1 事業の概要
環境への負荷が低い薬剤として開発が進む、キトサンを主成分とした木材保存剤の実用化を目指し、実用レベルでの初期劣化等に関する特徴の把握や維持管理技術の構築をおこなう。
2 事業の背景・目的・効果など
(1)背景・問題点
@木材を屋外で長期使用する際には、保存薬剤の使用が必要不可欠である。
A健康や環境に優しい薬剤の開発が求められている。
B鳥取大学と企業が共同で、キトサンと銅を主成分とした毒性が極めて低い木材保存薬剤を開発中である。しかし、実用レベルでの研究は成されておらず、実用化に至っていない。
(2)目的
@産学官の連携により新規保存薬剤の実用化を目指す。
A木材の新規海中利用方法を開拓し、県産材の需要拡大を図る。
(3)効果
@県産材の需要拡大
A環境や健康に配慮した新規木材保存薬剤の実用化
B地域産業の活性化
3 事業の内容
@注入処理材の利用に関する調査
A薬剤の性能に関する調査
4 事業の成果
@注入処理材の利用に関する調査
・本薬剤注入処理材がフナクイムシ等の海虫類に対する抵抗性を有していることを明らかにし、海中での木材利用の可能性を見いだした。
・本薬剤注入処理材のアラメ藻場造成プレートとしての利用検討を行った。設置1年後、無処理材は海虫類の食害によりプレートが崩壊したが、注入処理材は海虫類の食害もなくプレートの崩壊が見られなかった。しかし一方で、注入処理材はアラメの成長阻害作用を有していることも明らかとなり、薬剤注入量を調整することで、アラメ藻場造成プレートに木材を利用できる可能性を見いだした。
・本薬剤処理材がやせに対する抵抗性を有している事を明らかにした。しかし、本薬剤は耐色効果は有しておらず、耐色効果を期待したい場合は、耐色効果を有した顔料等の添加などが必要であることが明らかとなった。
A薬剤の性能に関する調査
・スギ、マツの実大材において、一般的な注入処理条件で本薬剤を注入処理すると、90%以上の良好な薬剤浸潤度が得られることを明らかにした。
・薬剤の溶脱防止に高温乾燥処理が有効であることを明らかにした。
5 その他
事業年度:平成16〜18年度(18年度で完了)