに、一般肥育牛のアミノ酸組成分析を行うことで、種雄牛のアミノ酸に関する遺伝的能力の一次スクリーニング調査を行う。
また、牛肉中の脂肪酸組成割合と関係するSCD遺伝子についても調査を行う。
*SCD遺伝子・・飽和脂肪酸を不飽和脂肪酸に換える酵素を支配する遺伝子
イ 筋線維の太さによる「うまみ」調査試験(H19〜24年度)
電子顕微鏡を用いて、一般出荷牛の各部位(ロース、バラなど)の筋線維の太さと血統(遺伝的な影響)との関係を調査する。
ウ 「うまみ」肥育試験(H19〜24年度)
場内産の鳥取系の強い種雄牛産子を肥育し、鳥取系のもつ「うまみ」を検証。
5 所要経費
(1)平成19年度要求額内訳
項目 | 金額
(千円) |
| 221 |
研修旅費 | 307 |
脂肪酸、アミノ酸分析のための試薬代及び餌代等 | 3,431 |
合計 | 3,959 |