砂丘ラッキョウ高位生産技術の確立

概略説明

　「福部砂丘らっきょう１０億円達成プラン」の達成には、安定多収生産技術の開発を必要としており、３ｔ/１０aの収量が得られる栽培技術を確立する。
　ラッキョウ栽培は中部にも波及している。「みんなでやらいや！！北条砂丘らっきょう８８８プラン」が策定され、砂質の異なる中部砂丘畑での技術開発が望まれている。
１　事業の必要性
ラッキョウ販売額（栽培面積）の推移 億円（ha）

地 区	平成14年	平成15年	平成16年	平成17年	平成18年
福 部	8.0(113)	8.2(115)	10.0(120)	6.5（123）	7.1(123)
中 部	3.9( 53)	5.7( 59)	6.1( 69）	6.2（ 77）	7.0( 90)

ア　腐れ（乾腐病)のないラッキョウを作りたい」「収量を上げるための技術を開発してほしい」「砂丘農業研究センターを活用したい」等の意見が挙げられている。
イ　鳥取市福部町では近年の健康志向から単価高により販売額が増加し、平成16年には10億円(反収1,931kg/10a）を達成したが、平成17年は6.5億円(反収1,154kg/10a)平成18年は7.1億円と販売額が平成16年を下回った。年による収量のばらつきが大きく、安定して10億円を達成するためには平均収量を安定させる必要がある。そのために、乾腐病抵抗性系統の実用化、種球栽培管理技術の確立、品質向上と安定多収技術の確立により収量を3ｔ安定的に上げる必要がある。
ウ　中部地区（北栄町、湯梨浜町）では888プラン（栽培面積88ha、販売金額8億円を目標)を策定し意欲的な生産が見られるが、ラクダ系の新規生産者が多いため高品質のものを安定的に生産する技術を確立する必要がある。
エ　事業の対象者　　県内ラッキョウ生産農家　福部106戸、中部415戸

２　事業の内容

ア　耐病性に優れる系統の選抜と保存
○乾腐病に耐病性のある系統の収集と選抜。
○生物工学研究室で育成された乾腐病耐病性系統の特性解明。

イ　高収益型栽培技術の確立
○多収となる条件（土壌条件・栽植密度・肥培管理・潅水方法・種球の質）の解明。
ウ　労力軽減技術の確立
○省力施肥法の検討および植付け機の実用化の検討。

３　事業の効果

ア　ラッキョウ販売額１０億円（鳥取市福部町）の安定達成
イ　ラクダ系統の早期安定栽培による８８８プランの達成（中部地区）

４　これまでの成果

ア　中部砂丘に導入されている系統の収量特性を明らかにした。
イ　多収3t取りには大球で母球芽が多い等の良質種球が有効であった。
ウ　密植、春先の潅水による収量増加効果が明らかになった。
エ　緩効性肥料を用いた植え溝施用による省力施肥法を開発した。
オ　青子発生防止のための春先の土寄せ時期を明らかにした。

５　H19の試験内容

ア　園芸試験場生物工学研究室で育成された乾腐病抵抗性系統および現地導入系統の乾腐ほ場抵抗性・生育特性を検討する。
イ　栽植密度、良い種球をつくる方法、春の潅水方法、基肥えおよび秋の追肥方法について検討する。
ウ　省力施肥法に用いる肥料の種類の検討、植付け機の収量性を検討する。

６　平成19年度要求額内訳（単位：千円）

内　訳	要求額
現地試験栽培管理委託費	７０１
ラッキョウ栽培用資材・分析用試薬購入費	１，０７９
種球保管用冷蔵庫使用量等	２０
合　　　　　計	１，８００

（事業実施期間　平成１９年〜２２年度）

注）
　緩行性肥料＝肥料成分が緩やかに溶出するよう加工した肥料　青子＝緑色に変色したラッキョウ
　母球芽＝種球中にある将来分球しラッキョウになる芽