概略説明
弓浜砂丘地の特産野菜として、白ネギの他にニンジン、サツマイモ、施設野菜(イチゴ、トマト等)がある。ニンジン・サツマイモにおける生産安定・多収技術の確立を図る。また、高品質トマトの生産技術の開発及びトマト・キュウリなど施設野菜の輪作(異なるの作物を交互に作付けすること)を踏まえた新規品目の検索を行う。
1 試験の必要性
1)ニンジンは近年の販売単価が68〜140円/Kgと変動が大きく、不安定である。また、センチュウなどの虫害や短根・裂根(ひび割れ)の発生による品質低下・収量低下が問題となっており、良品安定生産技術の開発が望まれている。また、秋冬ニンジンの前進化による作期の拡大が求められている。
2)サツマイモは「浜カンショ(サツマイモ)」ブランドを推し進めるための方策として良食味栽培方法の開発が強く望まれており、併せて効率的な害虫防除の確立が望まれている。また、地元酒造会社の芋焼酎原料としての需要から加工用品種の選定が求められている。
3)施設野菜では、差別化を図るため大玉トマトにおける高糖度トマトの栽培方法の確立が求められているとともに、連作障害(同じ圃場で同じ作物を長年作り続けることにより発生する生育障害)対策の一環としての新規有望品目の導入が望まれている。
2 試験内容
1)ニンジンの高品質・安定多収技術の確立
・作期の前進化に向けた適品種の選定、栽培法の確立
・短根・裂根の少ない高品質品種の選定
・効率的害虫防除技術の確立
・緩行性肥料(肥料成分が土に溶け出す速さを調節した肥料)による施
肥改善、有機質肥料による食味改善
2)サツマイモの高品質・生産安定技術の確立と品種の適応性検定
・良食味栽培技術の確立
・効率的害虫防除法の確立
・加工用品種の選定と栽培法の確立
3)施設野菜の高品質化、輪作体系の確立
・高糖度トマト栽培技術の確立
・輪作を踏まえた新規有望品目の検索
3 試験の効果
1)ニンジン
・作期の拡大による労力分散、出荷量の増加。
・高品質出荷による有利販売、販売単価の確保。
・食味改善による高付加価値化、有利販売。
2)サツマイモ
・高品質化(良食味)による「浜カンショ」ブランド化、有利販売。
・加工用サツマイモの定着による栽培面積の拡大。
3)施設野菜
・高品質化による販売単価のアップ。
・施設内輪作体系の確立よる経営の安定化。
・新規品目による販売収入の増加。
4 これまでの成果
1)ニンジン
・出荷期に発生する害虫による食害がネキリムシによることが判明した。
・緩効性肥料の利用により施肥量の削減、施肥労力の軽減が可能 あることが判明した。
・有機質肥料で栽培することにより、ニンジン臭が少なくなり、食味が向上することが明らかとなった。
2)サツマイモ
・早期栽培可能品種’ベニアズマ’を選定し、普及した。
・早期栽培における低温期対策法を明らかにした。
・良食味品種’紅赤(べにあか)’の栽培法を明らかにした。
3)施設野菜
・イチゴ品種’章姫’’紅ほっぺ’の品種特性を明らかにした。
5 平成19年度の試験内容
1)ニンジン
・作期の前進化(出荷時期を早めること)に向けた適品種の選定及び栽培法の確立
・緩効性肥料肥料による施肥改善、有機質肥料による食味改善
2)サツマイモ
・良食味栽培法の確立
・発生予察による効率的害虫防除
・加工用品種の選定と栽培法の確立
3)施設野菜
・高糖度トマト栽培技術の確立
・輪作を踏まえた新規有望品目の検索
6 事業実施期間 平成18〜22年度