1 試験概要(H17〜19)
超音波肉質診断技術を確立し、生きたままの肥育牛の肉質や繁殖牛の産肉能力を客観的に判定し、牛肉生産の効率化、低コスト化と県内繁殖雌牛群のレベルアップを図る。
2 背景
(1)肥育牛はと畜解体まで、脂肪交雑等の肉質を判断することができないため、肉牛農家は長年の経験とカンを頼りに発育や外貌 から推測している。
(2)超音波による牛の肉質診断は技術者の主観による判定が主で明確な診断基準がなく、技術者による判定精度の差が大きく、現 場で活用される技術となっていない。
(3)枝肉共励会における出品牛の選定に超音波肉質診断技術が試験的に活用されており、その制度の向上と普及が期待されてい る。
(4)繁殖雌牛の産肉能力の推定には、育種価が利用されているが算出にはその子牛の枝肉成績が必要となり、算出まで数年を要するため、これに替わる雌牛の早期産肉能力推定手法が必要。
3 前年度までの成果・課題
(1)肥育期間中のロース等各部位の発達パターンの把握
肥育農家、場内肥育牛を追跡調査中
(2)画像解析による診断精度の向上
出荷前の肥育牛を調査・判定し、格付結果と精度判定
(BMSの判定精度:H17 58%、目標70%)
(3)若雌牛の産肉能力の早期判定と改良速度の向上
繁殖農家の育種価判明牛を調査(農家ごとのBMS判定値と育種価に相関関係が認められた)
3 試験の概要
(1)肥育牛の生体肉質診断(H17〜19)
農家の肥育牛を用い産肉形質の経時的変化を生体診断し、各 時期の調査成績と出荷時の枝肉成績との相関を解析し、得られた早期肉質推定システムにより農家指導を行う。
(2)繁殖牛の産肉性形質と育種価の関係の解明(H17〜19)
繁殖農家の育種価判明牛を用いて、育種価と肉質診断画像と 相関を解析する。
(3)超音波肉質診断の指数化(H19)
デジタル保存した肉質診断データの整理による判定基準の作 成及び画像解析による診断精度改善、基準の指数化。
4 要求額の内訳
5 期待される効果
(1)肥育期間中の産肉形質の発育パターンの調査と早期肉質 推定システムの確立
(2)精度の高い客観的診断基準(指数化)の確立と技術の生 産現場への普及
(3)早期選抜による県内雌牛群のレベルアップ
(4)研究成果を第9回全国和牛能力共進会の出品牛選抜に応用
6 農家の要望
(1)肥育状態の早期確認による出荷時期の適正化及び出荷先の選 択をしたい。
(2)雌牛の産肉能力の早期推定と選抜・保留の効率化をしたい。