1 概要説明
農林水産省とヤマトシジミ(以下「シジミ」という。)産地県の青森、茨城、滋賀、三重、鳥取、島根が共同で、シジミの残留農薬基準値の設定に必要なデータの取得を行うため、飼育試験を行う。
2 経過
(1)昨年12月、東郷湖のシジミから除草剤のクミルロンが検出(0.07ppm)。
(2)東郷湖漁協はこの結果を受け、出荷自主規制を実施し、19年3月 末においても継続中(食品衛生法により一定量以上の農薬が残留する食品の販売禁止)。
(3)東郷湖のシジミ漁は平成18年に2億円弱の漁獲量があったものの、出荷停止のため、地元にとって大きな打撃。
(4)シジミに対する残留農薬基準値は、科学的知見がないため一律規制(0.01ppm)が適用(ポジティブリスト)。
(5)県と湯梨浜町は、シジミの基準値を個別に設定するよう国へ要望。
(6)シジミの残留農薬基準値の見直しを他県も国へ要望。
(7)19年3月、農水省では、関係県と連携し新たな基準値の設定に向
けた検討を開始。
3 必要性
(1)シジミのクミルロン排出速度が遅いことから、シジミ漁を早期再開するためにはシジミの残留農薬基準値設定が必要。
(2)シジミの基準値を設定するためには、魚類濃縮係数、シジミと魚類の濃縮の相関等のデータを示す必要がある。
(3)これらのデータを早期に取得するためには国と関係県が役割分担し、試験を実施する必要がある。
4 体制
とりまとめ:農林水産省
試験設定および魚類に関する試験:(独)水産総合研究センター
農薬の分析:(財)残留農薬検査所
シジミに関する試験:飼育試験の機能を有する関係県
5 試験の流れ及び県の役割
@飼育試験
実施機関:鳥取県(栽培漁業センター)等
内 容:シジミの農薬取り込み及びシジミの農薬濃縮速度を解明するため飼育試験を実施
※他県と連携し、12種類の農薬(除草剤、殺虫剤、殺菌剤、植調剤)を対象に試験を実施 | @飼育試験
実施機関:独立行政法人水産総合研究センター
内 容:魚類の農薬取り込み及び魚類の農薬濃縮速度を解明するため飼育試験を実施
※12種類の農薬(除草剤、殺虫剤、殺菌剤、植調剤)を対象に試験を実施 |
A分析
実施機関:(財)残留農薬検査所
内 容:飼育試験からシジミ・魚類の残留農薬を分析 |
B解明
実施機関:農林水産省
内 容:(財)残留農薬検査所の分析結果を基にシジミ・魚類の農薬濃縮速度を解明 |
C新基準の設定
実施機関:厚生労働省
内 容:農林水産省の結果を基にシジミの残留農薬基準を見直し |
6 試験の効果
東郷湖シジミ漁の再開が早期に可能となるとともに、今後、残留農薬等による出荷自粛が生ずる可能性が低下する。
7 所要経費 1,352千円