中山間地特産野菜の省力化と生産性向上技術の確立

　中山間地で栽培されるトマト、白ネギなどの生産安定・高収量技術と栽培管理の省力化・低コスト技術を確立する。また、夏季冷涼な気候を活かして高温期の葉物野菜やブロッコリーの栽培技術を確立する。
１　試験の必要性

１）	トマトは長年の連作で収量が年々低下し、特に夏季の着果不良が収量減の要因となっており、生産量を高く安定させる技術が望まれている。また、地域リーダーが水と肥料やりを自動化した養液土耕栽培に積極的に取り組んでおり、栽培マニュアルを必要としている。
２）	７〜９月に出荷される夏ネギは涼しい山間部が主体であるが、高冷地では９月出荷となり、８月上旬からの早期出荷が望まれている。また、夏場の土壌病害（土中の病原菌による病気）が多発しその対策が望まれている。
３）	夏場のホウレンソウは連作により土壌病害が多発し栽培を断念しており、その対策や新たな葉物野菜が望まれている。
４）	ブロッコリーは高温が不向きなため夏場は生産量が少なく、冷涼な山間部での栽培拡大が望まれている。

２　試験の内容

１）	省力化・低コスト技術の確立
	○トマトの養液土耕栽培のマニュアルの作成 ○トマトの液肥栽培基準の作成 ○白ネギの施肥量削減・省力施肥法の検討
２）	生産安定・高収量技術の確立
	○トマトの新品種・台木の特性検討 ○トマトの生育中期（高温期）の着果を安定させる技術の検討 ○夏ネギ８月上旬出荷のための育苗・施肥方法の検討 ○夏ネギ病害対策のための土壌消毒法・病気に強い品種の検討 ○ホウレンソウ土壌病害多発ハウスでの土壌消毒の実証 ○夏場の連作・高温に強いコマツナ栽培の実証
３）	中山間地での新しい栽培体系の確立
	○ブロッコリーの種まき時期と優良品種の選定

３　試験の効果

	項　目	現　状	目　標
１）	トマト
	○養液土耕栽培マニュアルの確立 ○生産安定・高収量技術確立	収量４〜10t/10a （対象農家） 収量6.5t/10a （産地全体）	収量9〜10t 収量7.5t
２）	白ネギ
	○夏ネギ早期出荷技術確立 ○夏ネギ土壌病害対策確立	９月出荷 収量２t/10a	８月出荷 収量2.5ｔ
３）	夏どり葉物野菜
	○ホウレンソウ病害多発ハウスでの土壌消毒実証 ○コマツナの栽培実証	病害多発で栽培断念 産地なし	栽培復活 産地形成
４）	ブロッコリー
	○中山間地作型確立	試験栽培２ha	産地形成

　　
４　これまでの成果

１）	トマト
	○養液土耕栽培の低コスト装置を試作し栽培実証した。 ○養液土耕栽培の栽培マニュアルの素案を作成した。
２）	白ネギ
	○夏どり、秋冬どりの高品質・高収量品種を選定した。
３）	夏どりホウレンソウ
	○高温でも高品質・高収量品種を選定した。

５　Ｈ１９試験内容

１）	トマト
	○葉かび病に強い新品種の特性検討 ○ホルモン処理による高温期着果安定・肥大促進効果の実証 ○液肥栽培基準の検討 ○９月出荷用露地作型の検討
２）	ピーマン
	○緩効性（長期間ゆっくり効く）肥料による省力施肥技術の検討
３）	白ネギ
	○８月出荷のための大苗・低コスト育苗法の検討 ○苗鉢内直接施肥による施肥量削減技術の検討 ○土壌消毒の現地実証、耐病性品種の検討
４）	夏どり葉物野菜
	○ホウレンソウ土壌消毒の現地実証 ○コマツナ現地栽培実証
５）	ブロッコリー
	○種まき時期、優良品種の検討

６　要求額内容（単位：千円）

内　容	要求額
全国会議出席等の旅費	２３６
野菜の栽培管理・試験資材費	２，２３５
現地試験に係る通信費等	３９
合　計	２，５１０

７　試験実施期間　平成１６年度〜平成２０年度