1 概要説明
当場で採胚した性判別胚を農家飼養の牛に移植し実証試験 を行う。
2 背景・目的
当場では平成8年度から性判別胚の実用化試験を行ない、農家に普及可能な成果(性判別率の向上、高受胎率)を得ている。
しかし、農家段階での実績がないため性判別胚の実用化に達していない。そこで農家普及を目的とした農家飼養牛の移植試験を実施する。
3 試験内容
性判別胚の農家移植による実証試験(平成17年〜18年度)
LAMP法(遺伝子を発色させる方法)にて性判別したガラス化保存胚を農家飼養牛に移植する。
調査項目:性判別率、場内移植との比較(受胎率、輸送条件、輸送時間、温度等)
4 期待する効果
希望する性の子牛を生産することができるため、優秀な雌後継牛を効率的に確保することができる。また、市場の変動に応じた性の子牛を生産することができるため経営効率が向上が期待できる
乳用牛:効率的な後継牛の確保→収益の増加
肉用牛:後継牛確保、種雄牛候補牛の計画的生産
5 これまでの成果及び今後の課題
(1)LAMP法による性判別率
この方法による性判別率は93%だった(性判別実施29個、雄胚17個、雌胚10個、不明2個)。
(2)農家移植結果
ガラス化保存法の比較
@超急速ガラス化法(GL-Tip):移植数19、受胎数5(受胎率26%)
A最小容量冷却法(クライオトップ):移植数6、受胎数2(受胎率
33%)
(3)今後の課題
@現在の方法では、移植前の融解について、室内で特殊な操作が必要なため、現場の移植師が対応できない。
Aさらに、融解後の胚の損耗を防ぐため移植現場は融解場所から近距離に制限される。
Bこのため、移植現場で簡易に実施可能な胚の融解技術の開発が求められている。
6 H18年度要求額の内訳
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項目 金額(千円)
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旅費 323
飼養管理費等 4,407
登記手数料等 25
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合計 4,755
廃止理由
性判別胚の農家実証試験を廃止し、性判別胚移植の発展型試験として、H19年度より新規事業「ガラス化保存による牛性判別胚の簡易融解技術の確立」を展開する。