1.概要説明
「鳥取和牛」が持つ優れた能力である種牛性を評価するためのシステムを開発し、本県で研究が進んできた産肉性に関する遺伝子解析と併せて、種牛性・産肉性、両面の優良遺伝子解析を行い、優良種雄牛造成に活用する。
2.背景及び目的
(1)背景
○ 種牛性は「鳥取和牛」が持つ優れた能力であると言われているが、現在は本県を含め全国的に産肉性重視の改良が進められている。
○ その結果、繁殖雌牛の基本的な能力である種牛性が低下する傾向にある。
○ このため、生産者から産肉性の向上を併せ種牛性の維持・向上を望む声が多く、種牛性・産肉性の同時改良が緊急の課題となっている。
(2)目的
市場価値の高い種牛性と産肉性を併せ持つ「新鳥取和牛」を創り出す。
3.研究内容
(1)種牛性評価システムの構築(H17〜19年度)
@ 飼いやすさ、飼料効率や繁殖性(妊娠や分娩のしやすさ)等種牛性に関する形質の指数化
A 指数化を元にした種牛性の評価
B 評価指数と牛の外貌(見た目:背、腰、尻等の形)との遺伝的相関の探索
→ 指数化した値を元に、遺伝子レベルにおいて種牛性に関する優良遺伝領域の発見
(2)産肉性に関する遺伝分析(H13年度〜)
(前年度までに行った産肉性における遺伝子解析を深く、幅広く進めるもの)
@ 前年までに発見した優良遺伝領域の効果検証
A @以外の種雄牛(血統)に係わる優良遺伝子領域の発見
→産肉性に係る多種の種雄牛における優良遺伝領域のデータ集積
☆(1)、(2)により、正確度の高い、優良雌牛の確保、優良種雄牛の選抜を図る
4.期待する効果
客観的なデータや遺伝子解析に基づき、迅速かつ正確に種牛性産肉性の高い「新鳥取和牛」の選抜が可能となる。
5.これまでの成果
(1) 種牛性に関する成果(神戸大学農学部への委託研究成果)
H17年度:飼料効率と血統との関係に関する調査
H18年度:繁殖性(人工授精の状況)と外貌形質との遺伝的相関の調査(現在調査中)
(2) 産肉性に関する成果
3種雄牛で枝肉3形質(枝肉重量、ロース芯面積、脂肪交雑)について、11の優良遺伝子領域を特定。
H18年10月現在、25頭の種雄候補牛を当技術により12頭に絞り込んだ。
6.所要経費
平成19年度要求額内訳
項目 | 金額(千円) |
研修等旅費 | 493 |
神戸大学への種牛性に関する研究委託費 | 1,000 |
遺伝子解析のために必要な試薬代等 | 3,341 |
合計 | 4,834 |
7.事業年度
H13年度〜
8.参考(用語説明)
和牛の持つ経済的な形質として、種牛性と産肉性がある。
(1)種牛性・・・飼いやすさ、繁殖能力、哺育能力等の能力
(2)産肉性・・・枝肉重量、脂肪交雑などの肉質に関する能力
(注)本研究は、優良遺伝子を検索し、後代(産子)に遺伝子しているかどうかを検証することにより、優良牛の選抜に活用するもので遺伝子操作をするものではありません。