概略説明
南米原産のキオビオオハリナシバチがトマトの交配用昆虫として有益なことが、世界で初めて確認された。このハチは、マルハナバチ、ミツバチに比べて優れた特性を多く持つことから、島根大学、石原産業株式会社、岡山県農業総合センターとの共同研究により実用技術を開発する。
本県は、ハリナシバチの受粉評価試験を担当した。
1 事業の成果
ア 夏に交配を行うミニトマトで試験した結果、ハリナシバチは午前7時30分から11時30分が巣からの出入りが活発で、設置後4日目ら出巣し、26日目以降に、ハウス環境に適応することがわかった。
イ ハリナシバチの巣からの出入り個体数は、ハウス内気温が40℃未満で高いほど、湿度は 60%未満、照度は15klx以上で増加することがわかった。
ウ ミニトマトへの訪花はマルハナバチより少なく、着果率も劣ったが、これは高温等ハウス環境の影響と考えられ、今後、改善対策を検討する必要があった。
エ ハチの巣材をエサ箱表面及びエサ箱から3m離れたミニトマトの株の近くに設置すること で、ハチの活動が活発化し訪花が増すことがわかった。
2 残された課題
ハリナシバチをハウス内で活発に活動させるには、ハウス内の温度を下げる環境改善対策について研究を重ねる必要があると考えられる。この点については、大学と企業にゆだね、本県は試験実施しないこととする。