概略説明
現場で多発する生理障害の防止技術と、栽培面積の拡大が予想される品種の栽培技術の確立や将来鳥取県の顔となる品種の選定を行う。さらに、品質安定と省力化を目指した整枝(メロンのつるの摘除や配置方法)技術を確立し、鳥取メロンの安定生産と高品質化を図る。
1 事業の必要性
ア 本県の主力品種(アムス、タカミ)やクレオパトラメロンは以下のような生理障害が発生し易いため、農家の収益が不安定である。
アムスメロン:裂果(果皮が裂け、ひどい場合は果実が割れてしまうもので、販売できない)
タカミメロン:でべそ果(下写真のように花落ち部が突出し、でべそのようになるもので、販売できない)
クレオパトラメロン:裂皮(果皮が裂け、程度によって出荷等級(主に外観により最も品質の優れる秀品、秀品に次ぐ優品、やや品質の劣る良品等に区別される)が下がる)
イ 現地に導入され農家から有望な品種と見込まれているルピアレッド(栽培面積2.5ha)は、本県に適した栽培技術が未確立であり、技術確立について農家から要望が出ている。
ウ 栽培品種数が多く、さらに産地によって品種が異なり、市場での販売数量がまとまらない。このため、有利販売につながっていない。将来の鳥取の顔となるような新しい品種の選定や育成が強く望まれている。
「現在の栽培品種」
プリンス、アムス、タカミ、ペルル、ルピアレッド、クレオパトラ、エリザベス、アールス等
エ 同一品種でも産地ごとに整枝法や1株あたりの着果数等栽培技術が異なるため、品質にばらつきが見られる。品質の向上と安定を図るための栽培技術の統一化も望まれている。
オ 事業の対象者 メロン栽培面積:36ha
2 事業の内容
ア 現場で問題となっている生理障害の発生要因を解明し、その防止技術を確立する。
イ ルピアレッドの栽培技術を確立する。
ウ 将来の鳥取県の顔となる優良品種を選定する。
エ 品質安定と省力化を目指した整枝技術を確立する。
3 事業の効果
ア 生理障害防止技術の確立により可販果率や等級が向上→出荷量の増加、高品質化
イ ルピアレッドの栽培技術確立→高品質・安定生産
ウ 奨励品種の栽培面積が拡大し、鳥取メロンのブランド化が図られる。
エ 品質安定と省力化を目指した整枝技術の確立→栽培技術の平準化→省力安定生産
オ 販売額の増加(21.9百万円→25.3百万円)
4 これまでの成果
でべそ果は、換気頻度を多くし、低温下で生育させると発生率が高まることがわかった。
5 平成19年度の試験内容
ア アムスメロンの裂果防止技術とクレオパトラメロンの裂皮防止技術の確立を行う。
イ ルピアレッドの最適な1,000m2当たりの収穫果数について検討する。
ウ 秋作について適品種選定試験を行う。
エ アムスメロンの省力整枝技術の開発を行う。
6 平成19年度要求内訳(単位:千円)
内 訳 | 要 求 額 |
旅費 | 89 |
栽培費・実験器具購入費等 | 1,911 |
通信運搬費 | 20 |
合計 | 2,020 |
7 試験実施期間 平成17年度〜19年度